幽☆遊☆白書〜2ND STAGE〜

□大会編04
12ページ/35ページ

――魔界統一トーナメントDブロックの三回戦・第ニ試合



仙道(せんどう)
×
黄泉(よみ)



――選手達の休憩所



修羅「流石はパパだ。
パパはどうやらあの仙道って奴のスピードを得意の呪術で奪ったみたいだ」



――Dブロック



仙道(最悪の場合、黒鵺の姿に戻る事も考えないとな…)



仙道は黄泉の鉄壁と言える防御壁と反障壁の攻略を考え始めた。



あの二つの壁は並み大抵の攻撃では破壊する事は到底不可能。



そしてあの壁をどうにかしない限り黄泉にダメージを与える事は出来ない。
そう黄泉を倒す事は出来ないのだ。



これまでスピードで圧倒的に黄泉を上回り、この試合の主導権を握っていた仙道であったが、そのスピードを奪われた事により一気に追いつめられる結果となった。



仙道(生半可な攻撃は通用しない。仙道としての能力を最大限に生かした攻撃も使えなくなった。何か手を考えないとな)



仙道が次に仕掛ける攻撃を考えていたその時だった。



黄泉がここで動いた。



ズキューーーン!!!



黄泉が仙道に急接近。



仙道(!!)



二つの壁の攻略方に気を取られていた仙道は完全に不意をつかれた。



バゴォォォォ!!!



仙道「ぐっ!!」



黄泉は仙道を空中に蹴り上げる。



黄泉「フッ」



空を見上げる黄泉。



そして



バッ!!



空中に蹴り上げられた仙道より高くジャンプ。



そして仙道の背後にまわる込む黄泉。



黄泉「ハッ!!!」



ドガッ!!!



仙道の背中に強烈な一撃をくらわした。



仙道「うっ!!」



激しい衝撃を受けた仙道の身体は地面に向かって急降下。



ドガァァァァァ!!!!!!!



地面に思いっきり叩きつけられた。



その叩きつけられた衝撃で地面に大きな穴があいたのだった。



スッ



そして黄泉はその穴に照準を合わせる。そして両手の手の平を向かい合わせて構えた。



ガラガラガラ



穴の中で仙道は起き上がった。



仙道「油断したぜ…」



黄泉「これで終わりと思うな。俺の妖気弾を受けてみろ」



ドーーーーーーン!!!!!!!!



中型の大きさの妖気弾が仙道に向かって放たれた。



仙道(!!)



仙道はすかさず両手を前に出す。



仙道「やらせねーよ!!」


グググ………



妖気弾を両手で受け止める。



仙道「むゥゥゥゥゥ!!!!!」



ズズズ……



妖気弾の威力の前に仙道の身体が後ろに押される。



黄泉「これだけではない」


黄泉は再び両手を前に出して手の平を向かい合わせにすると妖気弾を作り出し始めた。



仙道「なっ!?」



仙道の顔色が変わる。



黄泉「もう一発、サービスだ」



ドーーーーーーン!!!!!!!!



仙道が受け止めている妖気弾にもう一発の妖気弾の威力が上乗せさせられる。



仙道(!!!!!!!)



ズン!!!



妖気弾のあまりの威力に仙道の足が地面に埋まる。



その様子を見て黄泉は不敵な笑みを浮かべる。



そして一言。



黄泉「吹き飛べ!!」




仙道「ぬわァァァァァ!!!!!!!」



ドッガァァァァァァァン!!!!!!!



仙道が立っていた位置で大爆発が起きた。



――会場を一望出来る崖の上



烙鵬「……強い!!」



駁「あれが噂の黄泉って奴か…。大した強さだぜ」



辣姫「魔界にはとんでもない強さの妖怪が本当に沢山いるわね」



烙鵬「あの劣勢から、
一気に形勢逆転か。
なるほど、比羅殿が苦戦した相手だけはある」



仲間達が黄泉の強さに目を奪われている中でただ一人、比羅だけは黄泉ではなく、仙道に注目していた。



駁「おい比羅、あの黄泉の二つの壁の攻略方法はあるのか?」



比羅(…………)



比羅は映像に見入っているのか、駁の問い掛けに答えない。



駁「おい比羅!!」



少し強めに比羅の名を呼ぶ。



比羅「あ…ああ」



ようやく駁が声をかけた事に気付く比羅。



駁「おい、どうしたんだよ比羅?お前は今、俺達とは別のものに気を取られていただろ?」



比羅「ああ」



駁「一体何に気を取られていたんだ?」



比羅は少し考えるような素振りを見せたが駁に答える。



比羅「あの仙道とかいう男だ」



駁「あん?仙道だぁ。今、黄泉にやられた奴か。あいつもとんでもない強さのようだが、黄泉以上に警戒するような相手か?」



比羅「何故かは分からない。だが、あの男が気になる。そして私の心の中で何か胸騒ぎを感じる」



駁「何だそれは??」



比羅(私の知らないところで何かが起きている。そんな気がしてならない)



比羅がこの時に抱いた胸騒ぎ、それは比羅達の運命を大きく揺るがす出来事だった。



それは王の死。



そして樹達や鴉以外に王の死を知るただ一人の男・仙道(黒鵺)。



彼の行動は未だに謎に包まれていた。



――メイン会場



小兎「仙道選手に黄泉選手の放った妖気弾が炸裂!!これは凄い爆発です。仙道選手は大丈夫でしょうか??」



「やっぱり黄泉は強いぜ!!!」



「流石は優勝候補の一人だ」



「もうこれで勝負あったんじゃねーのか!!」



――選手達の休憩所



鴉「フッ、この程度で黒鵺を倒せはしない。奴と戦った私が一番良く分かる。
真の姿を見せないで奴が倒されるものか」



――Dブロック



黄泉は地面に着地。爆発の様子を伺う。



シュウゥゥゥゥゥ……



爆発の跡から白い煙が空に向かって上っている。



黄泉(この程度の攻撃で倒せるような相手ではない)



バッ!!!



仙道が黄泉の前に姿を現した。



黄泉「やはりな」



その姿を見る限り、黄泉の放った二発の妖気弾をまともに受けていた。



仙道は身体に大きなダメージを受けていた。



仙道「こうなったら仕方ない。こんなところで俺は負けるわけにはいかない」



サァァァァァァ!!!!



仙道は両手を横に広げると、その身体から黒い煙りが出て来て闘場をあっという間に覆いつくす。



黄泉(これはあの時の煙!?)



闘場を覆い尽くした煙は結界へと進化する。



それと同時に仙道の妖気が急に消え去る。



黄泉「奴の気が消えた…」


黄泉は突然、消えた仙道に不気味さを感じていた。



黄泉(どこだ!どこにいる)



ドン!!ドン!!



その時だった!
妖気か何かで作られたと思われる二つの弾が黄泉を目掛けて飛んで来る。



黄泉「ぬっ!」



黄泉は直ぐに鉄壁の反障壁を張り巡らす。



だが!!



なんと二つの弾は黄泉の反障壁を難なく貫いた。



黄泉「ば、馬鹿な!!?」



予想外の出来事に黄泉は弾を避ける事は出来なかった。



黄泉「チッ!!」



咄嗟に両手をクロスさせて防御に力を入れる。



ドガァァァァァン!!!!!!!!!



二つの弾の直撃を黄泉は受けたのだった。



攻撃を受けて黄泉はある事に気付いた。



黄泉「くっ…、これは妖気ではない!完全なる霊気だ!!一体どうなっている」


ザッ



突如、何者かが黄泉の前に姿を現した。



黄泉「お前は!?」



黄泉の目の前に立っている者は仙道であって仙道ではなかった。別の姿に変貌を遂げていた。



そう、仙道は真の姿である黒鵺の姿に変身していたのだ。



黒鵺「なるほど、お前の鉄壁の障壁は妖気以外のものは貫通するようだ」

(霊気だけでなく妖気を含む魔光気は恐らく通用しない。ならば霊気のみに集中すればいいこと)



黄泉「霊気を使うとはお前は一体!!?」

(浦飯以外に妖気と霊気を使い分ける事が出来る奴がいるとは!それにこの姿は一体…)



黄泉は目が見えなくても、相手の気質の変化などから仙道が別の姿に変化した事を察知したのだった。



黄泉「………」

(それに何故かは分からないがこの男とどこかで会った事があるような気がする…)



黒鵺「俺が分からないか黄泉?まあ無理もないか、今のお前は目が見えないのだからな。お前の知っている俺は今と比べられないほど弱かったことだしな」



黄泉「何だと…」



黄泉は目の前の男が話す
どこか聞き覚えのある声、そして懐かしい気、
頭の中でぐるぐると
もうとっくに忘れてかけていた記憶の断片がパズルのように合わさっていく。



そして一人の妖怪の姿が頭に過ぎる。



黄泉の顔色が一気に変わった。



黄泉「く…黒鵺…、そんなまさか!?何故お前が…!!」



黒鵺、ニコリ。



黒鵺「久しぶりだな黄泉」


黄泉と黒鵺…長い空白の時を越えて運命の再会を果たしたのだった。



続く
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ