幽☆遊☆白書〜2ND STAGE〜

□大会編02
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――魔界統一トーナメントのDブロックの二回戦・第二試合



梟(ふくろう)
×
鈴木(すずき)



――メイン会場



(ニャッ)
「ヒョヒョ、中々上出来だぞ梟」



男は気味の悪い笑みを浮かべてスクリーンを見ていた。



「イチガキ」



ズズズ・・・



男の名前を呼ぶと空間から一人の女性が姿を現した。


闇撫の皐月である。



イチガキ「ヒョヒョ、お前さんか皐月」



(ニコッ)
皐月「大会にテストも兼ねて参加させた貴方の実験体はどう?」



イチガキ「お前さんの目で見てみるがいいぞ」



皐月「どれどれ」



皐月は興味深そうにスクリーンを眺める。



スクリーンでは鈴木が空中を自由自在に動き回って陣の技を駆使して梟を攻め続けていた。



皐月「へ〜え、貴方の実験体と闘っている男は中々強いみたいね」



皐月は面白そうにスクリーンを見ていた。



イチガキ「あやつは鈴木だ。暗黒武術会の時には変装をしていたがのう。あれが素顔の様じゃ。あの大会の時とはまるで別人の様に強くなっておる」



イチガキは目を細めてスクリーンに映し出されている鈴木を見つめる。



皐月「名前は鈴木っていうのね。わりといい男だわ。私は少し好みかな。でも樹には敵わないよ」



イチガキ「ヒョヒョ、顔が良い男が好きとは若いのう。ところで皐月よ、あの者達はどうしておる?」



皐月「フフッ、裏男の中にいるよ」



――裏男の体内の中



皐月の裏男の体内の中にある亜空間の中に北神と黎明はいた。



黎明「クソッ、あの女め!私達をこんな化物の身体の中に閉じ込めやがって」



黎明は自分達を閉じ込めた皐月に対して怒りを露にした。



北神「落ち着くんだ黎明。今はここから脱出する方法を考えないと」



黎明「ああ、取り乱してすまない。そういえば北神、身体の傷は大丈夫なのか?」



北神「フッ、あまり大丈夫ではないが今はそうは言っていられない状況だからな」



北神は砂亜羅との闘いで受けた傷が深い為に辛そうな表情をしていた。



黎明「しかし私達をこんな場所に閉じ込めて何をするつもりなのだろう?」



北神「それは分からないがあの闇撫の女は何かを企んでいた様だった。嫌な予感がする。このままここにいてはまずい気がする」



黎明「そうだな、私も嫌な予感がする。しかし私達とは別の裏男に吸い込まれてしまったあの女はどうなったのだろう?」



北神「分からない。確かにあの女は一体どうなったのだろうな・・・」



――会場へと続く道



何者かに瀕死の重症を負わされて比羅の腕の中で息を引き取った砂亜羅。



怒りに燃える比羅に樹が接触してきたのだった。



比羅「樹、何者が砂亜羅を殺したのだ?」



砂亜羅の亡骸を強く抱き締めながら比羅は鋭い視線で樹を見た。



樹は比羅に答える。



その瞬間に強い突風が吹き出す。



ヒューーー!!!



樹「・・・の・・・者だ」



樹は砂亜羅を殺した者を比羅に伝えた。



比羅「何だと・・・!。何故、砂亜羅を殺すのだ?」



樹の答えに驚く比羅。



樹「比羅」



スッ



樹は手に持っていた物を比羅に見せる。



比羅「これは?」



怪訝そうな顔で見つめる比羅。



それは北神が裏男の体内に吸い込まれていく直前に地上に残した、幽助が霊界との連絡用に魔界に持って来ていたあの通信機であった。


――Dブロック



ギュウウウウウウ



風を操り空を駆ける鈴木は凄まじいまでの連続攻撃を続けていた。



鈴木「くらえーー!!!」


ビュッ!!



空中からの鋭い蹴り。



梟(・・・)



フゥー



その攻撃を素早くかわす梟。



鈴木「クソッ、さっきからチョコマカと逃げやがって」



梟は鈴木から繰り出されている攻撃を全てかわしていた。



――選手達の休憩場



蔵馬「しかし鈴木があれだけの攻撃を仕掛けているというのにダメージを与えられないな」



凍矢「ああ。遠隔攻撃は爆弾で迎撃。直前的な攻撃は全てかわしている」



幽助「それにしてもよー、鈴木のあの闇アイテムは一度受けた相手の技を使えるだけじゃなくてそれを無効にしちまうのだろう?よくあんなもんを作ったよな」


幽助は鈴木の物を作り出す技術に対して感心していた。



凍矢「相手の性質に合わせて作る技術にかけてはあいつは天才的だ。あの闇アイテムも自身の性質に合わせて作った様だ」



蔵馬「俺や桑原君も鈴木の作り出す道具で暗黒武術会では助けられたよ」



暗黒武術会では蔵馬は前世の実を液体として飲むことで妖狐の姿に戻り鴉と闘う事が出来た。そして桑原は試しの剣で戸愚呂(兄)と闘い見事にこれを倒した。



幽助「そういえばあの鈴木の闇アイテムは何て名前だ?凍矢は名前はまだ言ってねーよな?」



蔵馬「そういえば聞いていなかったな。何て名前なんだ凍矢?」



二人の問いかけに少し困った顔をする凍矢。



幽助・蔵馬(??)



不思議そうに顔を見合わせる二人。



凍矢「ほ、ほ・・・」



凍矢は鈴木の闇アイテムの名前をどうやら口に出すのが嫌みたいだ。



幽助「ほ?」



凍矢「ほ・・・本当に強いぞ!!青き模写腕輪だ・・・」


幽助・蔵馬(・・・)



聞いた事を後悔した二人であった。



凍矢(鈴木よ。お前の強さと物を作る天才的な技術は認めるがネーミングセンスだけは認められない・・・)



凍矢が遠い目をした頃、スクリーンに映し出されている鈴木は梟に向かって再び凍矢の技で攻撃を仕掛けようとしていた。



――Dブロック



梟「お前は色々な技を持っているようだが通用しないぞ」



鈴木「そうかよ」



鈴木は空中で動きを止めると手の平に結晶を作り出し始めた。



梟「それはさっき使ってきた氷の技か?」



鈴木「そうだ」



ブォォォォォ!!!



空中で妖気を集中。



ヒョォォォォォ!!!!!


辺り一面に吹雪が吹き荒れる。



ポウ



鈴木の右手に妖気で氷の塊を作り出す。



鈴木「行くぜーー!!!」


ボッ



手の平の氷の塊を吹く鈴木。



魔笛散弾射である。



ガガァァァァァ



氷の塊が梟に襲いかかる。


スッ



梟は走っていた足の動きを止めて両手を前に突き出す。



ボン!!ボン!!ボン!!


鈴木の放った氷の塊は梟に近付くだけで爆発して粉々になっていく。



梟「この技はさっき見せてもらった。もはや通用しない」



鈴木「俺もこれがお前に通用するとは思っていない。あくまでこれは囮だ」



ギュウウウウウ!!!!!


鈴木は梟に接近していた。


ピキィン



梟が氷の塊を防いでいる間に鈴木は凍矢の技の一つである呪氷剣を作り出す。



梟(!!)



鈴木「もらったぞ!!」



ビューー!!!!!



一気に斬りつける鈴木。



ザシュ!!!



梟「ガハッ!!」



口から血を吐き出した。



そして口に着けていたマスクが衝撃で外れる。



度重なる激しい鈴木の攻撃をかわし続けていた梟。



だがついに鈴木の呪氷剣が梟の左肩から右の脇腹までを深く斬り裂いたのだ。



(ニャッ)
鈴木「手応えありだ。急所はギリギリで外してやったぜ。だがその傷では闘えないだろう。さっさと負けを認めて治療しろ」



梟「少し驚いたよ」



ヨロッ



梟の足がふらつく。



鈴木(勝った)



鈴木は勝利を確信した。



――選手達の休憩場



蔵馬「やったぞ」



飛影「いや様子が変だ」



――Dブロック



鈴木「嘘だろ!?」



鈴木は思わず自分の目を疑う。



じゅるじゅる



鈴木の呪氷剣に斬り裂かれた傷が不気味な動きをしながら塞がっていく。



そう戸愚呂(兄)の様に。



そして何事もなかった様に元の状態に戻った梟。



(ニャッ)
梟「驚いたみたいだな?」


マスクが外れた梟は不敵な笑みを浮かべる。



鈴木「再生するとはな。それは予想外に決まっているだろう・・・」



全く予想していなかった梟の傷の再生に驚きを隠せなかった。



――メイン会場



皐月「あの鈴木って男、流石に再生能力に驚いているみたい」



(ニャッ)
イチガキ「ヒョヒョ、梟にはあの男の遺伝子を加えているからのう」



皐月「ああ、樹が何処かから連れて来たあの薄気味悪い男ね。あいつは何年間も一人の男の幻覚と闘い続けていたマヌケな男だよ」



皐月はやれやれっといった顔をする。



イチガキ「じゃが、あの男の再生能力は素晴らしいぞ。ワシの理想の生物兵器を作り出すには欠かす事の出来ない能力だわい」



イチガキは嬉しそうに語る。



皐月「あの薄気味の悪い男の話はもういいよ。今からあの鈴木って男が貴方の実験体にやられていくのだろうね。私の好みだからちょっとやられるのを見るのは嫌だな」



イチガキ「ヒョヒョヒョ」


イチガキは不気味な高笑いを浮かべた。



――Dブロック



梟「一つ聞くがお前は俺の追跡爆弾を使ってきたが一度見た技を使う事が出来るのか?」



鈴木「俺の作り出した闇アイテムは一度身体で受けた技を覚える。自分が使える様になると同時にその技も無効に出来る。今の俺には同じ技は二度通用しないぞ」



(ニャッ)
梟「ククク、なるほどな。二度目の攻撃が効かないのならば一度目の攻撃でお前を倒せば済むことだ」



鈴木「お前にそれが出来るのかよ!」



梟「こおおお」



ズズズズズ



梟の髪の色が変化。



そして口から体内に火気物質を集め始めた。



鈴木「これは・・・」



バチバチバチ



梟の両手に凄まじいまでの妖気が蓄積されている。



――選手達の休憩場



蔵馬「あれはまずいぞ!」


凍矢「あの妖気は鈴木を遥かに上回っている」



――Dブロック



バチバチバチ



梟の両手が起爆装置となる。



梟「ククク、死ね!!」



ダン!!



梟は飛び上がると素早く鈴木に向かって行く。



梟「肢体爆弾(リンボム)」


鈴木(!!)



ドッガァァァァァァァァン!!!!!!!!



梟が起こしたこの爆発は大会で最大規模となる大爆発であった。



梟「ハハハハハ」



梟の笑い声が闘場に響き渡る。



――会場へと続く道



樹の話しを聞いた比羅は行動を起こす為にこの場を立ち去った。



樹「上手く事が運んだ」



樹は比羅の立ち去った後をジッと眺めていた。



ヒューーー



強い突風が吹き荒れる。



樹は風になびく髪を手で軽き掻き上げると静かに呟く。



樹「砂亜羅を殺したのは俺だというのに馬鹿な男だ。だがこれで矢は放たれた」


樹の恐ろしい策略は一歩一歩着実に進み出していた。


樹「必ず忍の邪魔となる芽は早めに摘んでおかねばならない。今度は邪魔はさせんぞ」



樹はそう言うと魔界の空を見つめたのだった。



続く
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