幽☆遊☆白書〜2ND STAGE〜
□大会編０３
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雷蛾「フッ、いいぜ。この姿を見せたからには隠す必要はない。俺の本当の名は黒鵺(くろぬえ)元魔界の盗賊さ」
本当の名を告げた雷蛾の首には赤い珠のついたペンダントがかかっていた。
梟「黒鵺か、その名は殺した後も覚えておいてやる」
雷蛾にズタズタに斬り裂かれた為に身動きの取れない戸愚呂(兄)は身体を徐々に再生させていた。
戸愚呂(兄)(あの野郎…、俺をこんな目に合わせた事を後悔させてやるぞ！！)
雷蛾に対する強い復讐に燃やしていた。
雷蛾「あれに当たれば、かなりまずい事になるな……」
梟「安心しろ。お前の能力は戸愚呂(兄)様が食べられる。身体の原型は残しといてやる」
バチバチバチ
梟の両手に凄まじいまでの妖気が蓄積されている。
ダン！！
梟は雷蛾に向かって飛んでいった。
雷蛾「さあ、来るなら来て見ろ！！」
梟「肢体爆弾(リンボム)」
カーーーーー！！！！！
閃光が走る。
そして。
ドッガァァァァァン！！！！！！！
亜空間内に大規模な爆発が起きた。
ヒューーーー
戸愚呂(兄)「ヌォォォォォォ！！」
ドテッ
雷蛾と梟から少し離れた位置に再生中の身体を叩きつけられた。
戸愚呂(兄)「チクショー、あいつ派手にやりやがって。俺がいるのを忘れていやがるぜ」
身体を再生させていた戸愚呂(兄)は肢体爆弾のとばっちりを受けて吹き飛ばされたのだった。
戸愚呂(兄)「だが、今の一撃であの野郎もただではすまんだろう」
梟「手応えがなかった。かわされたか……」
ブォーーン
梟の背後に姿を現した雷蛾。
両手に持つ二本の鎌を胸でクロスさせていた。
梟(何！！！？)
背後を簡単にとられた梟は流石に驚く。
雷蛾「もらった」
シュッ！！！！
胸でクロスさせていた二本の鎌を一気に横に広げた。
ズバァァァァァ！！！！！
梟「ヌォォォォォ！！！！」
梟の胸板を斬り裂いた。
斬られた衝撃と傷の痛みから身体がよろめく梟。
雷蛾「ハァァァァァ！！！」
シュッ！！
両手に持つ鎌を再び繰り出す。
ドスッ！！
二本の鎌が梟の背中に深く食い込む。
雷蛾「俺のは手応えありだ」
苦痛で少し歪んだ表情を見せた梟であったが、まだどこか余力を感じさせていた。
梟「いきなり背後を取られた事には驚いた。だが、この程度の攻撃では私を倒すまでには至っていない」
ギュゥゥゥゥゥ
そう言うと梟は鎌が刺さっている背中に力を入れた。
ピシピシピシ
梟の細い身体からは想像がつかないほどの凄まじい力が発揮された。
雷蛾「ぬ、抜けない」
雷蛾は梟の背中に食い込んだ二本の鎌を抜こうとしたが、全く動かなかった。
そしてさらに雷蛾の足元にも変化が起きようとしていた。
ガシッ
雷蛾「何だ！？」
何者かが雷蛾の左足を掴んだのだ。
雷蛾の足を捕まえているのは爪のような生物。その身体から細い一本の触手のようなものが少しずつ伸びてくる。
キキキ
触手は不気味な鳴き声を発して大きな目を開いた。
開いた目は不気味な一つ目。
雷蛾「こいつは！？」
梟「地下爆弾」
地下爆弾「捕まえた」
雷蛾(！)
梟は地下爆弾を爆発させずに雷蛾の足を捕まえたままにしていた。
梟「今度は絶対にかわせない。かわせるものならお前の力を見せてみるがいい」
バチバチバチ
梟の両手に再び凄まじいまでの妖気が蓄積された。
雷蛾「チッ……！」
梟「終わりだ」
カーーーーー！！！！！
再び閃光が走る。
梟「肢体爆弾」
雷蛾(キッ)
向かって来る梟を鋭い目つきで睨んだ。
そして。
ドガァァァァァン！！！！
戸愚呂(兄)「今度はやったか！」
(あのタイミングでは雷蛾の奴は梟の攻撃をかわせねー)
亜空間内に再び大爆発が起きたのだった。
――王と樹のいる亜空間
樹(間違いなく何かを仕掛けてくる)
樹は闘いの経験からか、王から危険な香りを感じ取った。
王(俺のとっておきを見せてやるぜ)
樹の読み通り、王には二人を退ける切り札ともいえる秘策があった。
王の体内からは魔光気が向かって来る二人に向かって放出されていた。
王の放出した魔光気は瀬流と臥竜の気脈に侵入していく。
樹「瀬流、臥竜、油断するな！！」
実験体達が戦闘力に関しては自分より遥かに強い為、これまで闘いには口をださなかったが、樹はここで初めて二人に指示を出した。
瀬流・臥竜(コクッ)
樹の言葉を聞いて頷く二人。
これで二人に油断の文字はない。
王を葬り去る為に彼等は持てる全ての力を王にぶつけようとしていた。
だが、二人の身に信じられない様な出来事が間もなく起きる事となる。
瀬流「燃えるがいい！」
ボォォォォォ！！！！！
その両手には妖気で作り出した炎が燃え盛かる。
王に炎の拳の一撃を放つ為だ。
その直ぐ横には臥竜もいる。
その時だった。
瀬流と臥竜の背後になんと王が姿を現した。
瀬流・臥竜(！！？)
同時に驚く二人。
二人が驚くのは無理がない。臥竜の呪縛で殆ど動けない筈の王が動いているのだ。
イチガキ「あいつら、動きを急に止めてどうしたんじゃ？？」
樹「何かに驚いているようだな」
樹とイチガキには瀬流と臥竜の背後に現れた王の姿は見えていなかった。
臥竜「王が二人いる！？」
臥竜の視線の先には自らが施した呪縛で動きを封じられている王の姿があった。
瀬流「どういう事だ！？」
王(………)
二人が驚きを隠せない中で、二人の背後に現れた王が行動を起こした。
ビューーーン
高速のスピードで臥竜の腹部に一撃が放たれた。
だが、臥竜は咄嗟にこの攻撃を防ぐ為に防御態勢を整えた。
臥竜(防げる！この攻撃を防いだら王に攻撃を叩き込んでやる)
臥竜は王の拳を両腕を胸でクロスさせて受け止めるつもりだ。
だが、臥竜は自分の目を疑う事となる。
スーー
臥竜(何だと！すり抜けた！！？)
王の拳はなんと両腕をクロスさせて防御していた筈の臥竜の両腕を何事もなくすり抜けたのだった。
ドゴォォォォォ！！！！
王の拳による強烈な一撃が臥竜の胸部に直撃した。
臥竜「グワァァァァァ！！！！！」
ヒューーーーー！！！！！
臥竜の身体は拳の威力で吹き飛んだ。
ズシャァァァァァ！！！
臥竜の身体は地面に叩きつけられた。
瀬流「おのれーー！！！」
ボォォォォォ！！！！！
両手に宿した炎の拳で王を殴りつける瀬流。
だが。
スーー
強烈な炎の拳は王の身体をすり抜けたのだった。
瀬流「身体をすり抜けた！？」
王(………)
ビューーン！！！！
驚く瀬流の腹部に王の高速の一撃が放たれた。
瀬流(！？)
ドゴォォォォォ！！！！！
王の拳が瀬流の腹部に直撃。
瀬流「ガハッ！！？」
ヒューーーー
ズシャァァァァ！！！！
臥竜と同じ様に瀬流の身体も吹き飛ばされたのだった。
シュゥゥゥゥゥ……
二人を攻撃したもう一つの王の姿は消えたのだった。
イチガキ「馬鹿な！何が起きたのじゃ！？王は一歩も動いていないのに臥竜が吹き飛び、続いて瀬流までも吹き飛んだ……」
樹「何もしていないのなら、あの二人の身体が吹き飛ぶわけがない。王が何かしたに違いない」
王は臥竜の呪縛によってその場から全く動いてはいなかった。
臥竜「うぐぐ…」
瀬流「一体どういう事だ…」
王の攻撃を受けて倒れていた臥竜と瀬流はゆっくりと身体を起こしたが、かなりのダメージを受けている模様。
二人の様子を見た樹は鋭い視線を王に向けた。
王(ニヤッ)
樹の視線に気付いた王は不敵な笑みを樹に見せたのだった。
樹(王め！)
王と樹達の闘いは終盤戦に突入していくのであった。
続く