幽☆遊☆白書〜2ND STAGE〜

□大会編04
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――Aブロック



黄泉と黒鵺の試合が始まった頃、Aブロックでは桑原と時雨の試合の後の第二試合は修羅の勝利で幕を閉じていた。



続いて第三試合が間もなく始まる。



魔界統一トーナメントAブロックの三回戦・第三試合



煙鬼(えんき)
×
孤光(ここう)



――メイン会場



小兎「間もなく、Aブロックでは第三試合が始まろうとしております。この試合は皆さんも御存知のとおり、注目の試合となっております」



スクリーンに煙鬼の姿が映し出される。



煙鬼の顔はどこか憂鬱そうに見える。



小兎「まずは前回の大会の覇者で現在の魔界の王の煙鬼選手です」



「お〜〜!!!優勝候補のの登場だ!!!」



観客達の間で大きな歓声が上がる。



そして煙鬼に続いてスクリーンには孤光の姿が映し出される。



孤光は煙鬼と違って、
彼女は不敵な笑みを浮かべている。



小兎「続きまして、孤光選手。この孤光選手はなんと煙鬼選手の奥様になります。私としましては、
気になるのが、温厚で大の奥様想いで有名な煙鬼選手がはたして奥様を殴る事が出来るのか、それを
とても注目しております」


「孤光っていえば、前大会で黄泉を倒した女だったよな」



「ああ!あの試合で黄泉が負けるとは予想外だったぜ」



「夫婦対決か!これは面白い試合になるぞ」



――Aブロック



闘場の中央付近で対峙する夫婦。



煙鬼(やれやれ。とうとう孤光との対戦の時が来てしまったか)



煙鬼はチラッと孤光の顔を見る。



孤光は気合いと自信に満ちあふれた顔をしていた。



孤光(フフッ、楽しくなってきたわ)



煙鬼(孤光のあの顔はかなり張り切っている時の顔だ。まいったのう)



相変わらず憂鬱な顔をしている煙鬼に孤光が話しかける。



孤光「アンタ!何しけた顔をしているんだい!
試合が始まったら三回戦が始まる前にアンタがあたしに言った事をちゃんと証明してもらうよ」



煙鬼(フゥ〜、やれやれだわい。才蔵のせいで孤光の奴、とんでもなく気合いが入っとる)



〜煙鬼の回想〜



――三回戦が始まる前



三回戦の対戦表を見ながら落ち込む男が一人。



煙鬼「分かってはいた事だが、孤光と戦うのはやっぱり嫌だな・・・」



ハァーっと溜め息をつく。


ポンポン



何者かが煙鬼の肩を叩く。


「煙鬼、孤光が対戦相手とは災難だな」



それは喧嘩仲間の才蔵であった。



煙鬼「ああ。前の大会が始まる前に孤光に“愛と喧嘩は別次元”と言った手前、本気で戦わないといかん」



才蔵「ハハハッ、言った言葉には責任を取らないとな。お前達は一緒になってからというもの、夫婦喧嘩は全くといってしてしていないからな。第三者としてお前達の“喧嘩”を楽しませてもらうぞ」



煙鬼「才蔵、他人事だと思って・・・」



才蔵の言葉にムッとする煙鬼。



才蔵「孤光の奴はお前と当たる事になって、様子はどんな感じだ?」



煙鬼「あいつはかなり張り切っているんだ。さてさて、どうしたものかな〜」



煙鬼の言葉に才蔵、ニヤリ。


才蔵「フッ、頑張れよ。前大会の覇者として三回戦で消えてしまうわけにはいかないぞ」



わざと意地悪くプレッシャーをかけるような事を言う才蔵。



煙鬼「才蔵、ワシがこんな所で負けるわけがないだろ」



才蔵「ほう?なら孤光より強い自信があるのか?」



煙鬼「もちろんだ。喧嘩したらワシが絶対に勝つに決まっているだろう」



才蔵に向かって自信満々に言い放った。



才蔵「ハハハ」



煙鬼の言葉を聞いて楽しそうに笑い始めた。



煙鬼(??)



煙鬼は突然笑い出した才蔵を不思議そうな顔で見つめた。



才蔵は笑いながら視線を煙鬼の後方に移す。



煙鬼(ゾクッ)



その時、煙鬼は何故か一瞬、背筋が凍る様な感覚に陥る。



煙鬼(この悪寒は何だ?)



才蔵「おい、煙鬼の今の言葉を聞いたか?」



(ゴゴゴゴ)

「バッチリ聞いたよ」



煙鬼の背後から女性の声。


煙鬼「へっ!?」



間の抜けた声を上げてその場で思わず固まる。



そしてソーッと後ろを振り返った。



孤光(ニッ)



そこには不敵な笑みを浮かべた孤光が立っていた。



煙鬼「・・・こ・・・孤光ォォォ!?」



孤光「アンタ聞いたよ。私より強い自信があるんだって?面白いじゃないか。是非、その力を見せて貰うよ」



顔は笑っているが目が笑っていない。



煙鬼「さ、才蔵〜〜、お前・・・」



思わず才蔵に詰め寄る。



才蔵「孤光がこっちに向かって歩いて来るのが見えたからな、これは面白そうだと思ってな」



雷禅の喧嘩仲間の中でも屈指の実力者である才蔵。



実は意外にも彼は悪ふざけが大好きな性格だったのだ。



孤光「フフフ、腕がなるよ。アンタとの試合は三試合目だね。それまでアンタ!首を洗って覚悟しとくんだね」



そう言うと孤光はこの場から立ち去っていった。



煙鬼には孤光の背中から炎が見えたような気がした。それは孤光が煙鬼との試合に燃えている証だった。



才蔵「孤光は張り切っているってお前が言っていたのに、さらに燃えさせてしまったな」



煙鬼「才蔵、お前の悪ふざけのせいだぞ」



才蔵「ハハハ、そんなに怒るなって煙鬼。昔、俺の悪ふざけのおかげで、雷禅に振られて妬けっぱちを起こしていた孤光とお前が一緒になれたんじゃないか」



煙鬼「む・・・」



才蔵「お前も夫婦って事を忘れて昔の様にやればいいだけの事だ。今回もいい方向に話しは転ぶよ」



煙鬼「昔の様にか・・・」



〜煙鬼の回想・終〜



煙鬼(才蔵の事を今更行っても仕方ない。こうなってしまったからには思いっきりやるしかないのう)



上空では審判が二人の様子を見ている。



――選手達の休憩所



躯「最強クラスのパワーを持つがスピードに難のある煙鬼、そして魔界最速のスピードを持つがパワーに難のある孤光。これは面白い戦いになりそうだ」



躯はスクリーンに映し出される煙鬼に視線を移す。



躯「煙鬼、お前には借りがあるんだ。こんなところで負けるなよ」



前回の大会の準々決勝で煙鬼に敗れた躯は雪辱に燃えていた。



――Aブロック



審判「始め!!!」



審判の合図で、Aブロックの三回戦・第三試合がいよいよ始まる。



(キッ)
孤光「アンタ、行くよ」



試合開始の合図と同時に構えて戦闘態勢に入る孤光。


煙鬼(なるようになれ)



パン!!



煙鬼は気合いを入れる為に自分の両頬を思いっきり叩いた。



そして闘場に響く大きな声で叫ぶ。



煙鬼「よーーーーし!!
かかって来い孤光!!」



史上最強の夫婦対決、
ついにスタート。



続く
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