幽☆遊☆白書〜2ND STAGE〜

□大会編04
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――魔界統一トーナメントDブロックの三回戦・第ニ試合



仙道(せんどう)
×
黄泉(よみ)



――メイン会場



第一試合に引き続いて、
Dブロックに張り巡らせられた結界。



中で一体何が起こっているのか観客達には分からない為、大きな不満が出てきていた。



「おい一体何が起きてんだよ!!全く見えねーぞ!!!」



「大会側は何をやっているんだ!!さっさとどうにかしろよ!!」



小兎「会場の皆さん、お静かにお願い致します!!これは選手側が張った結界のようですので、道具、武器、能力、技に関してはこちらからは口出し出来ない決まりとなっております」



小兎の説明に観客達の怒りと不満はヒートアップ。



「馬鹿野郎!!そんな事は知らねーよ!俺達は試合を見に来たんだ!どうにかしろーー!!」



小兎「はにゃ〜!!?
も、物は投げないで下さい!他の方にご迷惑です」



メイン会場は少し大変な事になっていた。



――Dブロック




黒鵺「久しぶりだな黄泉」


仙道はついにその真の姿である黒鵺の姿に戻った。




黄泉と黒鵺…長い空白の時を越えて運命の再会を果たしたのだった。



黄泉にとって黒鵺は蔵馬と同じく盗賊時代の仲間だった。



黄泉が蔵馬が放った刺客に襲われて、盗賊団から離脱した後、蔵馬と黒鵺は盗賊団を離れてコンビを組んで行動していた。



黄泉は四年前に魔界で蔵馬と再会を果たした時に蔵馬からは黒鵺は死んだと聞かされていたのだった。



その為、死んだと思っていた黒鵺が生きて目の前に立っているという事実に驚きを隠せなかった。



そして何よりも黄泉を一番驚かせたのは、さっきまで戦っていた仙道がその黒鵺だったという事だった。



黄泉「俺は…、蔵馬からお前は死んだと聞いていた。仙道が黒鵺…一体どうなっている」



黒鵺「フッ、混乱しているようだな黄泉。
まあ無理もない事だが」



黒鵺は目を閉じて笑みを浮かべる。



黄泉「だが、仙道の正体がお前だというなら蔵馬を救ったのも頷ける話しだ」



黒鵺「蔵馬をこんなとこで死なすわけにはいかないからな。お前もそうであるからこそ蔵馬を助けに入ったのだろう?」



黄泉「ああ…」



黒鵺「その顔は色々と俺に聞きたい事があるような顔だな」



黄泉が頭の中で浮かんだ幾つかの疑問。



まずは死んだ筈の黒鵺が何故生きていたのか?
その理由。



そして黒鵺が何故、正体を隠してまでこの大会に参加したのか?その理由。



だが、黄泉の中ではそれらの疑問よりもっと気になる事があった。



それは、黄泉が身を守る為に張った反障壁を撃ち抜いた黒鵺の霊気による攻撃であった。



黄泉「もちろん聞きたい事は山ほどある。だが、今確実にやらねばならない事が俺にはある」



黒鵺「何だ?」



黄泉(キッ)



黄泉の顔つきが変わる。



黒鵺(!)



黄泉「お前を倒す事だ!!!」



ズキューーーン!!!



黄泉は旧友との再会の余韻に浸る事もなく、
黒鵺に向かって攻撃を仕掛けた。



黄泉「純粋な妖怪である黒鵺が霊気を使える筈がない。何者だ貴様!!正体を現せ!!!」



ビューーン!!!



鋭い突きを黒鵺の腹部を目掛けて放つ。



だが、



ガシッ!!



黄泉(!!)



黒鵺は両手に持つ鎌を胸のところでクロスさせて黄泉の拳を受け止めた。



黄泉「むうっ!!」



グググ……



拳に力を込めて鎌ごと破壊して貫こうとするが、その拳は黒鵺によって完璧に受け止められてしまっている為、ビクともしない。



黒鵺「お前は俺が黒鵺でないと疑っているようだが、俺はお前や蔵馬が知っている黒鵺だ」



黄泉「ふざけるな!俺がそんな事を信じると思うか!」



バッ



黄泉は一旦バックジャンプで下がり、黒鵺と距離を取った。



黒鵺「疑うならこれを見ろよ黄泉」



スッ



黒鵺は懐から何か小さな物を取り出し、それを黄泉に投げ渡した。



パシッ



黄泉(…………)



目が見えない黄泉が、
物を調べるには、
手で実際に触ってそれが一体何なのかを感触で把握していた。



だが、黄泉にとってはこれは調べるまでもなく、
手にしただけで何なのか直ぐに分かった。



黄泉「これは…盗賊団の…!!」



黒鵺「そう、盗賊団のメンバーということを示すバッチだ」



さらに黒鵺の渡したバッチは幹部が身に着けるバッチであった。



幹部のバッチは数ある普通の盗賊団員と形は同じだが、それぞれが異なった特殊な装飾がなされていた。



黒鵺が渡したバッチ、それは間違いなく盗賊時代の黒鵺が持っていたバッチ、そのものだった。



黄泉(本当にあの黒鵺なのか…)



黄泉は証拠を提示され、
目の前にいる男を黒鵺だと信じるしかなかった。



黄泉「お前が本当に黒鵺だとしてもあの霊気はどう説明する」




純粋な妖怪では普通では持つ事の出来ない霊気。



それを黒鵺が使って来た為、黄泉は強い不信感を募らせていた。



黒鵺「霊気か、この霊気は俺が生きていく為に命懸けで身につけたものについてきた、いわゆるオプションみたいなもの」



黄泉「オプション?」



黒鵺「俺が霊気が使える秘密、聞いたらお前はきっと後悔する事になるぞ」



黄泉「何だと…!」



黒鵺「まずはこれを見ろ」



ズズズ…



黒鵺は黄泉に雷蛾の姿に変身して見せる。



黄泉「これは変身能力か!」



雷蛾「そうだ。さっき、お前の反障壁を破った霊気の弾はこの姿で放ったもの。今の俺には変身能力がある。仙道もこの能力で作ったものだ」



黄泉「こ、この気は…!
ま、まさか!?」



黄泉が感じ取った気、
それは人間界で黄泉が死闘を繰り広げた相手である
金髪の男・比羅と同じものであった。



雷蛾「フッ、気付いたか。流石に顔つきが変わったな。お前ならこの気が何なのか直ぐに分かるだろう」



黄泉「あの男と同じ気…」



雷蛾「もっとも黒鵺の姿でもこの“魔光気”は使えるが、身体に負担が大きいのが難点だ」



黄泉「魔光気…」



雷蛾「ああ、魔光気とは霊気と妖気が合わさった究極の気。これを操れるものは、妖気と霊気の両方が使える」



ズズズ…



雷蛾の姿から元の黒鵺の姿に戻る。



黄泉「黒鵺…お前はあの男の!!」



黒鵺「そういう事だ。今の俺はお前と蔵馬にとって敵となる」



黄泉(!!)



驚きを隠せない黄泉とは対照的に黒鵺は冷静に話しを続ける黒鵺。



黒鵺「お前とはこんな形で再会する事になるとは思わなかったよ。出来るなら正体を知られずに仙道の姿でお前を倒せれば良かったが、流石に甘かったよ。あの比羅と対等に戦っただけの事はある」



黄泉(フッ、皮肉な再会だな…)



ブォォォォォ!!!!



黄泉は両手を後ろに引くと一気に全ての妖気を放出した。



黒鵺(!)



黄泉「黒鵺!!俺はお前が奴らの仲間というならかっての友といえども容赦はしない。全力を持って倒してくれるわ!」



黒鵺(ニッ)



黒鵺も両手に持つ鎌を強く握り締めて戦闘態勢の構え。



黒鵺「黄泉、俺にもこの大会に参加した目的はある。全てを捨ててな。その目的の為に俺はお前を倒す」



黄泉と黒鵺による旧友対決。



これからさらに戦いは激化していく事になる。



続く
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