幽☆遊☆白書〜2ND STAGE〜
□大会編02
25ページ/35ページ
――周と飛影の試合が終わった後、魔界統一トーナメントの二回戦は波乱も特になく、滞りなく終わった。
いよいよ大会は三回戦に突入する。
三回戦ともなると弱者の多くが消えて、試合も残った強者達によって、よりハイレベルな闘いになっていく。
そして大会の三回戦の対戦表が間もなく発表されようとしていた。
――選手達の休憩場
天海「ここの担当の樹里が本人の希望によって、一時的に担当から外れる事になりました。代わってAブロックの審判を務めさせて頂いていました天海が今後は担当させていただきます」
二回戦で梟に敗れて瀕死の重症を負ってしまった鈴木の看病に樹里は大会のスタッフから一時的に離れたのだった。
天海「それでは三回戦の試合の対戦表を発表したいと思います」
天海の声が響き渡ると同時にメイン会場と選手達の休憩場のスクリーンに対戦表が映し出された。
魔界統一トーナメント
三回戦の対戦表
【Aブロック】
(1)
時雨(しぐれ)
×
桑原(くわばら)
(2)
魁偉(かいい)
×
修羅(しゅら)
(3)
煙鬼(えんき)
×
孤光(ここう)
(4)
浦飯(うらめし)
×
砌(みぎり)
魔界統一トーナメント
三回戦の対戦表
【Bブロック】
(1)
棗(なつめ)
×
鉄山(てつざん)
(2)
夏越(なごし)
×
飛影(ひえい)
(3)
奇淋(きりん)
×
野晒(のざらし)
(4)
泰斗(たいと)
×
死々若丸(ししわかまる)
魔界統一トーナメント
三回戦の対戦表
【Cブロック】
(1)
九浄(くじょう)
×
酎(ちゅう)
(2)
倉皇(そうこう)
×
楽越(らくえつ)
(3)
燕(つばめ)
×
才蔵(さいぞう)
(4)
孔雀(くじゃく)
×
凍矢(とうや)
魔界統一トーナメント
三回戦の対戦表
【Dブロック】
(1)
蔵馬(くらま)
×
梟(ふくろう)
(2)
仙道(せんどう)
×
黄泉(よみ)
(3)
躯(むくろ)
×
刹那(せつな)
(4)
暗礁(あんしょう)
×
痩傑(そうけつ)
――メイン会場
三回戦の対戦表が発表された。メイン会場の観客席にいる妖怪達の間でざわめきが起こる。
「おいおいおい!各ブロックの第一試合が凄い事になっているぜ」
「注目の試合が目白押しだ」
「どのブロックの試合を集中して見るのか迷ってしまうな」
小兎「魔界統一トーナメントの三回戦を間もなく始めます。第一試合に出場する選手は闘場に向かって下さい」
――選手達の休憩場
その頃、闘場に向かおうとする男女の姿があった。
酎「棗さん、行ってくるぜ。棗さんも頑張るんだぜ」
棗「酎こそ頑張りなさいよ。何度も言うけど九浄は私より強いよ。さらに今回は酎との賭けがあるから、九浄の奴はいつもより尚更強いと思うわよ」
酎「棗さん、俺は九浄に勝って見せるぜ。そんで棗さんにもう一度プ、プロポーズするぜ」
顔を真っ赤にして話す酎。
その姿を見て楽しそうに棗は笑う。
棗「フフ、本当に茹で蛸みたいね。酎、貴方の私への気持がどれだけのものか、この試合で証明してもらうわよ。九浄にもし本当に勝てたら私は貴方のプロポーズを受ける」
酎(!!)
ブォォォォォ!!!!!
棗の言葉に急激に妖力を上げる酎。
酎「絶対に勝ーーつ!!」
もしかしたら酎の思考回路は桑原と同レベルなのかもしれない。
酎「よし、行くぜ」
酎は自分の頬を両手で叩くと、張り切って闘場の階段を上っていった。
棗「やれやれ」
そこに棗の双子の兄の九浄も闘場に向かう為に姿を現した。
九浄「棗、お前も今からみたいだな。鉄山が相手とは面白そうだ」
棗「そうね。あいつと闘うのは何百年ぶりどころじゃないわね。もう分からないぐらい闘っていないよ」
九浄「今となってはこんな大会がないと俺達が闘う事なんかないからな。楽しんでくればいいさ」
棗「もちろんよ。でもこの試合は私は絶対に勝たないといけないの」
妹の言葉に不思議そうな顔をする。
九浄「棗、何か訳でもあるのか?」
棗「この試合が終わったら話すよ。九浄も酎が私にボロボロにされていた頃の酎と思ったら大間違いよ。甘く見てあっけなく倒されないようにね」
(ニヤッ)
九浄「分かっているぜ。あの酎の奴とやっと真剣に闘えるんだ。これは燃えないわけないぜ」
棗(兄と恋人。やっぱり私はどっちが勝っても色々と複雑だわ)
棗と九浄の双子の兄妹はそれぞれの闘場に向かった。
そして救護室から試合の為に選手達の休憩場に戻って来ていた桑原と蔵馬が、棗達と入れ替わる様に闘場に繋がる階段の入口にやって来た。
闘場の階段を上がろうとしていた二人に幽助と飛影が声をかけていた。
幽助「おめーらは三回戦の第一試合から試合だな。負けるんじゃねーぞ」
蔵馬「俺は負けるつもりはない。あの男が鴉だろうが梟だろうが関係ない。鈴木を倒したあいつは絶対に倒してみせる」
鈴木に瀕死の重傷を負わした梟に対して怒りに燃えていた。
幽助「そんで桑原、おめーの相手は躯のとこの時雨だな」
桑原「ああ。俺は数日だったがあいつに剣術を習った。剣術の師匠であるあいつに勝てるか分かんねーが、全力でぶつかるまでだぜ」
ちょっと弱気な桑原に飛影が話しかける。
飛影「フン、お前がフルパワーの武威を倒した時の力を出しさえすれば時雨には負ける事はないだろう。今のお前の霊力はそこまで上がっている」
桑原「マ、マジかよー。俺ってそんなに霊力が上がってんのか!?殆ど実感がないぜ」
飛影の言葉に驚く。
飛影「やれやれお気楽な奴だぜ。それより蔵馬」
飛影は真剣な顔で蔵馬に話しかける。
蔵馬「何だ飛影?」
飛影「お前が今から闘うあの野郎が鈴木を倒した時に放っていた妖気はお前よりも間違いなく上だったぞ」
蔵馬「そうだな」
飛影「お前が毒死草を使ってどうにか倒した電鳳より、あの野郎は上だ。毒死草もおそらく通用しないぞ。かなり厳しい闘いになる筈だ」
蔵馬「それは分かっている」
蔵馬はそう言うと背を向けて闘場の階段を上がっていった。
蔵馬「幽助、飛影、桑原君」
階段の途中で足を止めて振り返る。
幽助「?」
飛影「何だ蔵馬」
(ニコッ)
蔵馬「見ているがいい。勝負に絶対がないところを俺が見せてやる。みんなを驚かせてやるさ」
そう笑顔で言うと一気に階段を駆け上がっていった。
桑原「蔵馬、負けるんじゃねーぞ」
桑原は鴉の姿をした梟に命掛けで挑む蔵馬の背中に向かってエールを送った。
飛影「蔵馬には何か策がありそうだ」
幽助「そうみてーだな。
飛影、蔵馬と鴉みたいな奴はどっちが勝つとおめーは見てる?」
飛影「今の蔵馬ではかなり勝算が薄い。だが、蔵馬の事だ、あいつが言った通り、俺達を驚かす何かをやってくれるだろうぜ」
幽助「試合には負けちまったけど鴉を暗黒武術会で倒した時もあいつはやってくれたからな」
桑原「じゃあ浦飯、飛影、俺も行ってくるぜ」
(ニッ)
幽助「頑張れよ」
桑原「任せておけって!」
桑原は走って闘場の階段を上がっていった。
幽助「飛影」
桑原の後ろ姿を見ながら飛影に声をかける幽助。
飛影「何だ?」
幽助「しかし桑原が狙われる能力って一体どんなもの何だろうな?興味がわかねーか?」
飛影「あの馬鹿は空間ごと斬るような非常識な奴だ。さぞかし常識外れな能力だろう」
比羅達、魔光気を持った者達が狙う桑原。彼らの目的である桑原の能力は未だに謎に包まれていた。
――メイン会場
スクリーンにはA〜Dブロックに八人の選手達が映し出されていた。
Aブロック
時雨(しぐれ)
×
桑原(くわばら)
Bブロック
棗(なつめ)
×
鉄山(てつざん)
Cブロック
九浄(くじょう)
×
酎(ちゅう)
Dブロック
蔵馬(くらま)
×
梟(ふくろう)
小兎「それでは魔界統一トーナメント三回戦の第一試合を始めたいと思います」
怒涛の激戦となる各ブロックの三回戦。
その注目の第一試合が始まろうとしていた。
続く