幽☆遊☆白書〜2ND STAGE〜

□大会編04
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――魔界統一トーナメントAブロックの三回戦・第一試合


時雨(しぐれ)
×
桑原(くわばら)



――Aブロック



桑原「時雨ェェェェ!!!!」



時雨「桑原ァァァァ!!!!!」



ぶつかり合う二つの力。



ピキーーン



試しの剣を掲げる桑原。



桑原「行くぞォォォォ!!!」



シュパン!!!



桑原は試しの剣から作り出した次元刀で、
自分を中心に地面に円を描くように斬り裂く。



描いた円は暗く、そして異次元のような空間を作り出していた。



ここで桑原は大きな声で叫ぶ。



「広がれェェェェェェェ!!!!!」



パァァァァァァ!!!!




円は桑原の声に反応して、大きく広がっていく。



それはまるで仙水がかって集めた能力者達が自らの領域を広げていたあの光景と同じであった。



――メイン会場



「何だあれは!」



「わからねえ、初めてみるぜあんなもの」



「一体どんな能力なんだ!!」



桑原の広げた領域にざわつく観客達。



観客の誰もが領域についてわからない中で、
この男がいち早く反応していた。



そう闇撫の樹である。



樹にはこれから桑原の能力がどんな形でスクリーンに映し出されていくのかわかっていた。



樹の内に秘める大きな野望。



その野望の核となるのが桑原の能力なのである。



桑原の秘めた能力を求める比羅達は情報を提供した樹が、まさか裏では桑原の能力を狙っているとは思っていなかった。



樹は呟く。



「フッ、桑原、お前は忍と俺を導いてくれる事になる存在。お前の能力をじっくりと見させてもらうぞ」



――Aブロック



円は桑原が立っている場所から半径50mぐらいのところまで広がっていった。



時雨の身体は桑原の領域の中にあっという間に取り込まれる。



領域に入った時雨の身体にここである変化が起き始めていた。



その様子を見た桑原は確信した。



桑原(上手くいったぜ)



――選手達の休憩所



幽助「おい飛影!あれって領域じゃねーのか!?」



飛影「ああ。間違いない。あの馬鹿は領域を広げた」


幽助「あんにゃろう。すげーじゃねーかよ」



――会場を一望出来る崖の上



桑原の出した剣に比羅とその同士達は騒然となっていた。



辣姫「ねぇ駁、あの人間が作り出した空間、なんか変な感じがしない?」



駁(………)



駁は辣姫の問い掛けに反応しない。



彼の視線はスクリーンに釘付けだ。



それは比羅、烙鵬も同じであった。



辣姫「ねえってば!」



駁の肩に手をおく辣姫。



駁「うるさい!黙ってろ!!」



辣姫(!?)



駁の顔が普段と大きく違っていた。



それはいつもの辣姫と口喧嘩をする彼の顔ではなかった。



駁の顔からそれが何を意味しているのかを辣姫はここでようやく気付いた。



辣姫「あれがそうなの…」



烙鵬「比羅殿…」



比羅は頷く。



比羅「やはり樹の言った事に間違いはなかったな。
あの桑原こそ私達の求めている時を操る能力者だ」



――Aブロック



時雨(時間の流れを変化させてきたな)



桑原の能力によって時雨は身体の変化を強く感じ始めていた。



時雨「むん!!!!!!」



だが時雨はその変化を気にする事なく桑原に攻撃を仕掛ける。



何故なら桑原と修行をしていた時雨にはこの能力の事はよくわかっていたからだ。



時雨(拙者の狙いはただ一つ)



グググ……




しかしその攻撃は桑原の作り出した領域の影響なのか、攻撃速度が遅くなっていた。



時雨にだけ時間の流れが遅くなっている。



桑原(これならなんとかかわせるぜ)



スッ



これまでさんざん苦しめられてきた魔風撃をついにかわした桑原。



ザッ!!



そして攻撃をかわすと時雨の懐に入り込む。



桑原「もらったぜ時雨!!」


ビューーー!!!!!!



時雨(!!)



動きが遅くなっている時雨に桑原の攻撃はかわせない。



ズバァァァァァ!!!!



時雨の左肩から右の脇腹にかけて斬り裂く。



時雨「ぬぅっ!!」



この一撃で時雨の魔風撃の態勢が崩れた。



だが、その傷は桑原の予想より遥かに浅い。



「何ィィ!!!」



驚く桑原。



桑原の能力がどんなものか知る時雨は攻撃をかわされると判断して、あらかじめ防御の方に集中していたのだ。



桑原(!?)



グラッ



消耗が凄まじかったのか、ここで桑原の身体に異変が起きた。



桑原(クソッタレ!。時雨との修行した時はぐらつく事はなかったのによ…試しの剣が変わったせいか…)


――選手達の休憩所



奇淋「勝負あった。時雨の勝ちだ」



幽助「やべー。桑原の奴、スキだらけだ」



――Aブロック



ビューーー!!!



桑原(チクショー!!)



能力で時雨の攻撃速度が遅くなっているとはいえ、ぐらついて態勢の崩れた桑原には時雨の攻撃をかわせない。



これで勝負がついた。



選手達の休憩所でこの試合を見ている誰もがそう思った。



だが、ここで予想外の事が起きた。



時雨は桑原を斬る事が可能だったのにもかかわらず、何故かそれを実行しなかった。



ドガッ!!



桑原「痛っ!!」



桑原の手から試しの剣が弾れる。



時雨は桑原を斬らずに試しの剣だけを弾き飛ばしたのだ。



時雨(………)




時雨は試しの剣を遠くに弾き飛ばしたのを確認する。



そして時雨は片手で傷口を押さえながらバックジャンプで桑原と距離を取る。



(ニヤリ)
時雨(上手くいったぞ)



――選手達の休憩所



奇淋「時雨の奴、一体どういうつもりだ。今のは大きな隙が出来ていた桑原を一気に斬り裂く事は出来ていた。それで勝負はついていた筈だ。何故、剣だけを弾いたのだ…」



時雨の行動は奇淋の目には不可解に見えていた。



躯「なるほど。そういう事か」



躯には時雨の目的が分かったようだ。



躯「フッ、時雨の奴、
あの桑原をとことん育てたいようだな」




続く
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