幽☆遊☆白書〜2ND STAGE〜

□大会編02
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――魔界統一トーナメントAブロックの二回戦・第二試合



武威(ぶい)
×
桑原(くわばら)



――選手達の休憩場



ほぼ互角となり激しい闘いを繰り広げている桑原と武威の闘いの行方を躯と時雨は静かに見ていた。



躯「今のところは互角といったところか」



時雨「ですな。しかし桑原の霊気が急激に上昇したのは驚きましたぞ」



躯「フッ、あの劣勢の中で霊気を上げるとは面白い男だ」



時雨「桑原に一体何があったのでしょうか?」



躯「さあな。それは俺も知りたいところだ」



武威の開放した力の前に圧倒されていた桑原が霊気の急激な上昇によって互角までに力を上げた理由を躯達はもちろんの事、幽助達ですらその理由が分かる者はいなかった。



桑原の急激な霊気の上昇の秘密がまさか雪菜の念信による愛の告白が原因とは当人達と棗以外は知るよしがなかった。



躯「時雨、状況が変わってほとんど互角となった今の状態ではお前はどっちが勝つと見ている?」



時雨「躯様、弟子の勝利を信じない師がどこにいましょうか?拙者は桑原が勝つ事を信じております」



(ニャッ)
躯「そうか」



躯は楽しそうに笑みを浮かべた。



時雨(桑原、お前が一回戦で見せた拙者の最強の技を使うのだ。あの技と御主の次元刀が合わさればあやつを必ず倒せるはずだ)



――Aブロック



桑原は武威と力がほぼ互角になった為に消耗の激しい次元刀ではなく霊剣で武威を攻撃。



武威も再び巨大な斧を振り回して応戦していた。



桑原「チクショー!中々、決定的な一撃を与えられねー」



霊剣で武威を攻撃しながらも桑原は次元刀を出すタイミングを狙っていた。



武威「さっきはお前にかなりのダメージを与えたはずだがダメージを感じさせないその動きには驚かされる」



(ニッ)
桑原「それは愛の力だ」



武威「訳の分からない事を」



ビューーーーン!!!!!


巨大な斧で桑原の腹部を狙う。



桑原(キッ!!)



ブォォォォォ!!!!!



霊気を一気に霊剣に集中させる。



ガッ



武威の巨大な斧より遥かに小さな霊剣でその攻撃を受け止める桑原。



桑原「オリャァァァァ!!!!!」



ドガッ!!



巨大な武威の斧を弾き飛ばした。



武威(!)



ズン!!!



弾かれた武威の斧が地面にめり込む。



武威「むっ!」



自分の獲物より小さい桑原の霊剣に弾かれたことに少し驚く武威。



桑原「やっと巡ってきたチャンス!!次元刀ォォォ!!!!!」



桑原は一瞬で霊剣から次元刀に切り替えた。



ビューー!!!



そして素早く次元刀で斬りつける。



武威「フン」



このタイミングでは防御不可能の次元刀をかわせないと判断した武威は両手を十字にクロスさせた。



ズバァァァ!!!!



桑原の次元刀が武威のクロスさせた腕に食い込む。



武威の腕に食い込んだ次元刀を通して血が溢れ落ちる。



桑原「何!?」



武威「甘いわ!!」



グィッ



武威は次元刀を自身の腕に食い込ませたままで桑原をその腕の力で身体ごと持ち上げた。



桑原「うおっ!?なんかヤベーぞ!次元刀を消さねーと」



シュゥゥゥゥゥ・・・



桑原は直ぐに武威の腕に食い込んでいる次元刀を消し去る。



バッ!!



次元刀が消えると同時に武威から離れる為に後ろにジャンプする桑原。



武威「遅い!!」



武威は素早く両手を合わせると武装闘気を集中させた。



武威「ハァァ!!!」



ズドォォォォォン!!!!


巨大な衝撃波が桑原の身体を包み込む。



桑原「うわァァァァァァ!!!」



ドーーーーン!!!!!



桑原の身体が上空に高く吹き飛ばされた。



武威「ウォォォォ!!!」


バッ!!!



武威も高くジャンプする。


桑原「チクショー、強烈な衝撃波だぜ!!」



武威の衝撃波で高く上空まで飛ばされた桑原の身体はある程度の高さで止まる。


桑原(!)



ヒューーー



今度は徐々に桑原の身体は地上に向かって降下していく。



桑原「こ、このままじゃあ地面に思いっきり叩きつけられちまうぜ」

(この勢いで落ちるとかなり痛てーぞ・・・)



地上に向かって下降する桑原の視界に武威の姿が目に入った。



桑原(!!)



武威「くらえ桑原ァァァ!!!」



ビューン!!!



空中で鋭いパンチを桑原に向かって放ってきたのだった。



ドゴォォォォ!!!



武威の強烈な一撃が桑原の腹部に入る。



桑原「ぐわッ・・・!」



まともに直撃する武威の一撃。



武威(ニャッ)



フッ



桑原の腹部に一撃を入れて直ぐに武威の姿が桑原の目の前から消える。



桑原「クソッタレ・・・!」


フッ



そして武威は桑原の真上にその姿を現した。



武威「フン」



ズガァァァァァン!!!!


さらに叩きつけるような強烈な一撃で桑原の背中を激しく攻撃。



ヒューーー!!!



武威の一撃を受けて勢いを増した桑原の身体は地上に向かって急降下。



桑原「ぬわァァァァァ!!!!!」



ドッガァァァァァン!!!


桑原の身体は思いっきり地面に叩き込まれた。



シュタッ



素早く地面に着地する武威。



桑原「痛てて・・・」



桑原は身体を地面に叩きつけられてかなりのダメージを受けていた。



シュルルルルル!!!!!


桑原(ゲゲッ!!)



かなり驚く桑原。



小型の斧である。



先程から続く武威との闘いの中で桑原を苦しめたあの小型の斧が地面に叩きつけられて起き上がろうとしていた桑原をめがけて飛んできたのだ。



フォー



ギリギリで攻撃をかわした。



シュルルルルル!!!



さっきまでと同じくブーメランの様に戻ってくる斧。


桑原「野郎!マジで容赦しねーな。だけどよー、俺はこのぐらいでやられたりしねーぞ!!」



ジジジ・・・



桑原も素早く右手に霊気を集中。



桑原「剣よ、飛べ!!!」


ビュー!ビュー!ビュー!


桑原は素早く右手から霊剣手裏剣を飛ばして迎撃。



ズガガガガ!!!!



霊剣手裏剣によって小型の斧は上に弾き飛ぶ。



バッ!!



ダメージを感じさせない動きで素早くジャンプ。



弾いた武威の小型の斧に向かう。



桑原はジャンプと同時にその右手に霊剣を作り出していた。



桑原「さっきみてーに返すぜ武威!!」



ガキーン!!!



霊剣で小型の斧を武威に向かって打ち返した。



シュルルルルル!!!



武威に向かって飛んで行く斧。



パシッ



桑原が弾き返した自身の斧を右手で受け止める武威。


シュタッ



桑原は地面に着地。



(ニッ)
桑原「今のを受け止めやがったか!!いいキャッチャーになれるぜ武威」



武威(・・・)



――選手達の休憩場



梟の勝利で終わったDブロックの二回戦の第二試合。



梟に倒された鈴木は緊急治療室に運ばれて行った。



蔵馬「鈴木は大丈夫だろうか?」



凍矢「今、鈴駒と陣が鈴木の様子を見に行っている」


蔵馬「そうか・・・」



死々若丸「・・・あいつは悪運だけは強い男だ。こんな事ぐらいで死んだりしないはずだ」



暗黒武術会の前から鈴木を知る死々若丸は仲間達の中では一番鈴木の事を心配していた。



凍矢「蔵馬、お前も電鳳との闘いで受けた傷が酷い。早いうちに治療を受けた方がいい。次のお前の相手は鈴木を倒したあの梟だぞ」


蔵馬の身体のダメージは電鳳との闘いで受けた傷もかなりのものであったがそれ以上に勝つ為に自分自身の体内で育てた毒死草によるものが大きかった。



蔵馬「ああ、分かっている。桑原君の試合が終わったら行くよ」



凍矢「桑原もさっきの危ない状況からよく這上がったな」



蔵馬「そうだな」



(ニコッ)
凍矢「何故か分からないがあの状況からの復活劇は吏将と桑原が闘った時の事を思い出したよ」



桑原はかって暗黒武術会で凍矢や陣のいた魔性使いチームの大将であった吏将と対戦した時は絶対絶命の状況であったのだが土壇場で急激に力を発揮して奇跡的な逆転勝利を納めた。この桑原の復活劇がその時の事に似ていると凍矢は言っているのだ。



凍矢「しかしあの武威が再び現れるとは俺達にも予想外だった」



蔵馬「それはみんな思っているだろうな」



凍矢「蔵馬、お前に一つ聞きたい事があるが、聞いてもいいか?」



スクリーンに映し出されている武威の姿を見ながら凍矢は蔵馬に問いかける。



蔵馬「何だ凍矢?」



凍矢「俺や陣、酎、鈴駒、鈴木、死々若の六人は蔵馬の誘いを受けて幻海師範の元で修行をした。俺達は幽助や蔵馬達と暗黒武術会で関わった面子だ。そして俺達と同様に蔵馬達と関わった者である武威。蔵馬、お前は武威には声をかけなかったのか?」



それは凍矢がずっと抱いていた疑問であった。



死々若丸「俺もそれは気になるな」



蔵馬「死々若・・・」



凍矢「暗黒武術会でお前達と関わりを持った者達の中でも武威の強さはあの時点ではかなりのものだった。あの集まった中に武威がいなかった事に俺はずっと疑問を抱いていた」



死々若丸「蔵馬、計算高いお前の事、実際は武威にも声をかけていたのではないのか?」



蔵馬の側にいる幽助と飛影も凍矢達との話しを聞いている。



凍矢と死々若丸の言葉に対して蔵馬は静かに答え始めた。



蔵馬「ああ、死々若の言う通りだ。武威にも俺は声をかけたよ」



蔵馬はその時の経緯をみんなの前で語り始めたのだった。



――Aブロック



武威「桑原、俺は今から武装闘気を込めた最大の一撃をお前に放つ」



桑原(!)



武威の突然の言葉に一瞬、驚いた桑原であったが直ぐに真剣な顔になった。



桑原「おもしれー!だったら俺もてめーをぶったおす為に最強の技をぶつけてやるぜ!」



ピキーン!!



右手に作り出していた霊剣を消して次元刀を作り出した桑原。



武威「暗黒武術会以後に俺が見につけた最強の技だ。この技でお前の息の根を止めてやる」



桑原「そういえば、てめーは暗黒武術会が終わってから、この大会まで何をやってたのか聞いてなかったな」



武威「俺を倒せたら話してやるぞ」



桑原「別にいいぜ。俺はおめーをぶっ殺すのだからよー」



武威「フッ、行くぞ」



スッ



武威は両腕を後ろに引くと妖気を集中し始めた。



武威「武装闘気・フルパワー!!」



ブォォォォォ!!!!!



武威の全身を包み込んでいる武装闘気が急激に上昇。


ズズズ・・・



武威の身体を徐々に変えていく。



桑原「スゲー妖気だ!?それに武威の姿が変化していっている・・・」



武威「ウォォォォォ!!!!!」



カーーー!!!



武威の身体が一瞬、光に包まれた。



そして光の中から武威がその姿を現す。



武装闘気は物質化して武威の身体を鋼鉄化させていた。



(ニャッ)
武威「待たせたな」



桑原「全くとんでもねー野郎だぜ・・・」



スッ



桑原は少ししゃがみかげんに次元刀を構えた。それは一回戦で牛頭を倒したあの時雨の技の構えであった。


――選手達の休憩場



躯「あれは時雨の技」



時雨(桑原・・・)



――Aブロック



武威「一回戦で見せたあの技か。俺には通用せんぞ」


桑原「武威、それはやってみねーと分からねーぞ!」


武威「分かるさ」



桑原・武威(・・・)



互いに構える二人。



桑原と武威の命をかけた闘いは最終局面を迎えようとしていた。



続く
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