幽☆遊☆白書〜2ND STAGE〜

□大会編01
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――躯の居城



桑原「オリャァァァァァ!!!」



躯の居城にある訓練場から響き渡る、一際大きな掛け声。



ガッ!!



桑原の霊剣を時雨は受け止めた。



時雨「まだまだ踏み込みが甘いぞ!」



桑原「こなくそォォォ!!!」



ガキーン!!!



時雨の燐火円磔刀で桑原の霊剣は弾かれた。



桑原「ウォッ!?」



ドテッ



桑原は時雨に弾かれた勢いで尻餅をついた。



時雨「駄目だ駄目だ!!!拙者を殺すつもりぐらいの気迫で来るんだ。そんな事では強くなれんぞ!!!」



時雨の叱咤の声が訓練場に響き渡る。



桑原「行くぜ!!!」



桑原はその昔、飛影に邪眼の移植手術を施し剣術を教えた、時雨に訓練場で激しい修業を受けていた。



ガキーン!



桑原「ハァハァ・・・」



時雨「さあ、桑原、もう一度だ!」



桑原「おう!」



桑原は立ち上がったその時、
訓練場に一人の女性が入って来た。



「やっているな」



時雨「あっ、これは躯様」



時雨は桑原との修業を中断し躯に頭を下げた。



躯「桑原、頑張っているようだな」



桑原「ああっ!少しでも強くならないといけねーからな」



時雨「躯様がこちらに来られるとは何かありましたか?」



躯「さっき、煙鬼のいる大統領府から、俺達の担当区域内のパトロール隊に、桑原と氷女の捜索と保護の指示が届いた」



時雨「煙鬼からですか?何故、あの者が今回に限って人間と氷女の指示を出したのでしようか?」



躯「さあな。基本的に保護した人間の報告義務は俺達にはないが、おそらくは桑原の捜索を桑原の仲間の幽助か蔵馬辺りが煙鬼に頼んだのだろう」



桑原「そ、そうか」



躯「煙鬼の方には桑原がこちらで保護していると伝えておいた。煙鬼の指示が出たからには氷女の捜索にもパトロール隊を使えるから直ぐに見つかるだろう」



(ニッ)
桑原「そいつは本当に助かるぜ!雪菜さんは俺に巻き込まれた形でこの魔界に飛ばされちまったんだ。本当に迷惑をかけちまった」



時雨(飛影の妹か。そういえば、飛影から話しを聞いただけで、実際に一度も会ったことないが、どんな者だろうな)



躯「桑原から聞いた、妖気でも霊気でもない気を持つ者の存在は少なからず、この魔界の現状を乱しかねないな」



時雨「あの黄泉とやりあう事が出来る程の力の持ち主ですからな…」



躯「何者であれ、魔界の現状を乱す者ならば俺は全力で排除するまでだ」



時雨(躯様は魔界を心から愛されているお方だ。魔界の現状を大きく変えようとする者には容赦しないだろう)



躯「俺に気にするな。お前達、修業を続けろ」



時雨「はっ」



カチャッ時雨は燐火円磔刀を握りしめて構える。



(ニッ)
桑原「お〜し。行くぜ!!」



ジジジ…



右手に霊気で霊剣を作り出す。



桑原「オリャァァァ!!!」



ガキーン!!!



時雨「よしっ!いいぞ」



修業に励む桑原の姿を見て躯は考え始めた。



躯(この人間には狙われる程の特殊な能力があるというのか?あるとしたらそれがどんかものか気になるところだ)



――煙鬼のいる大統領府



「失礼します」



一つ目の妖怪が部屋に入って来た。



「煙鬼様、躯様の担当区域のパトロール隊に、桑原という人間と雪菜という氷女の保護の指示を伝えましたところ、桑原という人間は躯様の居城にて現在保護されているとのことです」



煙鬼「何!それは本当か!!」



孤光「流石は躯だ。見つける
のが早かったね」



黄泉「もう一人の氷女はまだ見つからないのか?」



一つ目の妖怪は答える。



「はい。氷女の方はまだ見つかっていないそうです」



煙鬼「ご苦労だった。下がってよいぞ。また何か情報が入れば知らせてくれ」



「はっ。それでは失礼します」



一つ目の妖怪は部屋を後にした。



黄泉「とりあえずは奴らに狙われている、肝心の桑原の方は見つかったようだな」



煙鬼「そうだな」



孤光「後は氷女の子だけだね」



才蔵「フッ、直ぐに見つかるだろう」



黄泉「修羅を待たせてある。俺はそろそろ行くぞ」



煙鬼「もう行くのか?」



黄泉「ああ、俺が飛ばした人間も見つかったしな。直に氷女の方も見つかるだろう」



孤光「大会も近いことだし、息子と一緒に大会までここに滞在していたらどうだい?」



黄泉「あの比羅という者達が、この魔界に来て魔界や他の世界に仇をなせば、この俺もお前達と共闘するが、大会となれば話しは別だ。俺は今度の大会で優勝して魔界を統べる王となる。悪いが、敵同士となるあまりお前達とは馴れ合うつもりはない」



(ニッ)
孤光「やれやれ。あんたも難しい男だね〜」



黄泉「邪魔したな。大会で会おう」




扉を開けてから部屋を出かけたが、足を止めて振り向いた。



黄泉「言い忘れていた。後、数時間もすればここに浦飯と蔵馬が来るだろう。あいつらの話し声が俺の耳に聴こえてきた。あいつらの目的は桑原達の居所だ」



煙鬼「ほう、幽助達がここに向かっているのか」



孤光「あんたは本当に呆れる程の耳の良さだね」



黄泉「フッ、目が見えないからな。着いたら桑原という人間の無事を教えてやってくれ」



黄泉は部屋を出てこの大統領府を後にした。



煙鬼「やれやれ、行ったか」



才蔵「雷禅の息子達がここに向かっていると言っていたな」



孤光「あんた、幽助に実際に会うのは久しぶりだよね」煙鬼「そうだな。楽しみだ」



――その頃、煙鬼のいる大統領府の周辺を一望できる崖の上



風に揺られて金髪の美しい髪をなびかせた端正な顔立ちの男が、大統領府とその先に見える大会の会場を眺めていた。



金髪の男の背後には彼が引き連れてきた9人の仲間達がいた。


金髪の男の名は比羅。



桑原を捕えて何かを企んでいる者達の中心的な人物である。



比羅「あれが魔界の王の煙鬼のいる大統領府とやらか」



比羅の直ぐ後ろにいた小柄の赤い髪の男・駁が答える。



駁「そうだな。あそこに煙鬼がいやがる。ここが現在は魔界の中心地として機能しているようだ」



比羅「あそこが樹が言っていた、新たな魔界の王を決める大会の会場か」



比羅の視線には複数の大会の会場、そして試合用の沢山のステージがうつっていた。



駁「そうみたいだな。あの樹という妖怪だが、比羅、あいつは何が目的で俺達に近づいて来たんだ?」



比羅「あの男は王の持つ王家に伝わる秘宝の力を欲している。我々の目的が成就すれば、その見返りとして秘宝の力を使わせて欲しいと言っているようだ」



駁「秘宝の力か。しかし比羅よ、樹の力は俺達より遥かに下だが、あいつから何か得体のしれない力を感じるぜ。侮れない。あの男だけは決して油断だけはするなよ」



比羅「フッ、分かっているさ」



「比羅、一人勝手な行動をとっている楽越はもうこの場所に到着しているのだろうか?」



駁の横にいた者が口を開いた。



その姿は全身を鋼鉄の鎧を身につけ、顔は鋼鉄の仮面で隠されていて、一体どのような素顔をしているのかすらわからない。



比羅「おそらくはな。砂亜羅(サーラ)よ。楽越のように大会でお前も闘いたいのだろう?」



砂亜羅「長い間、血を見ていないからな。血が騒ぐ。魔界の猛者が集うこの大会で奴らと闘ってみたいものだ」



比羅「我々の戦力の分散は今はしたくない。大会が終われば桑原の捕獲の為にどちらにしろ奴らと事を構える可能性が高い。それまでは我慢しろ」



砂亜羅「ああ、それは分かっている」



ここで比羅は9人の仲間に告げた。



比羅「我々の最大の目的は例の者・桑原の捕獲だ。必ず奴を国に連れて帰り私達の悲願を必ず果たす」



一同「オゥ!!!」




――大統領府の入口に二人の男が到着した。



蔵馬「幽助、着いたな」



(ニッ)
幽助「ああ!ようやくな。おっさんに会いに行こうぜ」



黄泉が大統領府を去って数時間後、黄泉が立ち去る前に煙鬼に話した通り、幽助と蔵馬が煙鬼のいる大統領府に到着したのだった。



続く
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