幽☆遊☆白書〜2ND STAGE〜

□大会編02
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――魔界統一トーナメントのDブロックの二回戦・第一試合



蔵馬(くらま)
×
電鳳(でんぽう)



――Dブロック



妖狐・蔵馬(どうするか)



電鳳「折角、地上に降りて来たんだ。男ならガツンと俺と勝負しろ!」



電鳳は右腕に力を込め、筋肉を見せつける。その顔は妖狐・蔵馬を肉弾戦へ誘う為に挑発している。



妖狐・蔵馬(フッ、肉弾戦が余程、あいつは好きな様だな。幽助や酎と闘わせてやりたくなる)



電鳳「どうした?俺が怖いのか?」



さらに妖狐・蔵馬を挑発する電鳳。



妖狐・蔵馬は胸元から鋭い牙を持つ不気味な植物を取り出して、目の前に置いた。



妖狐・蔵馬「ハァァァ!!!」



植物に妖気を通し始める。


ズズズ・・・



直ぐに巨大化した植物。妖気を通すと牙があった部分が大きく膨らみ、目はないが、巨大な口を持つ姿に変化していた。



電鳳「何だあれは?」



妖狐・蔵馬(危険だが、毒死草を育てる為にはこれしかない)



スッ



妖狐・蔵馬は右手で軽く合図した。



植物は口から黒い煙を大量に吐き出し始めた。



黒い煙は妖狐・蔵馬を包み込む。



電鳳「何をするつもりかしらないが、黙って見ているつもりはないぞ」



ググッ



電鳳は右手に妖気を集中。


電鳳「こんな煙は直ぐに吹き飛ばしてくれるわ」



ドン!!!



電鳳の右手から衝撃波が放たれた。



ズォォォォォォ!!!!



衝撃波で煙が一瞬で消し去られた。



煙が消えると妖狐・蔵馬が立っていた。



電鳳「あの一瞬では何も出来なかっただろ?」



妖狐・蔵馬「さあな」



妖狐・蔵馬が呼び出した植物の姿は消えていた。



電鳳「さっきの植物はもう使わないのか?」



妖狐・蔵馬「ああ」



ズズズ・・・



妖狐・蔵馬の右手に植物らしきものが姿を現す。



妖狐・蔵馬(・・・)



ズキューン!!!!



高速のスピードで一気に電鳳に向かって行く。



電鳳「おっ!やっと俺とガチンコで勝負するつもりになったか」



妖狐・蔵馬「お前の望みを叶えてやる」



電鳳「お前とこの試合でまともに闘うのは初めてだな。俺とどこまで闘えるか見てやる」



スッ



妖狐・蔵馬が電鳳の懐に入り込む。



妖狐・蔵馬「樹霊妖斬拳」


ビューン!!!!



ドゴッ!!



電鳳の腹部に妖狐・蔵馬の一撃がまともに入り、拳がめり込む。



妖狐・蔵馬は直ぐに電鳳の様子を見る。



(ニャッ)
電鳳「フフフ、その細い身体の割には中々強力な一撃を放つではないか」



妖狐・蔵馬(まともに入ったはずだ)



ビューン!!



ドゴッ!!!



もう一発、電鳳の腹部に樹霊妖斬拳を叩き込む。



(ニャッ)
電鳳「フフ」



妖狐・蔵馬「俺の攻撃がお前には効いていないのか?」



電鳳「いや、結構効いているぞ。かなりの威力だ。だが俺の喧嘩仲間達は肉弾戦を好む連中が多いのでな。仲間達と喧嘩をする内に身体が頑丈になっただけだ」


妖狐・蔵馬「なるほどな」


バッ



妖狐・蔵馬は素早く電鳳の上にジャンプする。



妖狐・蔵馬「ウォォォォォ」



ズズズ・・・



右手にまとわりつく植物を剣状に変化させる。



電鳳「ほ〜う?」



妖狐・蔵馬の植物の動きを面白そうに見つめる電鳳。その表情には余裕すら感じられる。



妖狐・蔵馬「樹霊妖斬剣」


ビューーーー!!!!



ガシッ



植物の剣を白羽取りで受け止める。



妖狐・蔵馬「ハァァァ!!!!!!」



電鳳を斬り裂くべく植物の剣にさらに妖気を込める。


グググ・・・



妖狐・蔵馬が植物の剣に妖気を込めても、電鳳に受け止められた剣はそれ以上は動く事がなかった。



電鳳「いい一撃だが、まだまだだ」



グッ



電鳳は植物の剣を両手に挟んだまま、その力で妖狐・蔵馬の身体を持ち上げる。


妖狐・蔵馬(!?)



電鳳の力に驚愕する妖狐・蔵馬。



ブーン!!ブーン!!ブーン!!



電鳳はその力に任せて妖狐・蔵馬の身体を回転させ始めた。



妖狐・蔵馬「ムッ!!」



妖狐・蔵馬は右手に作り出していた植物の剣を消し去り電鳳の手から逃れる。



シュタッ



電鳳から少し離れた位置に着地。



妖狐・蔵馬(強い)



――選手達の休憩場



桑原「蔵馬はさっきの植物に煙を吐かせて何をするつもりだったんだろう?」



幽助「直ぐに電鳳の衝撃波に消されちまったから何も出来なかったな」



飛影(蔵馬め、まさか・・・)


飛影は蔵馬の意図に気付いた。



その時、休憩場にアナウンスが流れた。



「桑原選手と武威選手は試合がもうすぐ始まります。会場に向かってください」


桑原「俺の出番か。蔵馬の試合が気になるってのによー」



桑原はスクリーンを見るとAブロックで時雨が乙夜を倒した姿が映し出されていた。



(ニッ)
桑原「時雨が勝ったな。流石に強いぜ」



剣術の師である時雨の勝利を喜ぶ。



パン!



桑原は両手で頬を叩いて気合いを入れた。



桑原「おっし!!行くぜ」


飛影「月畑のように殺されんようにな」



無愛想な顔で桑原を見送る。



桑原「あたりめーだ。殺されてたまるかよ」



幽助「負けるんじゃねーぞ」



親指を立てて闘場に向かう。桑原を見送る。



(ニャッ)
桑原「あたぼうよ。俺様の勝利をここで見とけよ」



桑原も親指を立てて幽助に返す。



タッタッタッタッタ



桑原はAブロックの闘場に向かって走って行く。



桑原(月畑、仇を取るぜ)



桑原は蔵馬と電鳳の試合の結果を見る事なく武威との闘いに挑む。



――Dブロック



ドゴォ!!!



強烈な電鳳の一撃が妖狐・蔵馬の腹部に入る。



妖狐・蔵馬「ガッ!」



ガクッ



腹部を右手で抑えて膝をつく。



電鳳「フン」



バキッ!!



膝をついた妖狐・蔵馬を直ぐに殴りつける。



ヒューーー



ドシャッ!!



妖狐・蔵馬は地面に身体を叩きつけられる。



妖狐・蔵馬と電鳳の闘いは圧倒的な肉弾戦の強さを誇る電鳳がその実力を見せつけていた。



(ハァハァ)
妖狐・蔵馬(クソッ)



ゆっくりと立ち上がる。



電鳳「どうした?終わりか?」



右手をチョイチョイと自分の方に向けて妖狐・蔵馬にかかって来いと合図する。


(キッ)
妖狐・蔵馬「ハァーー」



ズキューン!!!



ボロボロの身体ながら、電鳳に向かって行く妖狐・蔵馬。



ビューン!!



樹霊妖斬拳で電鳳に殴りかかる。



パシッ



電鳳は右手で妖狐・蔵馬の攻撃を受け止めた。



ギュゥゥ



電鳳は妖狐・蔵馬の右手を拳を握り潰す。



妖狐・蔵馬「ウァァァ!!」



右手を握り潰された痛みで顔が歪む。



グイッ



電鳳は妖狐・蔵馬の身体を引き寄せると両腕で妖狐・蔵馬の身体を掴み締め上げ始めた。



メキメキメキ



妖狐・蔵馬「ウァァァァァァ!!!!!」



強烈な締め付けにより鈍い音が辺り一面に響く。



電鳳「俺の締め付ける強さはお前の植物と変わらない筈だ」



メキメキメキ



妖狐・蔵馬「ガハッ!!」


口から血を吐き出す。



電鳳「お前は良く闘った。降参しろ。俺がこれ以上締め付けると身体の骨が全て粉々になるぞ」



妖狐・蔵馬「悪いが、俺はまだ勝負を諦めていないからな」



電鳳「そうか」



ビリビリビリ



電鳳は妖狐・蔵馬の身体を締め付けたまま、自らの身体から雷を発生させ、妖狐・蔵馬の身体に流し込む。


妖狐・蔵馬「アァァァァァァァ!!!!!!」



妖狐・蔵馬の絶叫が闘場に響き渡る。



そして妖狐・蔵馬の頭が下がり動かなくなった。



電鳳「勝負は決した。流石にこれで戦闘不能だろう」


電鳳が勝利を確信したその時。



シュルルル



気を失ったかに見えた妖狐・蔵馬の肩から突然、植物が出て来る。



電鳳(!!)



植物は電鳳の首を締め付け始めた。



電鳳「グワァァァァ!!」


首を締め付けられた為に妖狐・蔵馬を捕まえていた電鳳の腕の力が一気に弱くなる。



妖狐・蔵馬「ハァッ」



ドカッ!!



電鳳の首に巻き付けた植物を離すと素早く電鳳の胸部に蹴りを入れる。



ザザザ



後ずさる電鳳。



クルクルクル



シュタッ



妖狐・蔵馬は身体を回転させて電鳳から距離を取って着地。



電鳳「驚いたな、いきなりあいつの身体から植物が出て来るとは・・・」



植物の出現に驚いた電鳳は妖狐・蔵馬の姿を見てさらに驚く。



電鳳「お、お前、その姿は!?」



妖狐・蔵馬の身体から巨大な植物が姿を現していた。


妖狐・蔵馬「お、驚いたか?こ、これが俺の・・・切札の毒死草・・・だ」



苦しそうな声で話す。



妖狐・蔵馬は自らの身体に小さな毒死草を取り入れて育てていたのだ。



妖狐・蔵馬「これで・・・勝負を・・つけ・・・る」



電鳳(・・・)



毒死草がいよいよその力を見せようとしていた。その力とは・・・?



――会場へと続く道



北神と砂亜羅の闘いが続いていた。



ドスッ



北神「グワァァァ!!!」


黎明「北神ーー!」



北神の肩に突き刺さる砂亜羅の剣。



砂亜羅「これで七回目だな。何回目でお前の命が尽きるかな?」



大会の予選の奇淋との闘いで妖力の大半を失っている為、北神は圧倒的な砂亜羅の前にまともに闘う事も隙を見て逃げる事も出来ずにいた。



北神(力の大半を失っているとはいえ、逃げる事すら叶わぬとは・・・)



砂亜羅「私は相手を苦しめながら殺すのが大好きなのだ」



砂亜羅は北神を圧倒的な力で少しずつ痛ぶるのを心から楽しんでいた。



北神(ゆ、幽助さん・・・)



黎明(私はどうすればいいのだ・・・?)



二人の闘いを見つめていた黎明がこの後、闘いに大きな変化をもたらすことになる。



続く
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