幽☆遊☆白書〜2ND STAGE〜

□大会編01
4ページ/35ページ

――魔界の18番地区(18階層)



陣・凍矢・鈴木・死々若丸の四人は修行をひとまず終えて地面に腰を下ろして休憩をしていた。



鈴木「陣、お前の風には本当に手を焼かせられるぜ」



陣「へへ、この場所に吹く風は本当にいい風だー。とても扱い易いぞ。大会の場所で吹く風もおらが扱い易い風だったらいいけどな」



凍矢「陣、耳がもうピーンと立っているではないか。大会が余程楽しみのようだな」



(ニカッ)
陣「へへっ、ばれたか」



凍矢「フッ、耳がそんなに立っていたら誰だってわかるさ」



陣「そりゃー、久しぶりに幽助達に会えるしよー。あいつらとまた闘えると思うとワクワクしてたまんねーぞ」



死々若丸「ケッ、俺は別に会いたくないんだけどな」


小型化している死々若は鈴木の肩に乗っていつものごとく悪態をついている。



凍矢「幽助達の事だからあれからかなり強くなっているだろうな」



陣「多分な。前の大会で俺はあいつと闘えなかったからよー、今度こそ幽助と闘いてーよ」



鈴木「前の大会といえば三回戦でのあの幽助と黄泉の対決は凄かったな」



陣「そうそう、あいつは60時間も黄泉を相手に闘っていたもんなー。試合を見ていた俺達もどっちが勝つかドキドキだったぞ」



鈴木「あの試合が確か前大会での最長の試合だったらしいぜ」



凍矢「そういえば、死々若は前大会でお前を倒した北神の軟体術の対策はしっかりと出来ているのか?」



死々若丸「よっと」



シュタッ



死々若丸は、鈴木の肩から下に下りた。



ドローン!!



死々若丸は本当の姿である小さな身体から大きな身体に化けた。



(ニッ)
死々若丸「もちろんだ。あいつの軟体術によって身体を完全に締め付けられて前は敗北してしまったが今度はもしあいつに当たっても対策はばっちり出来ている」



鈴木「みんな、前回の敗北を機にそれぞれの能力や技に磨きをかけ、三年間の時間の中で対策もばっちりだから同じ相手にまた負けることはないぜ」



凍矢「そうだな」



陣「そういえばさっきの俺との手合わせで初めて使った、その鈴木の新しい道具は面白いなー」



(ニッ)
鈴木「ああ、大会に向けてこしらえた俺の自慢の一品だからな。俺の最高傑作だ」



陣「しかしその道具は、ちょっと反則だぞ」



鈴木「フフフ、自分で自分の才能が初めて怖いって思った程の作品だからな」



凍矢「しかし、鈴木は、武器や道具を作ることにかけての才能は本当に天才的だな」



死々若丸「俺の使っているこの魔哭鳴斬剣(試しの剣)をはじめ、暗黒武術界での裏御伽チームの闇アイテムは鈴木が全て作った作品だったからな」



陣「でもよー鈴木、おめーはいつからそんなに物を作るようになったんだ?」


鈴木「話せば長くなるぞ。あれは確か俺が強い妖戦士田中だった頃に遡る・・・」


陣「いやいや、俺が悪かった。話さなくていいぞ」



陣は、苦笑いを浮かべた。


鈴木「あっ、そうだった。死々若に渡す物があったのを忘れていた」



死々若丸「俺に渡す物?」


鈴木「ちょっと待てよ」



ガサガサ



ガサガサ



鈴木は腰にぶら下げている道具袋を開けて何かを探している。



鈴木「これだ、これだ。あったぜ」



ポィッ



パシッ



鈴木は死々若丸に道具袋から出した物を投げ渡した。


死々若丸「これは??見た感じ試しの剣のようだが??」



(ニャッ)
鈴木「見た目はな」



死々若丸「見た目は?」



グッ



ズズズ・・・



死々若丸が妖気を試しの剣に込めると死々若丸が従来使う剣が現れた。



シュッ!



シュッ!



シュッ!



死々若丸は新しい試しの剣で素振りをしてみた。



死々若丸「見た感じは今までの試しの剣と変わった風には見えないが?」



鈴木「死々若に渡したそれの見た目は従来の試しの剣と同じだが魔界で先日発見したある植物を材料に使っている。前のをベースに改良に改良を重ねて新しく生まれ変わった試しの剣だ」


死々若丸「今一つ俺には違いがわからないが」



死々若丸は、試しの剣をまじまじと見つめている。



鈴木「基本的にベースは前のと同じだが俺がさっき話した新しく発見された植物の性質を使ってつけた機能がかなり強力だ」



そして鈴木はニャリと笑った。



鈴木「名付けて帰ってきた強い試しの剣だ」



陣・凍矢・死々若丸(・・・)


凍矢「死々若、せっかくだから使ってみたらどうだ?俺が相手をしてやる」



死々若丸「そうだな、早速で悪いが相手してもらうぞ」



凍矢「フッ、俺もその剣の新しい機能が気になるからな」



(ズーーン)
鈴木「な、流された・・・」


ポンッ



陣「うんうん、鈴木の考えた名前は最高にかっこいい名前だったぞー」



陣は鈴木の肩をたたいて慰める。



バッ!



バッ!



シュタッ



二人は、20m先にジャンプしてお互いの間合いをとって着地した。



陣「あいつら元気だな。さっきはあんなに激しい修行をしたのに」



(ニャッ)
鈴木「陣、俺達もさっきの続きをやるか?」



陣「あいつらに負けないように俺達も元気よく頑張るかー」



ヒューー!!!



ギュウウウウウウ



陣はそういうと風を起こし空高く飛んだ。



(ニコッ)
陣「やっぱりここの風はいい風だ」



鈴木「さてと俺の最高傑作をとことん見せてやるぜ」


それぞれの大会への熱き思いを胸に秘めてさらなる修行に励む4人の男達だった。



――同時刻の魔界の7番地区(7階層)の森の中。



銀髪の長い髪の一人の男が倒れている。



全身血だらけで身体には無数の大きな傷を負っていた。



倒れている銀髪の男の周辺にはばらばらになったオジギソウの残骸が散らばっている。



ザッザッザッ



「誰か倒れているな!」



一人の男がその場に通りかかった。



スッ



男は倒れている銀髪の男をゆっくりと抱き起こすと呼びかけ始めた。



「大丈夫か!おい、大丈夫か!」



銀髪の男「うっ・・・」



(ニコッ)
「どうやら息はあるようだな」



キョロキョロ



男は辺りを見渡してみる。


「オジギソウの残骸がすごいな・・・。獰猛なこいつにやられたようだな」



銀髪の男「うぁぁ・・・」


「おいっ!しっかりしろ。すぐに手当してしてやるからな」



パチッ



銀髪の男は目を開けた。その瞳は黒く美しい輝きを放っていた。



「目を開けたか。大丈夫か?」



銀髪の男「う・・・ここは・・どこだ・・・」



「魔界の7番地区の森の中だ」



銀髪の男「ま、魔界・・・」


「お前の名は何というのだ?」



銀髪の男「れ・・黎明・・・」


銀髪の男とは蔵馬との闘いでオジギソウに呑まれて破れ、魔界に蔵馬がオジギソウを戻した為に生死不明となっていた比羅の同士・黎明であった。



続く
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ