幽☆遊☆白書〜2ND STAGE〜

□大会編03
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――楽越の回想による桑原と時雨の闘い。



そして九浄が棗に語る蔵馬と梟の死闘の行方。



師弟対決と因縁の対決となる二つの闘い。



時を再び戻して二つの激戦を追いかける。



――メイン会場



小兎「それでは魔界統一トーナメント三回戦の第一試合を始めたいと思います」


三回戦のAブロックの第一試合。



時雨(しぐれ)
×
桑原(くわばら)



三回戦のDブロックの第一試合。



蔵馬(くらま)
×
梟(ふくろう)



――Aブロック



(ニヤッ)
桑原「この試合は俺にとっては最終目的地。勝っても負けても悔いはねー。決勝戦と同じぐれーに価値がある試合だ!おめーから習った剣術の全てをぶつけて倒すぜ“師匠”」



時雨「フフフ、師匠か。ならば行くぞ!拙者にとっては初めての“人間の弟子よ”」



――Dブロック



蔵馬が妖狐へと変身を遂げた事で鴉としての記憶が戻った梟。



梟「蔵馬、今度こそ、その美しい顔を傷つけずに、頭だけを残して永遠に俺のものにする。お前の身体は綺麗に吹き飛ばしてやるよ」


妖狐・蔵馬「梟、やはりお前はあの鴉の様だな。どうやって蘇ったのかは知らないが、今度こそ二度と俺の前に現れないように・・・」


鋭い目つきで梟を見ながら妖狐・蔵馬は言い放つ。



妖狐・蔵馬「お前は殺すぞ」



(ニヤッ)
梟「死ぬのはお前だ」



――メイン会場



観客席の雪菜は、
スクリーンに映し出している桑原と時雨を真剣な眼差しで見つめていた。



雪菜「和真さんと時雨さんの試合。和真さんにとっては大会前に目標としていた試合」



――雪菜の回想



躯の元にいた桑原と雪菜。


桑原が魔界統一トーナメントに参加する為に大会が行われる三番地区に到着した頃に話しは戻る。



桑原「雪菜さんは観客席で俺の活躍を見ていて下さいよ。俺は絶対に本選まで残ってみせますから」



雪菜「でも、かなり強い妖気を持った方達が沢山います。やっぱり危険ですよ和真さん」



桑原を心配そうな顔で見つめる。



桑原は霊力が人間のレベルを遥かに超越しているとはいえ、屈強の妖怪達が集まる大会に、人間の桑原が参加する事が心配でたまらなかったのだ。



桑原「雪菜さん、俺がこの大会の参加を躯から聞いてから、一つの目標があるんすよ」



雪菜「目標ですか?」



桑原「そうです。目標っす。俺に剣術を教えてくれた時雨と俺は闘いたいんですよ」



雪菜「時雨さんですか…」



躯の元で保護されて、
時雨から剣術を学んでいた桑原を知る雪菜は、
時雨の名前が桑原の口から出た事で、その想いを理解したのだった。



桑原「時雨にはマジで感謝している。時雨から学んだ全てをぶつけて闘う事で、あいつに恩を返したいんです」



――雪菜の回想・終



雪菜「和真さん、
やっとその想いを叶える時がきましたよ」

(和真さんも時雨さんも頑張って下さい)



――上空



審判が選手達の様子を見つめる。



審判「始め!!」



各ブロックの審判から試合開始の合図が同時になされた。



――Aブロック



桑原「行くぜ時雨ェェェェ!!!!」



ズキューーン



霊気を込めて作り出した新型の試しの剣による霊剣で時雨に向かって駆け出した。



カチャッ



時雨はその場から動かずに燐火円磔刀を強く握り締めて構えた。



時雨「まずは死闘をくぐり抜けてきたお前の剣の上達ぶりを見させてもらうぞ」


桑原「オリャァァァァァ!!!!!」



ビューーン!!!!!



凄まじいエナジーを放出した試しの剣が時雨の頭上に振り下ろされる。



時雨「速いが、甘いぞ!!」


ガキーーーン!!!!!



時雨は軽く燐火円磔刀で桑原の攻撃を弾いた。



ズン!!!!



そして弾くと同時に一歩踏み出した。



時雨「ハァァァァーー!!!!!」



ビューーーン!!!!



桑原の脇腹を狙って斬りつける。



ヒュー!!!



桑原は身体を後ろに引いて、時雨の燐火円磔刀の刃から逃れる。



避けると同時に両手で握っていた試しの剣を左手に持ち替えた。



ジジジ………



右手に霊気を集中。



時雨(これはあの技か!!)


時雨は桑原が何で攻撃をしてくるのか瞬時に判断。



桑原「くらいやがれェェェェェ!!!!!」

(俺の本当の狙いはこっちだぜ時雨!!



右手が霊気で光輝いた。



そして。



ビュー!ビュー!ビュー!


右手から数発の霊剣手裏剣が放たれた。



至近距離から放たれた霊剣手裏剣が時雨に迫る



時雨「無駄だ桑原!!拙者には小細工は通用せんぞ」


ズキャァァァァン!!!!


燐火円磔刀を瞬時に高速回転させ始めた。



桑原「ぬっ!!?」



ガキン!!ガキン!!ガキン!!



桑原の霊剣手裏剣を簡単に弾き飛ばした。



桑原(クソッ!!あれは瞬間的に出せる防御技じゃねー。俺の霊剣手裏剣はもしかしたら時雨に読まれていたのかもな…)



時雨「御主との修行の中で、拙者の本気の剣を見せていなかったな。
拙者の剣術の全てを存分に味合わせてやるぞ桑原」



ビューーン!!!!!



時雨の燐火円磔刀が一気に桑原の頭上に振り下ろされる。



桑原(は、速い!?)



ガッ!!!



間一髪、時雨の燐火円磔刀を試しの剣で受け止めた。


グググ……



時雨は燐火円磔刀に力を込める。



桑原は必死に試しの剣で燐火事円磔刀の刃が振り下ろされるのを阻止していた。


時雨「むゥゥゥゥ…!!!!」



桑原「ぬォォォォ……!!!!!」



グググ……



押す力と押し返す力。



ほぼ互角の力で緊迫した状況。



桑原(負けねーぞ時雨!!!!)



ブォォォォォ!!!!!



時雨(!?)



霊気を一気に放出する桑原。



その霊気が燐火円磔刀を受け止めている試しの剣に伝わる。



桑原「オリャァァァァ!!!!!」



ガキーーン!!!!



時雨「何だと!?」



燐火円磔刀を弾いた。



時雨(本当に大したものだ。やはり瞬間的に爆発する桑原の霊気は拙者の妖気を上回っているな)



自分の妖気を上回る程の爆発的に上昇する桑原の霊気に驚いたものの、
時雨には焦りの色は全く見られない。



時雨(実際に闘って見て良く分かるが、
武威と死闘を経験して本当に大きく成長している。
今の桑原は拙者を上回る力を持っている)



桑原「もらったぞ時雨ェェェェェェ!!!!!」



時雨(だが!!)



時雨の眼光が鋭く光る。



ビューーン!!!



燐火円磔刀を弾いた勢いで、時雨に斬りかかる桑原。


時雨(まだ強さにムラがある)



ガキーーン!!!!



凄まじい力で試しの剣を弾く。



桑原(ぐっ!!?)



ザザザ……



弾かれた衝撃で後ずさる桑原。



時雨(今の御主の方が拙者よりも上だとしても、
ムラがある御主が相手なら、拙者にも勝機はある。
覚悟しろ桑原)



直ぐに時雨は桑原に向かって攻撃に移った。



時雨「行くぞ桑原!!!!!!」



桑原「時雨ェェェェェ!!!!!!」



ガキーーン!!!!!



試しの剣と燐火円磔刀が激しくぶつかる。



ガキーーン!!!!!



ガキーーン!!!!!



ガキーーン!!!!!



お互いの獲物同士の激しい斬り合いが続く。



桑原・時雨「ウォォォォォ!!!!!」



ビューーン!!!!!



試しの剣と燐火円磔刀がぶつかる。



ガキーーン!!!!!



桑原と時雨の師弟対決の序盤戦は互角の勝負と言える。



――Dブロック



一方の蔵馬と梟の闘いはというと。



審判の試合開始の合図が闘場に響き渡る。



(ニヤッ)
梟「蔵馬、楽には死なせないぞ」



(キッ)
妖狐・蔵馬「それは俺のセリフだ」



フッ



妖狐・蔵馬は素早く動いて姿を消した。



梟(いきなりあいつから仕掛けてきたな)



ゆっくりと辺りを見回す梟。



梟「蔵馬、姿を消して俺の隙を狙って攻撃を仕掛ける腹積もりだろうが…」



スッ



両手を広げて高く掲げる。


梟「ペリ・ボム」



カーーーー!!!!!



梟が言葉を発すると梟が立っている場所から地面の100m四方が光輝く。



ピキーーン



梟は自らの妖気で爆発に備えて結界を張った。



ドガァァァァァン!!!!!!!!!



闘場の100m四方が一気に大爆発を起こした。



梟「ハハハハハハ!!!
吹き飛べ蔵馬」



梟の高笑いが掻き消されるほどの大爆発が起きた。



――メイン会場



飛影「あの野郎…、
試合開始早々、いきなり闘場を吹き飛ばしやがった」


幽助「蔵馬は大丈夫か…」



――メイン会場



イチガキは妖狐・蔵馬と梟の闘いを不気味な眼差しで見つめていた。



イチガキ「ヒャヒャヒャ、いいぞ!その調子だ梟」



楽しそうに笑うイチガキ。


その時だった。



ズズズ



イチガキの直ぐ傍の空間から手が出てきた。



イチガキ「お前は…」



――Dブロックの上空



妖狐・蔵馬は姿を消すと同時に素早く浮葉科の植物を呼び出して上空を飛んでいた。



ビュゥゥゥゥゥゥ!!!!!!



激しい爆風が上空に吹き荒れる。



妖狐・蔵馬「鴉め、
まさかいきなり闘場を吹き飛ばすとは思わなかったぞ」



妖狐・蔵馬は梟に居場所を悟られにくくする為に、
上空で妖気を抑えていた。


上空から地上を見下ろす。


凄まじい爆発で生じた煙が充満して、梟がどこにいるのかすら分からなくなっていた。



だが、妖狐・蔵馬には梟がどこにいるのか分かっていた。



電鳳を上回る凄まじい妖気が闘場を覆い尽くしていたからだ。



妖狐・蔵馬「俺が何の為に上空にいると思う?」



ブォォォォォ!!!!!



妖狐・蔵馬は抑えていた妖気を解き放って、
一気に高め始めた。



ズズズ……



浮葉化の植物が急激に変化を遂げ始めた。



――Dブロックの地上



妖狐・蔵馬の解き放った巨大な妖気を直ぐに梟は察知した。



梟「蔵馬は空か!!」



上空を見上げる梟。



煙に包まれて妖狐・蔵馬の姿は確認出来ないが、
巨大な妖気を放出している為に、居場所は容易に見つける事が出来た。



梟「煙に包まれていても
お前の居場所は分かるぞ蔵馬」



――Dブロックの上空



浮葉科の植物は巨大な翼に大きく変化していた。



左右の羽は妖狐・蔵馬の姿を覆い隠すように翼をたたむ。



妖狐・蔵馬「行くぞ」



ビシッ



大きく羽を横に広げた。



妖狐・蔵馬「浮葉科の植物が空を飛ぶだけでないというところを見せてやる」



ギュンンンンン!!!!



そう言うとその場で身体を高速回転し始めた。



高速回転しながら、
浮葉科の植物の翼から何かが飛び出した。



ビュー!ビュー!ビュー!


それは翼の羽根であった。無数の羽根が、
妖狐・蔵馬の妖気を受けて弓のように大量に地上にいる梟に向かって放たれた。


――Dブロックの地上



ビュー!ビュー!ビュー!


梟「蔵馬め!空から遠隔攻撃か!」



バッ!!!



素早くジャンプしてかわす梟。



だが。



ドスッ



梟「うっ!」



左腕に突き刺さる。



ズボッ



突き刺さった羽根を引き抜く。



梟「面白い」



フッ



梟の目の前に複数の羽の生えた丸い爆弾の形をした生物が姿を現した。



メキメキメキ



ギョロ



生物は瞑っていた目を開く。



梟「お返しだ。追跡爆弾(トレースアイ)」



ギーース



梟の作り出した爆弾の生物は不気味な鳴き声を上げると上空の妖狐・蔵馬を狙って、高速のスピードで向かっていったのだった。



続く
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