幽☆遊☆白書〜2ND STAGE〜

□大会編01
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――魔界統一トーナメントは一回戦の試合を全て終えていよいよ二回戦に突入しようとしていた。



――選手達の休憩場



樹里「これより二回戦を行います。第一試合に出場する選手の方はそれぞれの闘場に向かってください」



休憩場に樹里の声が響き渡る。



各ブロックの二回戦・第一試合の組み合わせがスクリーンに映し出されている。


【Aブロック】

乙夜(いつや)
×
時雨(しぐれ)



【Bブロック】

棗(なつめ)
×
曲尺(かねじやく)



【Cブロック】

木阿弥(もくあみ)
×
九浄(くじよう)



【Dブロック】

蔵馬(くらま)
×
電鳳(でんぽう)



二回戦の各ブロックの第一試合には注目の選手達が揃って登場する。



――選手達の休憩場



蔵馬がDブロックの闘場に向かおうとしていた。



桑原「蔵馬、おめーの相手の電鳳って奴は強いのか?」



桑原が蔵馬を呼び止める。


蔵馬「幽助の父親の雷禅の仲間の一人ですからね、かなりの強敵ですよ」



桑原「勝てるのか?」



蔵馬「やってみないとわからないけど苦しい闘いに必ずなると思いますよ」



幽助「お〜い、蔵馬ァァァ!!」



幽助が蔵馬の側にやって来る。



蔵馬「幽助!試合が終わって暫くしてから姿が見えなくなっていたが一体どこにいっていたんだ?」



幽助「ああ、メイン会場にいっていたんだ」



蔵馬「メイン会場に?」



幽助「霊界との通信機を観客席にいた北神に取って来てくれって頼んで来た」



蔵馬「そうか、北神に頼んで来たのか」



幽助「ああ、あいつなら信用出来るからな」



――幽助の回想



メイン会場の観客席で試合を観戦していた北神の所に幽助は陣との試合が終わってから来ていた。



幽助「というわけなんだよ」



幽助は事情を簡単に北神に説明したのだった。



北神「わかりました。私でよければ取ってきましょう」



幽助「悪いな、北神」



幽助はちょっと申し訳なさそうな表情を見せる。



北神「かまいませんよ。大統領府ですね」



幽助「大統領府には煙鬼のおっさんの部下がいるはずだ。そいつに聞いたら部屋の場所は教えてくれると思う」



北神「では直ぐに行ってきます」



スッ



北神は席を立った。



黎明「北神、今から何処かにいくのか?」



北神の隣にいた黎明が問いかける。



北神「ああ、幽助さんに頼まれた物を今から大統領府の幽助さんが借りている部屋まで取りに行くんだ」



黎明「それだったら私も行こう」



北神「それはかまわないが物を取りに行くだけだぞ」


黎明「ああ、それでもいい。大統領府がどんなとこか興味があるからな」



北神「だったら一緒に行こう」



(ニッ)
黎明「ありがとう、北神」


北神「というわけで幽助さん、黎明と二人で大統領府まで取りに行ってきます」


幽助「ああ、頼んだぜ」



こうして、北神と黎明は幽助が大統領府で借りていた部屋に置き忘れてしまった霊界との通信機を取りに向かったのだった。



――幽助の回想・終わり



幽助「まっ、そういうわけで北神に頼んで来た」



蔵馬「ここから大統領府までは大した距離ではないから北神も直ぐに戻ってくるだろう」



幽助「だと思うぜ。蔵馬は今から試合みてーだな。相手の電鳳は強いぞ」



蔵馬「ああ、分かっている。相手が誰でも俺は俺の闘いをするよ」



蔵馬はそういうとDブロックの闘場に向かって歩いていった。



桑原「浦飯、おめーは蔵馬の奴は勝てると思うか?」


幽助「電鳳もかなり強いが、蔵馬も強いぜ!俺はいい勝負をするんじゃねーかなって思ってる」



――その頃、幽助に頼まれた霊界との通信機を取りにいった北神達は大会の会場からそんなに離れていない大統領府に到着して通信機を受け取り、来た道を戻り始めていた。



黎明「これで目的の物は手に入れたな」



北神「ああ、幽助さんがこれを必要としているから無事に取って来れて良かったよ」



黎明「そうだな。しかし、魔界の王が住む場所だけあってこの地区は随分と発展しているな」



北神達が現在住んでいる雷禅の国だった地区に比べるとこの三番地区の環境はかなり違っていた。



北神「三年前からここが魔界の中心地になっているからな。私が住んでいた場所とはかなり違っていて仕方ないさ」



黎明「ここに誰が次の王として住むのか楽しみだ」



北神「私はやはり、国王の血を受け継ぐ幽助さんに王になってもらいたいものだ」



黎明「幽助か、彼が王として立つと魔界は恐らく面白い国になるだろう」



(ニッ)
北神「私もそう思う」



楽しく談笑しながら会場への道を戻っていた北神と黎明の姿を見つめる一人の人物がいた。



比羅の同士・砂亜羅である。



砂亜羅(誰だか知らないが会場に向かっているな)



会場全体を見渡す事が出来る崖の上で比羅達は大会の様子を見守っていた。



砂亜羅は比羅達が誰も気付いていない中で只一人、北神と黎明の姿に気付いたのだった。



砂亜羅「黎明!?」



会場に向かって歩く二人の人物の内の一人が砂亜羅は死んだと思っていた黎明だと気付き驚く。



比羅「砂亜羅、どうした?」



会場とは違う場所を一人見ていた砂亜羅に比羅は話しかける。



砂亜羅「いや、ちょっと気になることがあってな」



比羅「気になること?」



砂亜羅「少しの間、ここを離れていいか?事情は後で話す」



比羅「フッ、魔界の奴らと大会で闘いたがっていたのを私が止めたからな。今度は止めても聞かないだろう。いいだろう、いってくるがいい」



砂亜羅「比羅にいい報告が出来ると思う。楽しみにしていてくれ」



比羅「何があるのか知らないが直ぐに戻れよ」



砂亜羅「もちろんだ」



ブォーン



そう言い残すと砂亜羅の姿は消え去った。



比羅「フフ、いい報告とは何なのだろうな」



比羅は砂亜羅の消えた後を見ながら笑みを浮かべる。


砂亜羅の消えた事に気付いた駁が比羅の側に駆け寄る。



駁「比羅、砂亜羅の奴は何処に行ったんだ?」



比羅「さあな」



駁「さあなって、勝手な行動を許さないお前にしては珍しく別行動を許したな」


比羅「あれほどの大会を近くで見ているのだ。砂亜羅のような奴はかなり血が騒ぐだろうからな、大人しくここにずっとはいられないだろう。何があったのか知らないが、ここら辺で何か鬱憤を発散させてやろうと思ってな」



(ニャッ)
駁「双子の妹にはやはり甘いな」



比羅「そうか?」



駁「まあ別にいいさ、俺はお前に従うだけだからな」


比羅「フッ」



比羅は駁に笑いかけると崖の上から見える会場の巨大スクリーンに目を映した。


――Dブロック



Dブロックの闘場では蔵馬と電鳳が対峙していた。



蔵馬・電鳳(・・・)



A〜Cブロックの闘場でも既に時雨、棗、九浄達も試合開始の合図を待っていた。


各ブロックの上空にいる審判達が選手達の様子を見つめる。



――メイン会場



小兎「それではこれより二回戦の各ブロックの第一試合を始めます」



「前の大会でベスト4まで残った九浄が出てきたな」


「前回は躯に負けたがとんでもない強さだった棗もいるぞ」



「AブロックとCブロックには躯の直属の戦士の時雨と木阿弥がいる」



「Dブロックは元黄泉の国のNo.2だった蔵馬に化物のような強さの電鳳の対戦だ!こいつは見物だぜ」



大会も二回戦になり本選に残った選手の数が半分になると観客達の間では各選手達への注目の目が一層強くなって来ていた。



次の王が誰になるのか?観客達は期待と不安の目で大会を見ていた。



「始め!!」



A〜Dブロックのそれぞれの審判が同時に試合開始の合図。



時雨、棗、九浄は試合開始の合図と共にそれぞれの対戦相手と闘い始めた。



――Dブロック



電鳳「お前は雷禅の息子の友人なんだってな。あいつの友人でも手加減はしないぞ」



蔵馬「ああ、手加減は結構だ。俺は全力でお前を倒すからな」



蔵馬は電鳳の巨体を見つめながら真剣な表情で答える。



電鳳「かかってこないのか?言っておくが俺は強いぞ」



蔵馬「抑えていても溢れでてくる巨大なその妖気でお前の強さは嫌というぐらいわかるさ」



グッ



ブォォォォォォォ!!!



蔵馬はそういうと妖気を全身に集中し始めた。



電鳳「あいつ、妖気を溜め始めたな。何をするつもりだ?」



電鳳が蔵馬を見つめる中で蔵馬の姿が徐々に変わっていく 。



そして、白魔装束を纏った銀髪の美しい妖狐の姿に変貌を遂げた。



妖狐・蔵馬「貴様は倒すぞ」



(ニャッ)
電鳳「少しは楽しめそうだ」



電鳳は不敵な笑みを浮かべた。



――会場に続く道



黎明「もうすぐ会場につくな」



北神「ああ」



会場が見えて来た。



コツコツコツ



黎明「あれは?」



北神達の方へ鋼鉄の鎧を全身に纏った者が歩いてくる。砂亜羅である。



北神「只の通行人ではなさそうだぞ」



砂亜羅が近づいて来れば来るほど北神の額から汗が滴り落ちる。



北神(な、何だ!?あいつから感じる凄まじいまでの気は!!?」



そして二人の目の前で砂亜羅は足を止めた。



砂亜羅「黎明、生きていたのだな」



黎明「わ、私を知っているのか?」



自分の名を呼ばれたことに戸惑う黎明。



北神(一体何者なのだ!?あいつから感じる気は幽助さんの気とよく似ている)


大会とは別にもう一つの大きな激戦が始まろうとしていた。



続く
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