幽☆遊☆白書〜2ND STAGE〜

□大会編02
4ページ/35ページ

――会場へと続く道



大会では蔵馬が電鳳を倒した頃、砂亜羅と北神の闘いも終焉を迎えようとしていた。



北神「ぐわァァァ!!」



砂亜羅の剣が北神の左足の太股に深く突き刺さった。


ズボッ



砂亜羅は北神の足に突き刺した剣を引き抜く。



砂亜羅「フフッ」



ビューー!!



剣を引き抜くと同時に腹部を斬りつける。



ズバァァァ!!!



北神「うぐぐ・・・」



ドシャッ



度重なるダメージに決定的ともいえるこの一撃により北神にはもはや立ち上がる力が残っていなかった。



砂亜羅「これで動く事は出来ないだろう」



カチャッ



砂亜羅は剣を上から北神に突き刺すべく構える。



黎明「北神!!」



砂亜羅「暇潰しにはなったぞ」



(キッ)
北神「クソッ」



北神は倒れた状態から砂亜羅を睨みつける。



砂亜羅「死ね」



ビューー



砂亜羅の剣が振り下ろされた。



ザクッ



砂亜羅(!)



剣は北神にではなく地面に突き刺さった。



砂亜羅「黎明!!」



黎明が素早く北神を助け出していた。



北神「すまない黎明、助かったぞ・・・」



黎明「お前だけを闘わせてすまない」



砂亜羅「その男を助けるとはどういうつもりだ?」



黎明は砂亜羅を睨みつけながら答える。



黎明「お前が言う通り俺はお前の仲間かもしれない。だが、今の俺の大切な仲間の北神を傷つけるお前をこれ以上俺は許せない」



砂亜羅「何!」



黎明「瀕死の重症を負って倒れていた俺をこの北神が助けてくれた。今こそ、その時の恩を返す時だ」



北神「黎明・・・」



スッ



黎明「幽助の大切な物だ」


北神に幽助の霊界との通信機を渡す。



黎明「行くぞ」



砂亜羅を相手に闘う為に構えて戦闘態勢に入った。



黎明「ハァーー!!」



ズキューン



高速のスピードで素早く動き一気に砂亜羅に向かって行く。



砂亜羅(!?)



ビューン!!!



鋭いパンチを砂亜羅の顔面に向かって放った。



バキィィィィ!!!



ザザザ



砂亜羅が後ずさる程の強烈な一撃が顔面に入る。



ピシッ



砂亜羅の仮面に亀裂が入る。



パリーン



砂亜羅の顔を隠していた仮面が割れた。



その素顔は比羅と瓜二つの金髪の美しい女性であった。



砂亜羅「驚いたな。記憶を失い力も使えないと思っていたら、以前とあまり変わらないスピードだ」



黎明・北神(女だと!?)



砂亜羅の仮面の下の素顔が女性と知り驚く二人。



砂亜羅「私の身体に傷つけるとは仲間とはいえ容赦しないぞ。戦闘不能にしてから比羅の所へ連れて行ってやる」



カチャッ



剣を黎明に向けて構える。


ズキューン



砂亜羅も高速のスピードによる素早い動きで黎明に近付く。



砂亜羅「ハァァ!!!」



ビューー!!!



黎明の肩に向けて斬りかかる。



フォッ



黎明は素早くよける。



砂亜羅「かわしたか。ならばこれならどうだ」



ビューーー!!!!!



さらに剣のスピードを上げて砂亜羅は攻撃。



フォッ



黎明はこの攻撃も難なくかわす。



砂亜羅「ウォォォォ」



激しい連続攻撃を黎明に向けて開始する砂亜羅。



黎明はこの激しい連続攻撃すら難なくかわし続けている。



黎明(俺はこんなに早く動けたのか!?)



北神に助けられてからは怪我の為に動く事をしなかった黎明は自分でも予想しなかった身体の動きに驚く。


記憶がなくとも黎明の身体が反射的に動いていた。
黎明自身は気付いていないが記憶がある時に近い動きをしていたのだ。



北神(黎明のスピードは私より遥かに上だ)



砂亜羅は黎明への激しい連続攻撃を止めて黎明を見つめる。



砂亜羅「記憶がなくとも身体が覚えているようだ。だが、お前の持つ特殊能力は使えないだろう」



黎明「特殊能力?」



砂亜羅「記憶がないお前に私の力を見せてやる。まさか仲間にこの技を使うとは思わなかった」



ビュォォォォォ!!!



砂亜羅のまわりに強い吹雪が吹き始める。



黎明「これは凍気か!」



砂亜羅「その身体にこの一撃を受けたら記憶が蘇るかもな」



カチャッ



剣を高く掲げると円を描く様にゆっくりと回転させ始めた。



キュンンンンンンン



剣に凍気が吸収されていく。



北神「これを受けるのは黎明まずいぞ!!」



黎明「分かっている」

(あの技は確かに俺は昔見た事がある)



砂亜羅「魔氷剣」



砂亜羅の剣は吹雪を吸収し、ピンク色の透き通るような美しさを醸し出している。



砂亜羅「行くぞ!!」



ズキューン



先程と同じ様に砂亜羅は高速のスピードで近付き、黎明に斬りかかる。



砂亜羅「ハァ!」



ビューー



黎明(スピードがさっきと同じだ。これならかわせる)



フォッ



黎明は砂亜羅の攻撃を先程と同じ様にかわす。



ビュォォォォォ!!!!



砂亜羅の剣から凍気の塊が放出されて黎明に向かっていく。



黎明「何!?」



すかさずかわそうと試みた黎明だが完全にかわしきれずに左腕に塊が触れてしまった。



黎明「ぐっ・・・」



ピキーン



黎明の左腕が凍りつく。


黎明「私の左腕が!?」



(ニャッ)
砂亜羅「記憶があれば私の技の防ぎ方が分かっただろうが、身体が覚えているだけの動きでは流石にこの技は防げなかったな」



黎明「クソッ」



ググッ



黎明は左腕を動かそうとするが凍りついている為に動かす事が出来なかった。



砂亜羅「ハハハッ!その左腕はもう使い物にならないぞ」



ビューー!!!



砂亜羅は笑い声を上げながら再び黎明を斬りつける。


黎明「ぬっ!」



砂亜羅の攻撃をかわそうと横に動いた。



ズバッ!!!



黎明「ウァァァァ!!」



砂亜羅の剣に右肩を斬られた。



ビューー!!



さらに斬りつける砂亜羅。


ズバァァァ!!!



黎明の腹部を浅く斬り裂く。



黎明「何故だ!?攻撃の速度は同じなのにかわせない」



砂亜羅「片腕が凍りついた事でお前の身体のバランスが崩れた。さっきまでの動きが出来ていないという事だ」



黎明(・・・!)



黎明の表情に焦りが見え始める。



北神(あいつは何故、黎明の左腕を凍らせた様に他の部分を凍らせないんだ?足を凍らせてしまえば黎明はもう動けないはずだ)



砂亜羅「ハハハ」



砂亜羅は笑いながら次々と黎明を斬りつけていた。



ズバッ!!



シュー!!



黎明(このままではまずい)


グッ



今の状態ではかわせないと判断した黎明は防御に集中し始める。



砂亜羅の激しい連続攻撃は続く。防御に集中した為に大きなダメージはなくなったが小さな斬り傷が黎明の身体に次々と刻まれていた。



黎明「ハァハァハァ・・・」


ポタポタポタ



黎明の足下には血が次々と滴り落ちていた。



出血が酷く苦しい表情を見せる。



北神(あいつは黎明の身体をわざと凍らせないんだ。黎明を少しずつ攻撃して苦しむ姿を見て楽しんでいる。味方であった者にまであそこまでするとはなんて奴だ)



ドスッ



砂亜羅の剣が黎明の右肩を貫く。



北神「黎明!!」



にゅるるる



北神はその場から立てないまでも軟体術で首を長く伸ばして砂亜羅に向かっていった。



北神「貴様ーー!!!」



グルグルグル



砂亜羅「むっ」



北神は伸ばした首で砂亜羅の背後から素早く巻き付いた。



ピシッ



北神「私がいることを忘れていたな。捕まえたぞ!これでお前を締め付けてやる」



ギシギシギシ



砂亜羅の身体を北神は締め付け始めた。



砂亜羅「ぬうゥゥゥゥ」



スッ



締め付けの力により黎明の肩に突き刺したまま砂亜羅の手から剣が離れる。



北神「これでどうだ!!!」



メキメキメキ



砂亜羅の身体から鈍い音が響く。



砂亜羅「・・・お前にこんな力が残っているとは驚いたよ。でもこの程度では私を倒す事は出来ない。直ぐに外してくれる」



ブォォォォォォ!!!



砂亜羅は巨大な魔光気を放出し始めた。



北神「まずい・・・」



砂亜羅の巨大な魔光気の前に北神の締め付ける力が徐々に弱まっていく。



黎明「それはどうかな」



カチャッ



黎明は砂亜羅の剣を手に取り構えていた。



砂亜羅「黎明・・・」



黎明「これで終わりだァァァァァ!!!」



黎明は大きな声で叫ぶと、北神に締め付けられて見動きのとれない砂亜羅に向かって剣を突き刺すべく走り出す。



砂亜羅「お前は仲間を殺す気なのか!!!」



砂亜羅は黎明に向かって叫ぶ。



黎明「構わない。お前と闘う事を決めた時点で覚悟は出来ている」



砂亜羅(!?)



ズボォォォォォ!!!!!ッ



砂亜羅は瞬間的に北神の締め付けをふりほどいたが、黎明の剣をかわしきれずに左胸に剣が突き刺さる。



砂亜羅「ぬァァァァァァ!!!」



砂亜羅の絶叫が響き渡る。


スポッ



北神の首が本体に戻る。



北神「やったか!」



黎明「まだだ」



砂亜羅は凄い形相で北神と黎明を睨みつける。



左胸から大量の血が流れ落ちている。



砂亜羅「黎明、よくも!もはや仲間とは思わん。その男と一緒に殺してやる」



ブォォォォォ!!!



砂亜羅の身体から凄まじいまでの魔光気が放出され出した。



黎明「やばいな・・・」



北神「これまでか」



ズズズ



その時、北神と黎明の背後に巨大な顔をした妖怪が現れた。



黎明「あれは!?」



砂亜羅「な、何だこいつは??」



突如、現れた巨大な顔をした妖怪の出現に驚く黎明と砂亜羅。



北神「こいつは裏男!?な、何故こんな場所に」



ズズズ



さらにもう一体の裏男が姿を現す。



黎明「もう一体増えたぞ!」



砂亜羅「化物め!」



カチャッ



砂亜羅は裏男に向けて剣を構える。



「裏男よ」



何処からか声が聞こえてきた。



ヒュォォォォ



二体の裏男が同時に口を開くと一体の裏男に砂亜羅、もう一体に裏男に黎明と北神が吸い込まれていく。



北神「クソッ、幽助さんのこの通信機だけは・・・」



北神は幽助の通信機を地面になんとか置いた。



ヒュォォォォ



北神・黎明「ウワァァァ!!!」



砂亜羅「化け物め!!」



三人は二体の裏男の体内に吸い込まれてしまった。



――裏男の体内



黎明「ここは?」



北神「裏男の身体の中だ」


裏男の身体の中は亜空間となっていた。



「貴方は裏男を知っているようね」



何処からか女性の声が聞こえてきた。



ズズズ



亜空間の中に一人の美しい女性が姿を現した。



北神「何者だ!」



北神は突然現れた女性を睨みつける。



(ニコッ)
「私は闇撫の皐月」



北神「闇撫だと!?」



(ニコッ)
皐月「貴方達はここからはもう逃げられない」



皐月は妖しい笑みを浮かべた。



――もう一体の裏男の体内


砂亜羅「ここは一体何処だ!?」



亜空間に戸惑う砂亜羅。



ズズズ



「ここは裏男の体内にある亜空間だ」



砂亜羅「お前は樹・・・」



砂亜羅の目の前に姿を現したのは闇撫の樹であった。


驚く砂亜羅に向かって樹は呟く。



(ニャッ)
樹「俺の領域にようこそ」


樹の野望に満ちた目で砂亜羅を見つめると不敵な笑みを浮かべた。



続く
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ