幽☆遊☆白書〜2ND STAGE〜

□大会編02
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――魔界統一トーナメントのDブロックの二回戦・第一試合



蔵馬(くらま)
×
電鳳(でんぽう)



――Dブロック



妖狐・蔵馬の身体から毒死草が姿を現した。



妖狐・蔵馬「行くぞ」



毒死草の中心部には目玉のようなものが見え、その少し先には口らしきものがある。



グワァ



毒死草は奇声を上げて口を大きく開けた。



ズォォォォォ!!



凄まじいまでの霧のブレス吐き出す。



霧は一瞬で妖狐・蔵馬と電鳳の姿を隠すように包み込む。



――選手達の休憩場



飛影(蔵馬はやはり自分の身体に取り込み、毒死草に妖気を通したか)



幽助「スゲー霧だな。蔵馬はいつの間に体内に入れたんだ?」



飛影「分からないのか?さっきの黒い煙を出した時に決まっているだろう」



幽助「あん時か」



飛影「毒死草は妖気を通してから使えるまでに時間がかかる。普通に妖気を通す事は電鳳に邪魔をされて出来ないだろうからな」



幽助「蔵馬はあんな植物を身体に入れて大丈夫なのか?」



飛影「大丈夫なわけないだろう。かなり苦しい筈だ。それに本当に恐ろしいのは・・・」



幽助「何だ?」



飛影「毒死草の効果だ」



飛影は再び相樂を倒した時の事を思い出した。



――飛影の回想



相樂の前に毒死草が姿を現す。



相樂「何だ?この植物は!?」



蔵馬「行け」



グワァ



ズォォォォォォ



毒死草は霧のブレスを吐き出した。



霧は蔵馬と相樂を包み込む。



相樂「これは霧か!?」



一瞬で辺り一面が霧に包み込まれた為に驚く相樂。



ドクン



相樂「うがが・・・」



相樂の身体から急に力が失われていく。



ググッ



相樂「どういう事だ!?力が急に抜けたと思ったら今度は身体が動かん」



蔵馬「この毒死草が吐き出した霧は毒が含まれている。この霧に触れた者は一時的だが、身体の動きを封じると同時に妖力を数段階は落とす事が出来る」



ガクッ



そういうと蔵馬も相樂と同じ様に膝を地面につく。



蔵馬「それは同じ霧の中にいる俺も同じ事だがな・・・」



飛影「一体、あの深い霧の中で何が行われているのだ?」



一人、霧の外にいる飛影には中で何が行われているのか分からない。



その時、霧の外にいる飛影に向かって蔵馬は大きな声で叫ぶ。



蔵馬「飛影!この霧は一時的なものだ。霧が晴れたら、お前は直ぐに相樂を攻撃するんだ」



飛影「何を訳の分からない事を。何なら今からでも奴を攻撃してやるぞ」



飛影はいつでも霧の中に飛び込む構えだ。



蔵馬「よせっ!今は黙って俺の言う通りにしてくれ」


相樂「クソーッ!身体がほとんど動かす事が出来ん!」



相樂は身体を動かそうとするが毒により身体の自由を奪われていた。



暫くすると毒死草が吐き出した霧は晴れていく。



カチャッ



飛影は剣を構える。



飛影「なるほど、さっきの霧に何か動けなくする力があったようだな」



蔵馬「今だ飛影!!」



飛影「ハァーー!!!!」


ズキューン



飛影は高速のスピードで動けない相樂に向かって行く。



相樂(!)



飛影「死ね」



シャキーン!!!シャキーン!!!シャキーン!!!


相樂「ギャァァァァ!!!」



動けない相樂を飛影の剣が容赦なく斬り刻む。



ドシャッ



相樂は全身を十数ケ所も飛影に斬られて息絶えた。



飛影「手間をかけさせやがって」



カチャッ



剣を鞘に納めると飛影は毒死草の効果で動けなくなっている蔵馬のいる所へやって来る。



蔵馬「やったな飛影」



飛影「お前も動けなくなっているようだな。どういう事か詳しく話せ」



蔵馬「ああ」



蔵馬は毒死草の事を飛影に詳しく説明した。



飛影「そういう事か。しかし、お前がその様では俺がいなければ奴を倒せなかったぞ」



蔵馬「まあね。本来ならこれの毒消草を調合しているんだが、相樂がここまで強いとは思わなかったから持ち合わせていなかったんだ」



飛影「あの時、俺がお前の静止を聞かなければどうしていた?」



(ニコッ)
蔵馬「その時は動けるようになって、相樂と闘いながら考えるよ」



蔵馬は笑みを浮かべながら少しおどけた口調で話した。



飛影「チッ」

(顔は笑っているが、こいつの目は俺が計算通りに動くと確信していたっていってやがる)



蔵馬「ところで、飛影はどうしてここに?」



飛影「お前には関係ない」


蔵馬「フッ、俺が以前、お前を助けた時に口走っていた雪菜って子が関係しているんじゃあないのか?」



飛影(・・・)



蔵馬「まあいいさ。飛影はこれからどうするんだ?」


飛影「さあな。俺はそろそろ行く」



蔵馬「そうか。飛影、お前とはまた会うような気がする」



飛影「俺はごめんだ」



(ニコッ)
蔵馬「フッ」



タッタッタッタッタ



飛影は蔵馬の前から走り去っていった。



走りながら飛影は蔵馬の事を考える。



飛影(蔵馬か・・・、敵にはまわしたくない野郎だぜ)



その約八ケ月後、二人は手を組み剛鬼と共に霊界の秘宝を盗む事になる。



――飛影の回想・終了



飛影(あの一件から俺は蔵馬を敵にまわすのをやめた)



飛影はスクリーンに目を移す。



スクリーンに移るDブロックは凄まじいまでの霧に包まれている。



飛影「これでこの闘いはもうすぐ決着がつく」



――Dブロック



電鳳「凄い霧だ」



辺りを見回す電鳳。



妖狐・蔵馬「これでお前を倒す」



電鳳「たかがこんな霧で俺を倒せるものか」



妖狐・蔵馬の言葉を聞いて不思議そうな顔をする電鳳。



ドクン



電鳳(何だ!?)



その時、電鳳の身体に異変が起こる。



ガクッ



電鳳は膝を地面につく。



妖狐・蔵馬「効いてきたようだな」



妖狐・蔵馬はそういうと口に小さな草を含んだ。



電鳳(何を口に入れたんだ?)



電鳳「お、お前は何をしたんだ?急に力が」



妖狐「これは毒死草だ。妖気を通す者の妖力の大きさに比例してより強力な毒となる霧を吐き出す植物」



電鳳「毒だと」



妖狐・蔵馬「妖力に差があるお前を倒すにはこの毒死草しかなかった。この霧に触れている者は身体の自由を奪い数段階は妖力を落ちる」



電鳳 「お前もこの霧に触れているのに平気なのは何故だ?」



妖狐・蔵馬「俺が何の準備もなくこの植物を使うと思うか?毒消草は準備してあるさ」



電鳳「毒消し草か」



妖狐・蔵馬「ああ」



電鳳(さっき飲み込んだのがそうか)



妖狐・蔵馬は少しずつ電鳳に近づく。



妖狐・蔵馬「毒の効果で妖力の落ちた今のお前なら倒せる」



(ニャッ)
電鳳「なるほど、こんな切札があるとはやられたぞ。流石はあの雷禅の息子の友達だ」



妖狐・蔵馬「ハァァァァ!!!」



ビューン!!!



樹霊妖斬拳を電鳳に向かって放つ。



ドゴォォォォォ!!!!



電鳳「ガハァァァ!!!」


妖狐・蔵馬の拳が電鳳の腹部に深くめり込む。



ドスン!!!



電鳳は血を吐いてその場に倒れた。



妖狐・蔵馬「倒したか」



妖狐・蔵馬は倒れた電鳳を見つめる。



電鳳は妖狐・蔵馬の一撃で完全に気絶していた。



審判「終わったみたい・・・」



隠れて試合の様子を見ていた審判が倒れた電鳳の様子を伺う。



審判「気絶している・・・。Dブロックの二回戦の第一試合は蔵馬選手の勝利です!!」



審判は妖狐・蔵馬の勝利を宣言した。



ドスン



妖狐・蔵馬はその場に座り込む。



シュゥゥゥゥ



妖狐・蔵馬の姿が南野秀一の姿に変化していく。



蔵馬「フゥ〜、なんとか勝てたな」



チラッ



自分の身体から出ている毒死草を見る。



(ニコッ)
蔵馬(やれやれ、身体で育てた毒死草を枯らすのが大変だな)



蔵馬は苦笑いを浮かべると身体で育てた毒死草を妖力で枯らしたのだった。



――選手達の休憩場



修羅「パパ、蔵馬が勝ったよ」



黄泉「ああ」

(流石だ蔵馬)



――選手達の休憩場に続く階段



試合を終えた蔵馬は休憩場に続く階段を下りていた。


グラッ



蔵馬の足がふらつき、壁に手をつく。



蔵馬(思ったよりダメージが大きい。瑠架に治療してもらわないと俺の薬草だけでは流石にきついな」



ブォォォォォ!!!



蔵馬(!)



強力な妖気が近づいて来るのを蔵馬は感じた。



蔵馬の目の前に現れたのはDブロックの第二試合に出場する為に闘場に向かう梟であった。



蔵馬(梟か)



梟も蔵馬の存在に気付く。


蔵馬と梟の目が合った。



蔵馬・梟(・・・)



一瞬、二人の間に緊張が走る。



スッ



梟は何も言わずに蔵馬の横を通り過ぎた。



蔵馬「待て」



梟を呼び止める。



梟「何だ?」



梟は蔵馬の方を振り向かずに足を止めた。



蔵馬「梟、お前はあの鴉なのか?」



蔵馬の問いかけに梟は表情を変えることなく答える。


梟「それはお前の目で確かめたらどうだ?」



蔵馬「・・・そうさせてもらう」



ビューーー!!



蔵馬は素早く振り向くと同時に胸から薔薇を取り出すと鞭化して梟を攻撃。



ブォーン



梟の姿が消え去る。



蔵馬(消えた!?)



その時、蔵馬は背後に気配を感じた。



梟「いきなり攻撃してくるとはな」



梟の声が背後から聞こえると同時に髪の毛に違和感を感じた。



梟は蔵馬の長い髪の毛を優しく触る。



梟「髪の毛はちゃんと手入れがされている。トリートメントは使っているようだ」



蔵馬「貴様ー!」



蔵馬が直ぐに梟に攻撃を加えようと振り向くと梟の姿は消えていた。



蔵馬の額から冷や汗が流れ落ちる。



蔵馬「今の感覚は間違いなくあの鴉だった・・・」



コツコツコツ



鈴木が闘場に向かう為に階段を上ってきた。



鈴木「お疲れ蔵馬。かなり苦しい闘いだったな」



蔵馬「ああ」



鈴木は蔵馬の身体の状態を見て驚く。



鈴木「かなり酷い怪我をしているじゃないか!直ぐに治療をした方がいい」



蔵馬「ああ、そのつもりだ」



鈴木は直ぐに蔵馬の様子がいつもと違う事に気付いた。



鈴木「その顔は怪我の痛みではないな?何かあったのか?」



蔵馬「何でもない。大丈夫だ」



鈴木「それならいいが、俺は今から試合だ。これに勝てば三回戦は蔵馬だ。三回戦は宜しく頼むぜ」



蔵馬「ああ」

(あいつの相手は鈴木なのか・・・)



鈴木「俺はそろそろ行くぜ」



蔵馬「鈴木、相手はかなり強いぞ。油断するな」



真剣な顔で鈴木に話す。



鈴木はあまりの蔵馬の真剣な顔に一瞬、驚いたが笑顔で答える。



(ニコッ)
鈴木「ああ、大丈夫だ。蔵馬も早く治療しろよ」



鈴木はそう言うと階段を上って行った。



鈴木の後ろ姿を見ながら蔵馬は呟く。



蔵馬「あいつの妖力は今の鈴木より上だ」



――Aブロック



闘場に到着した桑原と武威が対峙していた。



桑原・武威(・・・)



お互いの顔を見つめる二人。



桑原「武威、てめえには負けねーぞ!月畑の仇を取らせてもらうぜ」



武威「お前も同じ場所に直ぐに連れて行ってやる」



Aブロックでは桑原と武威の闘いが今始まろうとしていた。



続く
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