幽☆遊☆白書〜2ND STAGE〜

□大会編03
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――亜空間



イチガキ「ど、どうする樹?」



樹(まずいな。何か攻略を考えねば王を討つ事は出来ん)



王の技が樹達を追い詰めていた。



王と対峙する臥竜と瀬流はお互いの目を見る。



臥竜・瀬流(………)



そして二人は無言で頷くと再び戦闘態勢に入る。



――もう一つの亜空間



雷蛾(……ど…どうや…らまだ生きて…る…ようだ…)



梟の爆撃を全身に受けた雷蛾は、いつ死んでもおかしくない瀕死の状態になっていた。



グニュルルルル



戸愚呂(兄)は雷蛾にズタズタにされていた身体をここでようやく再生させた。



戸愚呂(兄)「やれやれだ。ようやく動く事が出来るぜ」



ブツブツ言いながら、
梟の隣まで歩いていった。


梟「まだ生きています」



梟は顔を雷蛾に向けたまま、隣にやって来た戸愚呂(兄)に話しかける。



戸愚呂(兄)「ああ、まだ奴の心の声が俺に聞こえてくるからな。全くしぶとい野郎だ」



梟「えぇ、ですが黒鵺はもはや戦闘不能です」



戸愚呂(ニヤリ)



戸愚呂(兄)は梟に不気味な笑みを見せると、瀕死の雷蛾の所まで歩いて行った。


雷蛾(…と、戸愚…呂(兄)…)



そして雷蛾と戸愚呂(兄)の目が合う。



ドガッ



雷蛾「う……ぁぁ……」



戸愚呂(兄)は再生させたばかりの足で雷蛾の頭を踏みつける。



戸愚呂(兄)「クックック、いい様だ。気分がいいぜ」


雷蛾の頭をさらに力を込めて踏みつけながら、梟に笑いかける。



(ニヤリ)
戸愚呂(兄)「鴉、お前は先に樹達の加勢に行っていいぞ」



梟「能力を直ぐに吸収しないのですか?」



戸愚呂(兄)「ああ。俺はこいつをもう少し苦しませてやりたいと思ってな」



雷蛾(……おのれ……)



梟「…分かりました。では私は直ちに樹様達の所に行きます」



梟は雷蛾の姿をジっと見つめる。



戸愚呂(兄)「おい、さっさと行け」



雷蛾を早く痛ぶりたい戸愚呂(兄)は手で直ぐに梟に行く様に促す。



梟(コクッ)



フッ



梟は軽く頷くとこの場から姿を消したのだった。



戸愚呂(兄)は梟の姿が消えたのを確認すると、足元の雷蛾に視線を下ろす。



戸愚呂(兄)「ヒッヒッヒ、さっきのお返しをたっぷりとさせてもらうぜ」



雷蛾「…ゲ、ゲス野郎…が…」



雷蛾の言葉を聞くと戸愚呂(兄)は大きな高笑いを上げた。



戸愚呂(兄)「クックック、喜べ!お前は後で、そのゲス野郎に能力と身体を喰われるんだからな」



ドカッ



そう言うと戸愚呂(兄)は雷蛾の腹を思いっきり踏みつけた。



雷蛾「ぅぁ…ぁ……ぁ…」



激痛に顔を歪める。



(ニヤッ)
戸愚呂(兄)「おっと、まだこれぐらいで死ぬなよ。楽しいショーはこれから始まるのだからな」



雷蛾(……!?)



瀕死の雷蛾に戸愚呂(兄)による恐怖の拷問が始まろうとしていた。



――亜空間



臥竜「行くぞ瀬流」



瀬流「ああ!」



ブォォォォォォ!!!!



二人は妖気を高めた。



王の技をまともに受け、かなりのダメージを受けているとはいえ、まだまだ戦闘するだけの余力は充分ある。



瀬流「俺のプライドと意地かけて、必ずやお前を焼き尽くしてやる」



ボォォォォォ!!!!



円を描く様に手をまわすと瀬流の両手が炎に包まれた。



臥竜は両手の拳に妖気を込めている。



王「さぁ、来い」



二人が仕掛けてくるのを待ち構える。



バッ



臥竜と瀬流は地面を蹴り、高くジャンプした。



臥竜と瀬流は王を挟む形で左に瀬流、そして右には臥竜。二人は王と少し距離を取って着地した。



王は素早く視線を左右に向ける。



王「こいつら、左右に分かれて攻撃してくるつもりか!」



臥竜・瀬流「王!行くぞォォォォォォ!!!!」



ズキューン!!!!!



二人は左右から同時に攻撃を仕掛けたのだった。



そして。



ブォォォォォ!!!!!



王は身体から巨大な魔光気を左右に向けて放出させていく。



その王の魔光気は、臥竜と瀬流の気脈に次々と吸収されていく。



瀬流・臥竜(!?)



左右から向かって来る瀬流、臥竜の前に先ほどと同じく王の分身体が現れた。



しかも今度は二体もだ。



王に向かっていた二人の足が止まる。



イチガキ「あ、あいつら何を驚いておる?攻撃を突然止めおって……」



樹(………)



樹は精神を研ぎ澄まし、王の技の正体を探っている。


臥竜「ハァァァァ!!」



瀬流「おのれーー!!」



足を一度止めた二人であったが、目の前に現れた王に攻撃を仕掛けた。



だが、先程と同じく二人の攻撃は王の身体をすり抜ける。



臥竜(駄目だ!やはりさっきと同じ!?)



王「俺がこの技を使ったら、お前達は俺には勝てないぜ」



ビューーーン!!!!!



二人の王の分身体は同時に拳打を放つ。



臥竜「クッ!」



瀬流「チッ!!」



反射的に防御態勢に入った二人だが、王の拳は防御をすり抜ける。



ドゴォォォォォ!!!!



二つの拳が同時に瀬流と臥竜の腹部を直撃した。



王「何せ、俺の技は比羅のフィールドも貫ぬける最強の代物だからよ」



ズボッ!!!



そして王の拳は二人の腹部を突き破る。



瀬流「ガハッ!?」



臥竜「ゲホッ!!?」



同時に血を吐き出す二人。


王(ニヤッ)



その二人の姿を見て不敵な笑みを浮かべる王。



ドサッ



臥竜と瀬流は、その場に崩れ落ちる様に倒れた。



イチガキ「き、急に二人の腹に穴が!?さっきの攻撃の時もそうだ…。これは、い、一体ど、ど、どうなっておるんだ!!?」



樹(やはり王はあの場から全く動いていない。そして攻撃を仕掛けた二人の驚いた顔…。俺達には見えない力があの場で働いていると見て間違いないな)



顔を上げて王を見る瀬流。


瀬流「……動きを封じられていながら、ここまで強いとは…」



臥竜(………)



《樹様、樹様》



樹(!)



樹に念信で語りかける声が。



樹《その声は臥竜か?》



樹に念信を送って来たのは、王に腹を突き破られ、地面に倒れている臥竜であった。



臥竜《はい。樹様から、王の分身体の姿は見えましたか?》



樹《分身体?いや、俺とイチガキには見えていない。ではお前達が足を止めて驚いていたのは王の分身体か?》



臥竜《はい。二度の攻撃ではっきりしたのは、王の技は実体を持つ分身体です。こちらの攻撃をすり抜けて受けつけないばかりか、我々が防御しても身体をすり抜けました。王の技は狙った場所に確実に攻撃を出来る恐ろしい技です》



樹《……お前の言う事が正しければ本当に恐ろしい技だ。しかし、お前達には見えて俺達には見えないというのは何か王の技に秘密があるという事。それを見極わねば王は倒せん》



臥竜《何か策はありませんか?》



樹(………)



樹は少し考える素振りを見せた。



樹(やってみるか)



そして樹は臥竜に作戦の詳細を話したのだった。



臥竜に策を伝えた樹は王を見つめる。



樹(王よ、忍の復活の為、俺はお前に負けるわけにはいかない。この戦いが終わった時、最後に笑うのは俺達だ)



最強の王を相手についに闇撫の樹が動く。



続く
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