幽☆遊☆白書〜2ND STAGE〜

□大会編02
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――大会を一望出来る崖の上



駁「おい比羅!気付いているか?」



比羅「ああ。砂亜羅の気が途切れた」



先程まで感じられていた砂亜羅の魔光気が突然、途絶えたのだ。



駁「比羅、砂亜羅はさっきまで攻撃的な気を放出していた。誰かと闘っていたのではないか?」



比羅「おそらくはな。暇つぶしに妖怪か何かを狙って攻撃していたのだろう」



駁「その砂亜羅の気が途絶えたという事はあいつの身に何かあったのではないのか?」



比羅(・・・)



比羅は目を瞑り何かを考え始めた。



比羅「弥勒!」



比羅は同士の一人である弥勒に声をかける。



弥勒「何だ?」



比羅と同じ金髪の男が比羅の隣に歩いて来た。



弥勒は短い金髪の細身の男。その容姿はハンサムではないが特徴のある顔つきで優しげな表情をしている。


比羅「お前も砂亜羅の気が途絶えたのは分かるだろう?私は様子を見て来る。私が戻るまではここの指揮はお前にまかせていいか?」


弥勒「分かった。何をしているのかは知らないが、お前のじゃじゃ馬の妹をさっさと見つけて来い」



(ニャッ)
比羅「すまんな。直ぐに戻る」



ブォーン!!



比羅の姿が消え去った。



駁「やれやれ、勝手な行動を許すからこんな事になる」



(ニコッ)
弥勒「あの比羅も肉親には甘いさ」



――魔界統一トーナメントのAブロックの二回戦・第二試合



武威(ぶい)
×
桑原(くわばら)



――メイン会場



小兎「Aブロックの二試合目は本大会の唯一の人間である桑原選手、そして一回戦で月畑選手を一撃の下に倒して観客の皆さんのど肝を抜いた武威選手が登場します!!!」



「武威!!一回戦の様にその人間を真っ二つにしてやれー!!」



「スカっとする闘いを見せてくれよ武威!!」



一回戦の衝撃的な試合から武威を応援する観客が多くなっていた。



雪菜「和真さん・・・」



興奮する観客達の中で雪菜だけはスクリーンに映る桑原を心配そうに見つめていた。



雪菜は桑原と今から闘う相手となる武威に目を移す。


雪菜「あの人が和真さんの相手。なんて恐ろしい妖気なの。あの人は間違いなく和真さんを殺すつもりでいる」



――選手達の休憩場



時雨「桑原よ、あの者は手強いぞ。心してかかるのだ」



時雨は三回戦進出を決めて休憩場に戻って来ていた。桑原と武威を映しているスクリーンを見つめる。



時雨「あの者を倒して勝ち上がって来い。三回戦では拙者が御主を待っているぞ」



――Aブロック



天海「始め!!」



審判の天海の試合開始の合図の声が闘場に響き渡る。


桑原と武威は互いを見つめる。



桑原「行くぜ武威!!」



ジジジ・・・



桑原は右手を前に突き出す。



桑原「霊剣ンンンンンンン!!!!」



桑原の右手に霊剣を作り出した。



桑原「ぶった斬ってやるぜェェェェ!!!」



タッタッタッタッタ



攻撃を先に仕掛けたのは桑原だった。



武威に向かって全速力で駆け出す。



――選手達の休憩場



幽助「桑原の奴、次元刀じゃねーな」



飛影「様子見っといっただろう。馬鹿め、今の武威は様子見が出来る相手ではないぞ」



――Aブロック



突進して来る桑原を黙って見つめる武威。



武威(・・・)



スッ



ジジジ・・・



右手を横に伸ばすと妖気を集中し始めた。



桑原「オリャァァァァ!!!」



ビューー!!!



武威の肩を狙って霊剣で斬りつける。



ガッ!!!



桑原「何ィィ!!」



桑原の霊剣は武威の巨大な斧により受け止められていた。



桑原「獲物を出しやがったな!」



この大会で月畑を一撃で殺して見せたあの斧である。


ググッ



桑原「チクショー!!びくともしねーぜ」



斧により受け止められた霊剣は桑原がいくら力を込めてもそれ以上は動かなかった。



武威「フン」



ビューン!!!



左手で桑原を殴りつける。


バゴッ!!!



桑原の顔面に思いっきりヒット。



ヒューー



殴られた勢いでふっ飛ばされる。



ドテッ!!



桑原「痛てて・・・。油断しちまったぜ」



スッ



桑原(!)



地面に叩きつけられた桑原の目の前に武威が斧を構えて立っていた。



ビューーーーーン!!!



巨大な斧とは思えないスピードで振り下ろす。



桑原「やべーっ!」



バッ



素早くジャンプ。



ドゴォォォォォォォ!!!


斧が地面にめり込む。



シュタッ



桑原は武威と距離を取り着地した。



桑原「危ねー、後少しでもかわすのが遅かったら月畑みてーに真っ二つにされていたぜ」



武威(・・・)



ズンズンズン



武威は巨大な斧を持ちながら桑原めがけて駆け寄る。


スッ



桑原は霊剣を構えて武威を迎え撃つ。



桑原「来てみやがれ」



ビューーーーン!!!!!


再び巨大な斧が凄まじいスピードで振り下ろされた。


バッ



武威の攻撃を素早くジャンプしてかわす桑原。



桑原「くらいやがれー」



ビュー!!!



空中から武威を霊剣で斬りつける。



シャキーン



武威の左肩から右の脇腹まで斬り裂いた。



桑原(完璧な一撃だ)



シュタッ



桑原は着地して武威の様子を伺う。



桑原「どうだァァァ!」



武威(・・・)



武威は何事もなかったように立っていた。



そして武威は口を開く。



武威「甘いな桑原。俺の身体までお前の霊剣は届いていない」



桑原「マジか!?てめえの鎧はこんなに分厚いのかよー」



自信のあった一撃だけに驚きを隠せない。



武威「この鎧は俺の力を抑えるだけの只の飾りだ。お前も知っているだろう?俺には武装闘気があることを」



桑原「武装闘気・・・」



桑原は飛影と武威が暗黒武術会で闘った事を思い出した。



武威「どうやら思い出したようだな」



桑原「思い出したぜ。頑丈なのはそいつのせいか・・・」



武威は自分自身でも抑えることが出来ない程の巨大な武装闘気を制御する為に自分の身体の数倍はある重さの分厚い鎧をその身に纏い、その力をなんとか抑えていたのだ。



武威「そういうことだ。武装闘気を防御にまわす事で俺の鎧の強度は上がっている。今のお前の霊剣では俺の身体に傷をつけることは不可能だ 」



(ニャッ)
桑原「そうかよ。不可能って言われて黙っている俺じゃねーんだよ!」



シュゥゥゥゥゥ



桑原の右手から霊剣が消えた。



ゴソゴソゴソ



懐からある物を取り出す。


武威(何かを取り出したな)


桑原「行くぞコラァァ!!!」



タッタッタッタッタ



桑原は再び武威に突進して行った。



武威(霊剣を出さずに向かって来る。何かあいつに策でもあるのか?)



向かって来る桑原に対して武威は斧を構える。



(ニッ)
桑原「試しの剣だ!!!」


ギュォォォォォォォン



試しの剣は桑原の霊気を吸い始める。



――選手達の休憩場



死々若丸「あれは鈴木の試しの剣!?」



陣「そういえば桑原も持っていたんだよな」



――Aブロック



桑原「強化版の霊剣だぜェェェェ!!!」



バチバチバチ



ピキーーン



試しの剣は桑原の霊気を吸い込み、強力なエナジーを放出した霊剣を生み出す。


桑原「オリャァァァァァァ!!!!」



ビューー!!!



武威(早い!!)



武威は桑原の攻撃速度が予想より早い為に斧で攻撃を受け止めるのが遅れた。



ズバァァ!!!



試しの剣で武威を斬り裂く。



だが驚いたのは攻撃を仕掛けた桑原であった。



桑原「ぬっ!!!ヤロー!!」



武威は左腕で試しの剣を受け止めていた。



ポタポタポタ



武威の左腕から血が滴り落ちる。



試しの剣は武威の左腕に深く食い込んでいた。



ググッ



武威は左腕に力を込めた。


桑原「け、剣が抜けねー!?」



武威の左腕の筋肉により試しの剣の動きを完全に封じた。



武威「武装闘気を貫くとは少し驚いたが、惜しかったな」



スッ



武威は右手に持つ巨大な斧を振りかざした。



武威「あの魚人と同じ死に方をさせてやる。死ね桑原」



ビューーーーーン!!!!


桑原の腹部を狙って振り下ろされる武威の斧。



桑原の身体を真っ二つにする為に。



桑原「クソッタレー」



スッ



武威の一撃をかわす為に桑原は試しの剣から手を放す。



バッ



桑原は手を放すと同時に後ろに飛んだ。



武威「かわしたか」



ズドォォォォォン!!!!


巨大な斧は先程と同じ様に地面にめり込む。



シュタッ



桑原「うっ・・・」



桑原の腹部に傷は浅いが武威の斧に斬られていた。



桑原桑原「月畑もこれでやられちまったんだっけな・・・」



武威(・・・)



グググッ



ズボッ



武威は左腕に食い込んでいた試しの剣を外した。



武威「返すぞ」



ポイッ



外した試しの剣を桑原に投げた。



パシッ



桑原は試しの剣を受け取る。



(ニャッ)
桑原「へへへ、返してもいいのかよ?後悔する事になるぜ!」



武威「それがあってもなくてもお前がここで死ぬ事には違いはない」



桑原(想像以上に強いぜ。様子見で力を出し惜しみしていたらやられちまう)



武威「今のお前もこの鎧を脱いで闘う程の相手ではない。この姿のままで殺してやる」



桑原「そうかよ。殺れるものならやってみやがれ!」」



桑原は試しの剣を一旦、使うのを止めた。



スッ



ジジジ・・・



右手を前に突き出すと霊気を集中し始めた。



桑原「次元刀ォォォォォォ!!!!」



ピキーン!!



桑原の右手に次元を斬り裂く事の出来る次元刀が姿を現した。



シュッ



次元刀の剣先を武威に向ける。



桑原「てめえの鎧を今から脱がせてやるぜ。覚悟しな」



武威「フッ、死ぬ前にお前の力を俺に示して見せるがいい。いい思い出にしてやる」



桑原と武威の闘いは第二ラウンドに突入する。



続く
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