幽☆遊☆白書〜2ND STAGE〜

□大会編03
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――魔界統一トーナメントDブロックの三回戦・第一試合


蔵馬(くらま)
×
梟(ふくろう)



――Dブロックの上空



ビューーーーー!!!!!


妖狐・蔵馬「くっ!?」



凄まじい爆発に身体が煽られる。



妖狐・蔵馬「あいつ一体どういうつもりだ。煙でよく見えなかったが、鴉は自らを爆発させた様に見えたが…!?」



ガッ!!!



妖狐・蔵馬の肩に何かが当たった。



妖狐・蔵馬「何だ?何かが飛んで来たぞ」



ヒュー!!!



再び妖狐・蔵馬に小型の物体が飛んで来た。



パシッと小型の物体を手で掴む。



それを手の平で広げて確認。



妖狐・蔵馬「これは石だ。
何故、石が地上から空に向かって飛んで来るんだ?」


上空を見渡す。



ヒュー!ヒュー!ヒュー!


なんと地上から無数の小石や岩が空に向かって浮上して飛んで来ていた。



それもかなり速いスピードで。



妖狐・蔵馬「これは一体!!?」



ヒュー!ヒュー!ヒュー!


驚く妖狐・蔵馬に向かって大量の石が飛んで来た。



シュルシュルシュル



右手に弦の様な植物を素早く召喚。



それを剣状に変化させた。



妖狐・蔵馬「樹霊妖斬剣!!」



シュパッ!シュパッ!
シュパッ!ジュパッ!



飛んで来る石を次々に斬り裂いて行く。



その時だった。



梟「ハハハハハハ!!!!!!!」



妖狐・蔵馬「何だと!?」



笑いながら梟が妖狐・蔵馬を目掛けて飛んで来た。



梟「蔵馬ァァァァァ!!!」


妖狐・蔵馬「鴉!!」



ヒューーー!!!



素早く浮葉科の植物の翼を大きく広げて、
迫ってくる梟をかわそうと動いた。



だが、上空に飛んで来る石に気を取られて動作が少し遅れた。



妖狐・蔵馬「マズい!」



上空に来た梟のスピードは加速されてまさに神速と言える速さに変化していた。


梟のフロート・ボムは、
攻撃としてだけでなく、
その爆弾の成分に周辺の物を加速させて浮上させる物質が含まれいた。



それが爆発して、
周辺に浮上物質がばらまかれた為に、
物質に触れた地面の石が空に向かって浮上したのだった。



そして爆発する瞬間に妖気で自ら結界を張り
その結界に付着した浮上物質が梟の身体を加速させて、上空に飛ばしたのだ。



ガシッ!!!!



梟は一瞬で妖狐・蔵馬の左腕を掴んだ。



(ニヤッ)
梟「私と一緒に地上へのダイブの旅はどうだ蔵馬?」


妖狐・蔵馬「くっ!!?」



梟「ハアァァァァァ!!!!!!」



バーーーーン!!!!!



浮上物質が付着した妖気で作った結界を解いた。



ギュゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!!!!!!!



そして妖狐・蔵馬の左腕を掴んだまま梟は地上へ向けて高速のスピードで急降下。


妖狐・蔵馬「クソッ!!」



ギュゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!!!!!!!



地面が近付いて来た。



梟はどうやら妖狐・蔵馬の身体を地面に思いっきり叩きつけるつもりだ。



妖狐・蔵馬「放せ!!」



ザシュ!!!!!



梟(!!)



左腕を掴んでいる梟の右腕を樹霊妖斬剣で肘の部分から切断した。



妖狐・蔵馬「ハァーーー!!!!」



ドゴォォォォォ!!!!



右腕を切断すると素早く膝蹴りを梟の腹部に打ち込む。



梟「ゴフッ!!」



バッ!!



膝蹴りを打ち込むと同時に梟の身体から素早く離れた。



そして地面への直撃を免れた妖狐・蔵馬は地面に着地した。



シュウゥゥゥゥゥ………



そしてその背中から浮葉科の植物が消え去った。



僅かに遅れて梟も地面に着地。



妖狐・蔵馬「鴉、お前の右腕は切断させてもらったぞ。その状態では身体のバランスが崩れる筈だ」



梟(………)



梟は黙ったまま切断された右腕を見ていた。



――選手達の休憩場



(ニッ)
幽助「やるじゃねーか蔵馬、鴉の腕を切り落としたぞ。これでこの闘いもなんとかなるだろうぜ」



浮かれる幽助に対して、
飛影は至って冷静に試合を見ていた。



飛影(いや、なんとかならない。闘いは蔵馬の方が圧倒的に不利な状況には変わりない。あの野郎には……)



――Dブロック



梟「その植物の剣は大した斬れ味だ」



妖狐・蔵馬「フッ、もっと
この樹霊妖斬剣の斬れ味を味わうか?」



ズキューーン!!!!!



高速のスピードで駆け出した。



妖狐・蔵馬「俺はお前には容赦しない。行くぞ鴉」



一気に梟に接近した。



ビューーーー!!!!



右腕に作り出している
樹霊妖斬剣で梟の右肩を斬りつけた。



ヒュッ



軽くその攻撃をかわす梟。


妖狐・蔵馬「ハァァァーー!!」



ビューーーー!!!



攻撃の手を休める事なく
梟を連続で斬りつけた。



だが、梟は右腕を切断されても全く焦った様子もなく、ひたすら妖狐・蔵馬の攻撃をかわし続ける。



そして動く度に切断された右腕から血が飛び散る。



妖狐・蔵馬「止血しなくていいのか?出血死してしまうぞ」



梟「いらぬお世話だ」



妖狐・蔵馬「もっとも、俺は止血をさせるつもりは毛頭ないがな」



シュルシュルシュル



妖狐・蔵馬は左腕にも植物の弦を作り出す。



そして右手の様に弦を剣状に変化させる。



梟(両手で今度は斬りつけるつもりか?)



妖狐・蔵馬の両手の樹霊妖斬剣が振り下ろされた。



ビューーーー!!!!!



両手の植物の剣が梟を襲う。



そして剣が振り下ろされたと同時に妖狐・蔵馬の両手が独特の軌道で動き始めた。



梟「むっ!?」



妖狐・蔵馬「樹霊妖斬剣・卍斬り」



梟(!!)



ズバァァァァァァ!!!!


樹霊妖斬拳は卍の字を描くように梟の身体を斬り裂いた。



梟「ぐわァァァァァァ!!!!!!」



プシューーーー!!!!



卍の形に斬り裂かれた梟の身体から、
噴水の様に飛び散る鮮血。


梟の返り血を浴びて、
妖狐・蔵馬の白魔装束は血で真っ赤に染まった。



妖狐・蔵馬「手応えありだ。地獄に落ちろ鴉。
もう俺の前に二度と迷い出るな」



………。



大きな手応えを感じた妖狐・蔵馬であったが、
梟の様子がおかしい事に
直ぐに気付いた。



妖狐・蔵馬(致命傷とも言える傷を負わしたのにも関わらず、鴉の妖気は殆ど衰えてはいない。一体どういう事だ!?)



梟「蔵馬」



梟が口を開き、
妖狐蔵馬の名を呼んだ。



妖狐・蔵馬(何!?)



梟「クックック、
ハッハッハッハッハ!!!!!」



突如、梟が声を上げて大声で笑い始めた。



妖狐・蔵馬「何が可笑しい?」



梟「笑いが出るほど可笑しいぞ蔵馬。
お前が今の攻撃で勝ったと思っているのかと思うと余計にな。鈴木との闘いを見ていなかったのか?」



妖狐・蔵馬(!!!?)



梟の言葉に思わず八ッとなった



梟「見るがいい蔵馬」



ニュルニュルニュル



妖狐・蔵馬に切断された右腕が不気味な動きを始めた。



梟の切断された右腕が徐々に再生され出したのだ。



そして卍に斬り裂かれた身体の傷さえも。



妖狐・蔵馬(再生能力か)



梟「フッ、今の俺の身体は少々のダメージなら簡単に再生出来る」



バッ!!



妖狐・蔵馬は梟から離れて距離を取った。



妖狐・蔵馬「俺とした事が、お前を倒す事に躍起になってぬかったな。
戸愚呂(兄)と同じ再生能力でお前は鈴木にやられた傷も直ぐに治していたな」



――選手達の休憩場



幽助「あの野郎、
再生出来るんだったな。
すっかり忘れちまっていたぜ」



飛影「あいつに再生能力がある限り、
生半可な攻撃では倒す事は出来ん」



幽助「飛影、おめーならどうやってあいつを倒す?


(再生するならあいつを倒す方法は一つだけだな)



飛影「幽助、
お前とおそらく同じ考えだ」



ボォォォォォ!!!!!



飛影の右手に巨大な魔界の炎が宿る。



(ニヤッ)
飛影「何度も再生するなら、あの野郎をチリ一つ残さずに消滅させてやるまでた」



――Dブロック



ついに梟の右腕、そして身体の卍の傷も元通りに再生された。



梟「蔵馬、俺が一番可笑しかったのは、
俺が遊んでいる事にも気付かないお前の愚かさだ」



バチバチバチ!!!!!



そう言うと梟の両手には凄まじい妖気のエナジーが放出されていた。



梟「せっかくだ。
全力の妖気を見せてやるよ」



ブォォォォォ!!!!!



徐々に高まる梟の妖気。



妖狐・蔵馬「何て妖気だ……!!?」



梟「ハァァァァーーーー!!!!!」



ゴゴゴゴゴ!!!!!



Dブロックの闘場が激しく揺れた。



だが、揺れは一瞬だけで直ぐに収まった。



カーーーーー!!!!!



そして妖気の光が梟を包み込む。



梟「フゥ〜いい気持ちだ。あの男を殺した時以来だ……。久しぶりにここまでの妖気を放出したよ蔵馬」



妖狐・蔵馬(あの男…?)



梟「まぁ、マスクを取ってはいないから本当の意味での全力ではないがな」



妖狐・蔵馬(…電鳳より強いと分かっていたがこれほどとは!?
俺が毒死草を使ってまで倒した電鳳が可愛いく見えるな…)



その時だった。



妖狐・蔵馬(!?)



ガクガクガク



妖狐・蔵馬(足が震えている……)



梟の妖気に間近で感じた妖狐・蔵馬の身体に異変が起きていた。



(ニヤッ)
梟「俺が怖いか?
いいぞ、恐怖しろ。クックック、身体は正直だな蔵馬」



そう言うと梟が行動を起こした。



ババババババ!!!!!



妖狐・蔵馬がまばたきをする間に神速のスピードでありとあらゆる角度に両手を動かしたのだ。



梟「エンドレス・ボム」



ボン!!!!



妖狐・蔵馬(!!!!)



妖狐・蔵馬の右肩が吹き飛んだ。



妖狐・蔵馬「うァァァァァ!!!!!」



叫び声を上げる妖狐・蔵馬。



妖狐・蔵馬「奴の爆弾が見えない……!?」



梟「私の爆弾は今のお前では、もはや見えない。それだけ今の私とお前の間には力の差があるということ」


ボン!!!!



ボン!!!!



左膝、腹部が続けて小規模の爆発を起こした。



妖狐・蔵馬「グワァァァァァ!!!」



梟「いい声だ。もっとお前の苦しむ声を私に聞かせてくれ蔵馬」



――選手達の休憩場



飛影「マズいぞ…」



幽助「蔵馬ァァァァァ!!!やべーぞ。あれじゃあ本当にやられちまう」


――Aブロック



その頃、Aブロックの
桑原と時雨の闘いは試しの剣と燐火円磔刀の激しいぶつかり合いになっていた。


桑原「オリャァァァァ!!!!!!」



ガキーーーン!!!



時雨の燐火円磔刀を試しの剣で弾いた。



桑原「行くぜ時雨ェェェェェ!!!」



時雨「来い」



時雨に向かって駆け出した桑原。



その時だった。



ピーーーン



桑原(!?)



妖狐・蔵馬《うわァァァァァ!!!》



桑原の脳裏に蔵馬の苦しむ姿がよぎる。



桑原「く、蔵馬!?」



桑原は足を止めてDブロックの方角を見つめる。



時雨(??)



桑原(さっきからスゲー爆発が続いている。蔵馬の奴大丈夫なのか…?)



――Dブロック



ボン!!!



妖狐・蔵馬の背中が爆発した。



妖狐・蔵馬「ウォォォォ!!!!!!」



梟「エンドレス・ボムは小型の爆弾だ。お前が死ぬまで少しずつ身体を爆発させるようにワザと殺傷能力を少なくしている。
お前の苦しみが一秒でも長く続く様にな」



ボン!!!



妖狐・蔵馬「ぐわァァァァァ!!!!」



妖狐・蔵馬の叫び声が闘場に響き渡る。



(ニヤッ)
梟「蔵馬、お祈りの時間だ。少しでも早く死ねますように」



梟は心の底から妖狐・蔵馬の苦しむ姿を見て楽しんでいたのだった。



続く
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