幽☆遊☆白書〜2ND STAGE〜

□大会編03
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ザワザワザワ



部屋の入口辺りが騒がしい。誰かが騒いでいるようだ。



烙鵬「騒々しい!何事だ!!」



部屋に響き渡る大声で怒鳴った。



菜艶(ビクッ)



烙鵬の声に驚いてオドオドする菜艶。



その様子を見ていた楽越が菜艶に近付く。



楽越「それぐらいで何を怯えてるんだよ菜艶!」


バチィィ!!!



オドオドしている菜艶の背中を思いっきり叩いた。



菜艶「う、うわぁ!!?」


ドテッ



強烈な一発が予想外だった為に思いっきり顔面から床に転んだのだった。


楽越「あ、悪い……」



顔面から床に転んだ菜艶に詫びた。



菜艶(………)



だが、菜艶の返事がない。


夢苦がゆっくりと菜艶の横にやって来るとしゃがんだ。



ツンツン



菜艶の頭を指でつつく。


そして直ぐに楽越を見上げて真面目な声で話す。


夢苦「死んでます」



楽越「えぇ〜〜〜!?
ま、マジかよ!?」



夢苦の言葉に流石の楽越は慌てた。



夢苦「冗談です。菜艶さんは気絶してます」



楽越「夢苦てめー!」



夢苦(ニコッ)



子供らしい屈託のない笑顔を楽越に見せた。



ガシッ



楽越は軽く夢苦にヘッドロックをかました。



夢苦「ら、ら、ら、楽越さん!い、痛いです」



楽越「驚かせやがって〜!!」



夢苦「アハハ」



楽しそうに楽越と夢苦はじゃれていた。



弥勒(フフ、相変わらずだね)



二人のじゃれあう姿を楽しそうに見つめる。



ザワザワザワ



部屋の入口がまだ騒がしい。



烙鵬「全く。一体誰が騒いでいるのだ」



烙鵬の隣に弥勒がやって来た。



弥勒「いつものごとく瑞雲が騒いでいるようだよ」



烙鵬「チッ、あいつは同士達が集まる時ぐらいは、静かにやって来れないのか」



弥勒「袂が一緒見たいだから直におさまるよ」



やれやれっといった顔で部屋の入口を眺める烙鵬。



瑞雲「ったく、めんどくさいぜ。後で誰かが伝えるんじゃあ駄目なのかい?」



瑞雲が文句を言いながら部屋に入って来た。



袂「まあまあ瑞雲、私達が全員集まるという事は何か重要な話しでしょう」



続いて瑞雲をなだめながら袂が姿を現した。



駁「後は辣姫か。あいつめ、早く来いと言っておいたのに」



駁は辣姫の事になると直ぐにイライラしていた。


袂と瑞雲が部屋に入ってから少し時間が立った頃、最後の一人の辣姫が部屋に入って来た。



辣姫「遅くなってゴメンナサイ」



辣姫は部屋に入るなり同士達に詫びた。



駁「あれほど早く来いと言ったのに遅いぞ辣姫!」



辣姫の顔を見るなり直ぐに怒る駁。



辣姫「いいじゃない、まだ始まっていないし。
女は時間がかかるものよ。小姑みたいにギャーギャー言わないでよ!」



いきなり怒ってきた駁に文句を言う辣姫。



(ピクッ)
駁「こ、小姑…」



辣姫「いちいち口うるさいし小姑みたいなもんよ。だからアンタは身長が伸びなかったのよ」



駁「口うるさいのと身長が伸びないのは関係ないわァァァァ!! !!



辣姫「短気!!」



二人の喧嘩が勃発。



弥勒「あの二人は相変わらずだな。止めなくていいのかい?」



比羅「フッ、ほっとくがいい。あいつらはあれで日頃のストレスを解消しているのだからな」



弥勒「フフ、確かに。
彼らは顔を合わせる度に喧嘩しているからね」



こうして比羅の部屋に黎明を除いた十一人の将軍と雷蛾が集まったのだった。



――亜空間



亜空間の中に投影した映像から比羅達の姿を見つめる者達がいた。



樹とその仲間達である。


樹「戸愚呂(兄)、お前の能力“美食家”で喰ってもらいたい者がいる」



樹の言葉を聞いて、
仲間達の後ろにいた戸愚呂(兄)が樹の隣にやって来た。



戸愚呂(兄)は以前の様な小柄な姿ではなかった。


彼が支配していた“美食家”の能力者・槙原の肉体は、下唇を残し、上唇より上は蔵馬によって闘いの中で切断されていたが、戸愚呂(兄)の今の姿は、残された下唇の部分が綺麗に取り除かれて、槙原の首から下の身体と、戸愚呂(兄)の首が完全に同一化していた。



槙原を領域(テリトリー)ごと取り込んでいる戸愚呂(兄)は、槙原の能力をそのまま扱えるようになっていた。



戸愚呂(兄)「おい樹、
俺は誰を喰ったらいいんだ?」



投影された映像に映し出されている十二人の姿を見渡す。



戸愚呂(兄)「ヒヒヒ、俺は喰うならあの女がいいな」



戸愚呂(兄)の視線の先には駁と喧嘩している辣姫がいた。



樹「残念だが女ではない。あいつだ」



樹は一人の男を指差したのだった。



ターゲットとなる者をその目で確認する戸愚呂(兄)。



(ニヤッ)
戸愚呂(兄)「あいつか。分かった」



樹「“あの男と闘うには奴との闘いも避けられないだろう」



戸愚呂(兄)「勝てるのか?とんでもない奴なんだろう?」



樹「さあな、イチガキの実験体の成果次第だ」



戸愚呂(兄)の問い掛けに答えると樹は戸愚呂(兄)の肩に手を置いた。



樹「戸愚呂(兄)、奴らが部屋に揃ったようだ。行くぞ」



(ニヤリ)
戸愚呂(兄)「ああ」



不気味な笑顔で答えた。


投影されている映像には比羅と同士達の姿が映し出されていた。



ターゲットとなる男以外は今だに誰も知らない。


この集いの後に待ち受ける壮絶な死闘があったという事を。



続く
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