幽☆遊☆白書〜2ND STAGE〜

□大会編01
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黄泉「久しぶりだな。ちょっと聞きたいことがあってここに来た」



――魔界の3番地区の中心地にある魔界の王・煙鬼のいる大統領府に黄泉が突然訪ねてきたのだった



煙鬼「お前さんがここに来るとは驚いたぞ。聞きたい事とは何だ?」



黄泉「ここに入ってくる魔界の情報について聞きたいことがある」



煙鬼「ここに入ってくる情報か・・・、ならばお前さんが聞きたい情報とは魔界にお前さんが飛ばした人間達の事か?」



黄泉「流石だな、もうその情報がここに入ってきているのか?」



煙鬼「幽助から連絡が入ってきているものでな。あいつから大体の事情は聞いている」



黄泉「浦飯からここに連絡があったのなら話しが早い。それであいつらの情報は、あるのか?」



煙鬼「いや、まだだ。幽助から連絡を受けた後に魔界の各地のパトロール隊に桑原っていう人間と氷女の少女の保護の指示を出したが広大な魔界の全ての地域に完全に伝わるまで暫く時間がかかるだろう」



黄泉「そうか、残念だ。蔵馬に頼まれたのもあるがそれ以上に俺が助ける為とはいえ魔界に飛ばした責任があるからな」



煙鬼「もしかしたら何処かのパトロール隊が保護しているかも知れないがこちらからの指示がない限り報告を義務付けていないのでな」



黄泉「そういえばパトロールはそういう決まりだったな」



煙鬼「しかし人間界でお前さんも大変だったみたいだな。幽助は、黄泉に世話になったと言っていたぞ」



黄泉「フッ、人間達は成り行きで助けたまでだがな。だが結果として助けて良かったと思っている」



煙鬼「妖気でも霊気でもない気を持つ者にその人間は狙われたらしいな。さらにその者はかなりの強さとのことではないか」



黄泉「俺と浦飯が実際に闘ったが俺と互角かそれ以上の恐ろしい使い手だった」


才蔵「霊気や妖気とは異質な気を持つ者なら妖怪でも人間でもないのだろうな」


孤光「だろうね、でもそんなに強い奴なら一度手合わせしたいものだよ」



(ニッ)
才蔵「そうだな」



煙鬼「それ程の使い手がその人間を利用して何を企んでいるのだろうな」



煙鬼は腕を組んで考え始めた。



黄泉「浦飯達にも言ったが俺には奴らの手に渡せば人間界、魔界、霊界の全ての世界で良くないことが起こりそうでならないと肌に感じている」



才蔵「その人間はどんな能力の持ち主なんだ?そのような者が狙うからには普通の人間ではあるまい」



黄泉「霊気で剣を作り出すことが出来るようだ。蔵馬に聞いただけで実際に俺は見た事はないが、次元を剣により切り裂くことの出来る能力もあるらしい」



才蔵「次元を切り裂くのか!人間にしては凄い能力をもっているな」



煙鬼「桑原という人間を狙ってその者達が魔界までやって来るかも知れないな」


才蔵「仮にきたとしても俺達がついているんだ。簡単に手を出すことはできないさ」



煙鬼「そうだな」



孤光「そういえばあんたの息子は?一緒ではないの?」



黄泉「修羅は外で待っている」



孤光「ここに連れて来れば良かったのに」



黄泉「フッ、一緒に連れて来るつもりだったが前の大会で俺を倒したお前に会いたくないっていってな」



黄泉は少し意地悪そうに笑った。



孤光「やれやれ、あたしも嫌われたもんだね〜」



孤光は黄泉の言葉に苦笑いを浮かべた。



黄泉「しかし前の大会でお前に敗れはしたが俺は実力的に負けたつもりはない」


孤光「あたしと四回戦で闘った時のあんたは幽助と闘った後でかなり消耗した状態での闘いだったからね。厳しい状況の中で良く闘ったよ。あたしもあんたに完全に実力で勝ったなんて思っていないよ。出来たら万全の状態のあんたと闘いたかった」



孤光は黄泉との闘いを思い出し始めた。



〜孤光の回想〜



解説「Bブロックの四回戦、黄泉選手対孤光選手の対決が今まさに始まろうとしています」



――闘場


黄泉・孤光(・・・)



広い大地でお互いに対峙する黄泉と孤光。



――メイン会場



解説「黄泉選手は三回戦で浦飯選手と60時間に渡って見ている者が思わず手に汗を握る壮絶な闘いの末に見事勝利。対する孤光選手は無名ながらなんとあの北神選手を三回戦で撃破!一躍注目を集めています。この対戦は非常に注目のカードとなりました」



黄泉(この女、前の試合でも実力を隠しながら北神を倒していた。予選からの動きを見ておそらくこいつは雷禅の昔の仲間だ)



孤光(こいつが雷禅が長年争ってきたっていう黄泉って男だね)



黄泉(相手が雷禅の仲間なら無駄な小細工は無用)



審判の女性が上空から二人を見守っている。



審判「始め!」



審判により試合開始の合図がかけられ四回戦、黄泉対孤光の対戦が始まった。



ズキューン



審判の試合開始の合図と共に黄泉が高速のスピードで孤光に向かっていった。



黄泉「ハァッ!」



ビューン!!



黄泉は孤光に近づくと右手の拳による強烈一撃を放つ。



孤光(!)



バキッ!



ザザザ・・・



孤光は黄泉の一撃を右頬に受けた。



(ニッ)
孤光「へ〜え、真っ向勝負をいきなり挑んでくるんだ?ちょっと驚いたけど中々面白いよ」



孤光は殴られた頬をさすりながら不敵な笑みを浮かべた。



孤光「行くよ」



ズキューン



ビュッ!!



黄泉に近づくなり右足で素早い蹴りを黄泉に放つ。



ブォーン



黄泉は素早く動き難なく孤光の攻撃をかわした。



黄泉「トァァ!!!」



ビュッ!!



黄泉も孤光に素早い蹴りを放つ。



孤光「ハッ」



ガシッ!



孤光は身体の重心を右にずらし左腕で黄泉の蹴りを防ぐ。



バッ



クルクルクル



シュタッ



ジャンプした孤光は身体を回転して遠くに飛び、黄泉と距離を取って着地した。


ダッダッダッダッダ!!



黄泉は距離を取った孤光に向かって走り出す。



(ニッ)
孤光「面白い闘いが出来そうだね」



ダッダッダッダッダ!



孤光も地面を蹴り黄泉に向かって行った。



黄泉・孤光「ハァァ!!」


ビューン!!!



互いに繰り出す強烈なパンチ。



バキッ!!!



黄泉と孤光の双方の顔面にそれぞれの一撃が入った。


――メイン会場



解説「お〜っと!!黄泉選手と孤光選手の一撃が双方の顔面に同時に入ったぁぁぁぁ!!!」



――闘場



孤光「フゥ〜、いい一撃だね。今のはけっこう効いたよ」



黄泉「この一撃を受けて確信した。お前は雷禅の仲間だ」



(ニッ)
孤光「そうだよ」



ビュッ!!



孤光はそう言い放つと強烈な蹴りを黄泉に放つ。



ガシッ!!



ザザザ・・・



黄泉は両腕を胸で交差して孤光の蹴りの威力におされながらも防御した。



黄泉「ハァァ!」



ビュッ!!



黄泉はお返しとばかりに孤光に蹴りを放つ。



シュッ



孤光は滑らかな華麗な動きで黄泉の蹴りをかわした。


黄泉・孤光「ハァァ!!」


バキッ!!



ドゴッ!!!



ドガッ!!



ドガァァァン!!!



それから数十分に渡り黄泉と孤光による激しい打ち合いが繰り広げられていた。


――メイン会場



解説「こ、これは、驚きです!!!孤光選手があの黄泉選手を相手に互角の闘いを繰り広げています」



――選手達の休憩場



陣「あの姉ちゃん、すげえなー、あの黄泉と互角にやりあっているぞ」



凍矢「酎を難なく倒しあの躯といい勝負をしていた棗とかいう女と同様に魔界には隠れた実力者が多くいたってことだな」



――闘場



バキッ!!!



お互いの一撃が双方の身体にヒット。



バッ!



シュタッ



黄泉と孤光はお互いに距離を取って離れた。



黄泉「強いな」



孤光「流石だね」

(この黄泉って男、噂で聞いた限りでは冷静沈着で計算高い男って印象があったけどこんなに熱い闘いをする奴とは思わなかったよ)


笑みを浮かべる孤光。



(ニコッ)
孤光「あたしはあんたの事を気に入ったよ」



黄泉「行くぞ」



ジジジ・・・



黄泉は右手を突き出して妖気を手の平に集中する。



黄泉「フン」



ドーン!!!!



妖気弾を孤光に向かって放つ。



――メイン会場



解説「お〜っと黄泉選手がここで孤光選手に向かって妖気弾を放ちました!!!」



――闘場



孤光「甘いよ!」



ダッ!!



孤光は黄泉の放った、妖気弾に向かって行く。



――選手達の休憩場



飛影「あの女、よけるどころか、黄泉の放った妖気弾に向かって行きやがった」


――闘場



孤光「ヤァァァ!!」



バチィ!!!



孤光は自分に向かって来た妖気弾を黄泉に向かって蹴り返した。



――選手達の休憩場



鈴駒「す、すげえ!!」



(ニャッ)
幽助「流石は親父の昔の仲間だぜ」



――メイン会場



解説「なんとぉぉ!!!孤光選手が黄泉選手の妖気弾を蹴り返したぁぁ!!!」


――闘場



ドーン!!



自ら放った妖気弾が黄泉の下に返ってきた。



黄泉「凵&∫&≡」



黄泉はその場から動かず呪術の詠唱を始めた。



――選手達の休憩場



蔵馬「あれは!?」



幽助「出るぜ」



――闘場



黄泉「魔古忌流煉破反衝壁」



ピキーン



黄泉の前に全身を包み込む衝壁が現れた。



シュゥゥゥ・・・



孤光が蹴り返した黄泉の妖気弾は反衝壁によって吸収されていく。



黄泉「甘いな」



孤光「そうかな?」



ブォーン!!



シュタッ



黄泉(!)



孤光は黄泉に向かって妖気弾を蹴り返すと同時に次の行動に移って素早く黄泉に攻撃を仕掛けた。



ビューン!!!



孤光の強烈な一撃が黄泉に向かって放たれる。



ガシッ!!!



黄泉は先程と同様に胸の所で両手を交差して孤光の一撃を防御して受け止めた。


黄泉「ハァッ!!」



ビュッ!!



シュッ



孤光は黄泉の放った蹴りをかわした。黄泉の蹴りは空を切る。



孤光「そろそろあたしの真の力をあんたに見せてやるよ」



ブォーン!!



孤光が黄泉に言い放つとその姿が黄泉の前から完全に消え去った。



ダッ!ダッ!ダッ!



不気味な地面を蹴るような足音だけが辺り一面に聞こえる。



――メイン会場



解説「あ〜っと!!孤光選手の姿が消えて不気味な音だけが聞こえてきます」



――選手達の休憩場



煙鬼「孤光の奴、とうとう本気になったな」



――闘場



黄泉(・・・)



黄泉は慎重に研ぎ澄まされた聴覚で消えた孤光の一つ一つの足音を冷静に音を聴きわけ始めた。



ダッ!ダッ!ダッ!



黄泉(・・・)



ボォォォ!!!



黄泉の右手に妖気で作られた炎が燃え始める。



――選手達の休憩場


幽助「あれは、黄泉の最強の技、炎裂撃」



蔵馬「黄泉の奴、ここで一気に勝負に出るつもりか?」



――闘場



黄泉(浦飯との闘いで体力、精神力を大きく消耗したこの状態で奴と長時間闘うのは不利だ。最強の技で一気に蹴りをつける)



黄泉「勝負だ!」



続く
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