幽☆遊☆白書〜2ND STAGE〜

□大会編04
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――魔界統一トーナメントDブロックの三回戦・第ニ試合



仙道(せんどう)
×
黄泉(よみ)



――Dブロック



黄泉「ガハッ!!」



傷口からの凄まじい出血。



黄泉はガクッと膝をつく。


スッ



膝をついた黄泉にゆっくりと剣を向ける黒鵺。



黒鵺「勝負あったな。その身体ではもう戦えない。昔の友を出来れば殺したくはない。潔く負けを認めろ黄泉」



黄泉(…ぬっ)



黒鵺の必殺の一撃は黄泉に大きなダメージを与えていた。



黒鵺「負けを認めろ」



ガシッ



黒鵺の剣先を掴むとゆっくりと立ち上がる黄泉。



黄泉「まだだ」



ブォォォォォォ!!!



黄泉の身体から攻撃的な妖気が放出されるのと同時に衝撃波が放たれた。



黒鵺「ぬっ!!」



ザザザ…



衝撃波で黒鵺の身体は後ずさる。



バッ!!



黄泉はその場から上に向かってジャンプ。



黒鵺「その身体でまだ戦うつもりか黄泉!」



黄泉「ハッ!!」



ドーーーン!!!



ドーーーン!!!



ドーーーン!!!



牽制の為、連続で妖気弾を黒鵺に向かって放った。



黒鵺は両手両足を横に広げる。



シュゥゥゥゥゥ……



封霞円舞陣によって次から次へと妖気弾は打ち消されていく。



黄泉は黒鵺から少し離れた位置に着地した。



そして傷口を手で触ってダメージの大きさを確認。



黄泉(出血が酷い。長時間の戦闘は厳しいな)



黒鵺「無駄な抵抗は止めて負けを認めろ黄泉。もう一度俺の技を受ければ死ぬ事になるぞ」



黄泉「断る」



黒鵺「強情なところは昔と変わっていないな黄泉」



黄泉「お前の仲間意識の強さも昔と殆ど変わっていないさ黒鵺」



黒鵺「フッ、あれから長い年月が経っているというのに、お互いに根本的なとこは変わっていないということか」



黄泉「そういう事だ」



黄泉は構えて再び戦闘態勢に入る。



黒鵺「お前を殺したくはないが、これも運命なのかもしれないな黄泉」



そう言うと黒鵺も戦闘態勢に入る。



黒鵺「さっきので分かっただろう。お前の防御壁はもう俺の攻撃を防ぐことが出来ない。次の攻撃で終わりだ」



黄泉(あの鎌の遠隔攻撃を受けると俺の防御壁は一瞬消える。防御壁が消えるタイミングに合わせて攻撃をされてしまうと防ぎようがない。どうする?)



黒鵺「行くぞ黄泉」



黄泉(蔵馬…、お前ならどうする?)



黄泉の脳裏に鴉との死闘に敗れて今は緊急治療中の蔵馬の姿が浮かぶ。



蔵馬なら冷静に最後の最後までこの状況を乗り切る為に対処する方法を考えるだろう。



黄泉は蔵馬ならこの時どうするのか考えた。



そして直ぐに一つの結論に達した。



黄泉(危険だが黒鵺に勝つ為にはこれしかない)



ブォォォォォ!!!!



黒鵺(!!)



黄泉は今の自分の中にある妖気を全て放出した。



黄泉「これが最後の勝負だ黒鵺!!」



黒鵺「あれだけの傷を負いながらまだこれだけの力を出せるとはな。正直驚いたぜ」



黒鵺は構える。鎌を投げる為に。



黒鵺「これで最後だ黄泉!!」



シュルシュルシュル



黒鵺の手から鎌が放たれた。



黄泉(チャンスは一度だけ。外すわけにはいかない)



黒鵺「行くぜ虎襲撃」



ズキューーン!!!



黒鵺は鎌が黄泉にヒットするタイミングに攻撃を合わせる為に黄泉に向かって駆け出す。



シュルシュルシュル



鎌は黄泉の背中を襲う。



黒鵺(防御壁で俺の鎌を防ぐがいい黄泉。防御壁が消えた瞬間、俺の剣はお前を斬る)



黒鵺は虎襲撃で攻撃。



ビューーー!!!



鎌の攻撃に合わせた絶妙のタイミング。



だが、ここで予想外の事が起きた。



ドスッ



黄泉(くっ……!!)



鎌が黄泉の背中に突き刺さった。



黒鵺(な、何だと!?)



なんと黄泉は防御壁を使わなかったのだ。



鎌を防御壁によって防ぐ事で壁が消えると思っていた黒鵺は意表をつかれた。



そして既に放たれた黒鵺の剣は止まらない。



ガッ!!



黄泉の防御壁が黒鵺の剣を弾く。



黄泉(肉を切らせて骨をたつ。蔵馬、お前ならきっとそうするだろう)



ボォォォォォォ!!!



その瞬間、黄泉の右手に炎が燃える。



黄泉「魔古忌流炎裂撃」



ビューーン!!!!



黒鵺「チッ!!」



攻撃をかわせないと判断した黒鵺は咄嗟に両腕を交差させた。



黒鵺「甘いぜ黄泉。俺にはプロテクタがあるんだ。
さっきのようにお前の攻撃を防いでやる」



ブォォォォォ!!!!



黒鵺は巨大な魔光気をプロテクタに集中。



そして。



ドゴォォォォォ!!!



黄泉の最強の一撃が黒鵺のプロテクタにヒット。



黒鵺「お前のその技は通用しない!」



黒鵺のプロテクタは黄泉の拳を完全に受け止めた。



だが。



ピシッ



黒鵺の両腕のプロテクタに僅かながら亀裂が入った。


黒鵺「な、何だと!」



プロテクタに亀裂が入った事で黒鵺は驚く。



黄泉は持てる妖気の全てを拳に込めていた。



黄泉「ハァァァァァァ!!!!!」



ブォォォォォォ!!!



黄泉はプロテクタを破壊し、黒鵺を攻撃する為にさらに妖気を込める。



黒鵺「ぬゥゥゥゥゥゥ!!!!!」



ビリビリビリ



黒鵺「くっ!凄まじい衝撃。俺がさっき防いだ時とは比べものにならないほどの恐ろしい威力だ。黄泉、お前はこの一撃に全てをかけているな」



黄泉「当然だ。このダメージでは長時間の戦闘は無理。お前を倒す為に俺はこの一撃に全てをかけている」



黒鵺「だが、このプロテクタをお前に破壊させはしない。俺はお前の拳を弾く!」



ブォォォォォ!!!



黒鵺は身体の中にある魔光気の全てをプロテクタに込めた。



黄泉(俺は蔵馬の分まで戦わねばならない。そして黒鵺よ、かっての友とはいえ、俺は魔光気を操る者に絶対に負けるわけにはいかない)



黄泉の頭の中で人間界で死闘を繰り広げた比羅の事がよぎる。



黒鵺(俺は王を殺した梟を殺す為に全てを捨ててここに来た。俺の想いが負けるわけがない。黄泉よ、勝つのは俺だ)



黒鵺の頭の中には今は亡き王の姿が浮かんでいた。



バチバチバチ



二人の身体から凄まじいまでのエナジーが放出。



妖気と魔光気、二つの気がぶつかる。



黄泉「黒鵺ェェェェ!!!!」



黒鵺「黄泉ィィィィィ!!!」



お互いの名を叫ぶ二人。



そして二つの気のぶつかり合いは終わりを迎える。



ピシピシピシ



黒鵺(!?)



プロテクタに入っていた亀裂が徐々に広がっていく。



黄泉「ハァァァァァァ!!!!!」



パリーーン



黒鵺「馬鹿な!!俺のプロテクタが!?」



黄泉の拳はついに黒鵺のプロテクタを打ち砕いた。



黄泉「俺の勝ちだ黒鵺!!魔古忌流炎裂撃」



ドゴォォォォォ!!!



黒鵺「ガハッ!!?」



黒鵺の胸部に黄泉の炎裂撃が直撃。



黒鵺は口から大量の血を吐いた。



黒鵺「黄泉…」



黒鵺は黄泉の肩を掴む。



そして。



グラッ



黒鵺の身体は徐々に崩れ落ちるように地面に倒れていく。



ドサッ



黒鵺の身体は地面に仰向けに倒れた。



黄泉「ハァハァハァ…、黒鵺…」



黄泉と黒鵺。



長い時を越えて再会した二人。



大会の組み合わせとはいえ、運命は二人を対決へと導いた。



二人は共に次に待ち構える梟(鴉)を倒すという目的があった。



黄泉は蔵馬の為。



黒鵺は亡き王の為。



それぞれの想いを胸にぶつかったこの旧友対決は黄泉が制したのだった。



続く
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