幽☆遊☆白書〜2ND STAGE〜

□大会編04
22ページ/35ページ

――救護室



再び時は現在に戻る。



九浄「ってなわけだ」



棗「あの夫婦対決は煙鬼が勝ったんだ」



九浄はこれまでの試合の様子をようやく棗に話し終えた。



棗「有難う九浄、私が気を失ってからのだいたいの事は分かったよ」



九浄「恐らくそろそろ三回戦が全て終わる頃だと思う。お前は第一試合だが、
身体は大丈夫か棗?」



「大丈夫よ」



ゆっくりとベッドから起き上がる棗。



その目は試合に勝つという闘士に満ち溢れていた。



棗(飛影、雪菜ちゃんの為にも勝たせてもらうわよ)


――激しい戦いが続いた三回戦は終わった。



蔵馬に勝利した梟(鴉)の突然の失踪は大会関係者達を驚かせたが、この件は梟の四回戦の対戦相手である黄泉の不戦勝という形で終結した。



魔界統一トーナメントは
いよいよ四回戦へと突入する。



――メイン会場



小兎「皆さん、お待たせしました。これより四回戦を開始します」



「いよいよ四回戦だ。ここまで残っている奴らはどいつもこいつも優勝してもおかしくない連中だ。楽しみだぜ」



――選手達の休憩所



樹里「選手の皆さんお待たせしました。間もなく四回戦の対戦表を発表します」


凍矢「あれは樹里」



陣「樹里がここに戻ってきているという事は…」



そう呟く陣の肩を後ろからポンポンと何者かが叩く。


「陣」



陣(!)



陣が振り向くとそこには二回戦で鴉に敗れて瀕死の重傷を負っていた鈴木が立っていた。



陣「お〜鈴木!!!もう傷は大丈夫だか?」



鈴木「ああ、大丈夫だ。
いつまでも寝ているわけにはいかないからな」



凍矢「派手にやられていたからな。心配したぞ」



鈴木「すまん凍矢、心配かけたな」



凍矢「しかしあの樹里は鈴木をとても一生懸命看病してくれていたな」



陣「そうそう。鈴木の怪我の様子を見に行ったオレ達もあんまり鈴木に近づけさせてくれなかったもんな」



(キラッ)
凍矢「間違いない。お前はあの子に惚れられている」



(ドーーーン)
鈴木「何ィ!!」



陣「うんうん。それはオレでも分かったぞ」



鈴木「しかしオレは自分以外に興味は…」



陣「何を言ってるんだ鈴木。鈴木は自分以外にあの駒形を好きになったじゃないか」



鈴木「こ、駒形!?」



駒形の名前を聞いて一気に青ざめる。



鈴木にとって駒形の事はどうやら触れてはいけない事柄らしい。



「あ、鈴木さんだ」



鈴木(ゾクッ)



その声に凍りつく鈴木。



凍矢「噂をすれば」



陣「駒形だぞ」



鈴木「あ、あ…」



凍矢「ここまで帰ってきていたのか。しかも薬の効果が切れたのか、女の姿に戻っている」



駒形「鈴木さ〜ん」



鈴木「く、来るな〜!!」


走って鈴木の側までくるといきなり鈴木に抱きついてきた。



そしてその頬に素早くキスをする。



鈴木(!!!?)



陣「うわぁ…」



鈴木は既に顔面蒼白。



駒形「貴方に試合では酷い目に合わされけど、貴方のあの最後のパンチがとても私の心に響きました。私は貴方の事が好きになりましたわよ」



鈴木「愛などないわ!あれはお前と自分に対する怒りのパンチだ。とにかく離せ、このオカマ!!!」



駒形「嫌ですわよ。もう離しませんわ」



うっとりした顔で鈴木の胸に顔をうずめる駒形。



鈴木と駒形の目が合う。



鈴木の瞳には綺麗な駒形の顔が映る。



鈴木「美しい……」



ブルブルと首を振る鈴木。


再び駒形の顔を見ると、
美容整形をする前の駒形の姿が鈴木の頭の中を過ぎる。



鈴木「やっぱり、美しくなーーーーーーい!!」



必死に駒形を引き離そうと暴れる鈴木。



駒形「もう暴れたら嫌ですわよ」



樹里「あっ!駒形!!鈴木に何しているのよ」



駒形の存在に気付いた樹里は、試合の進行をほっぽりだして鈴木と駒形の間に割って入っていく。



樹里「アンタ鈴木から離れなさいよ!」



グィッ



駒形「グェッ」



駒形の髪の毛を後ろから引っ張って鈴木から引き離す。



駒形「痛いじゃないの。
何をするのよ。このブス」


樹里「ぶ、ブス!!?」



駒形「貴方もそう思うでしょ鈴木さん」



鈴木に再び抱きつく駒形。


鈴木「や、やめろーー」



駒形「照れて可愛いですわよ」



鈴木「照れてないわ!!」


駒形「フフッ」



そして不意をついて鈴木の唇に熱いキスをする。



鈴木(!!!!!?)



樹里(!!!!!!)



凍矢「ほう」



陣「大胆だな」



駒形「好きっ」



頬を赤らめて呟く駒形。



鈴木(………………)



あまりの出来事に鈴木の思考回路は完全にショートしていた。



(ゴゴゴゴゴゴ)
樹里「もう許さないわよ」


陣「あっ、樹里の妖気がめちゃくちゃ上がってるぞ」


凍矢「妖気というよりは、怒気だな」



駒形を片手で鈴木から引き離す。



駒形「何をするのですか。鈴木さんは私のものですわ」



樹里「オカマなんかに鈴木は渡さないわよ」



駒形「フフッ、オカマでも貴方より私の方が美しいですわよ」



樹里「ムッキーー!!アンタの本当の姿はむさくるしい男じゃない。作り物の美しさに本物の女の私が負けるわけないわよ」



駒形「何ですって!!」



バチバチバチ



目から火花を散らす二人。


樹里・駒形「鈴木(さん)は渡さないわよ」



そして二人は両サイドから鈴木の手を引っ張る。



鈴木「や、やめんかーーーーー!!」



その様子を温かい目で見守る二人。



陣「何か楽しそうだな」



凍矢「うむ」



鈴木「お、お前達、そこで見ていないでこいつらを止めてくれ!!!」



必死の顔で陣と凍矢に助けを助けを求める鈴木。



陣「だってな〜」



凍矢「うむ」



放置プレー確定。



鈴木「No!!!!!!」


鈴木合掌。



煙鬼「若いっていいのう、孤光」



孤光「そう?なんかあの男、涙を流しているよ…」



――メイン会場



「おい!対戦表の発表はまだかよ!!」



小兎(は〜っ、樹里さんがまた暴走してしまってる)


小兎は内線で天海に助けを求める。



――選手達の休憩所



天海「失礼しました。いなくなった樹里に変わって私、天海がまたまた進行させていただきます」



――メイン会場



小兎「それでは四回戦の対戦表を発表します」

(やれやれね)



メイン会場と選手達の休憩所のスクリーンに四回戦の対戦表が表示された。



魔界統一トーナメント
四回戦の対戦表
【Aブロック】

(1)
桑原(くわばら)
×
修羅(しゅら)

(2)
煙鬼(えんき)
×
浦飯(うらめし)


魔界統一トーナメント
四回戦の対戦表
【Bブロック】

(1)
棗(なつめ)
×
飛影(ひえい)

(2)
奇淋(きりん)
×
死々若丸(ししわかまる)



魔界統一トーナメント
四回戦の対戦表
【Cブロック】

(1)
酎(ちゅう)
×
楽越(らくえつ)


(2)
才蔵(さいぞう)
×
凍矢(とうや)



魔界統一トーナメント
四回戦の対戦表
【Dブロック】

(1)
梟(ふくろう)
×
黄泉(よみ)不戦勝

(2)
躯(むくろ)
×
痩傑(そうけつ)



三回戦を上回る激しい激闘が繰り広げられる事になる四回戦がついに始まる。



続く
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ