幽☆遊☆白書〜2ND STAGE〜

□大会編04
25ページ/35ページ

――魔界統一トーナメントDブロックの四回戦・第ニ試合



躯(むくろ)
×
痩傑(そうけつ)



――Dブロック



痩傑「ウォラアァァァァァ!!!!!」



ブォォォォォォ!!!!!!



試合開始の時と同じ様に妖気を一気に放出させて高める痩傑。



ドーーーン!!!



痩傑の妖気は巨大な柱となって天に向かってのびていく。



痩傑「ここまで力を出すのは周との試合以来だぜ」



持てる全ての妖気を放出させて、最強の躯に挑む。



――メイン会場



小兎「あーーーっと痩傑選手が再び妖気を放出。重傷を負っているとは思えないほどの凄まじい妖気です。どうやら勝負に出るようです」



「あの野郎、あの状態でまだやるのかよ」



「あいつ一体何をするつもりだ。あいつが何をやっても今の躯には通用するようには見えないぜ」



――選手達の休憩所



周「チッ、やっぱり躯に受けたダメージが相当響いているな。本当の痩傑の全力はまだまだあんなものじゃねーぞ」



九浄「それだけ躯の攻撃力が凄かったという事だな。あの僅かの時間にこれだけ痩傑にダメージを与えるとは…。まったく恐れ入ったぜ」



電鳳「両腕があの状態なら痩傑の風を操る能力は使えない。こうなっては今のあいつに残されているのはあれしかない」



――Dブロック



躯「最強の技とか言ったな。だがその腕ではオレにまともに攻撃が出来るとは思えないな」



痩傑「フッ、これは技というよりは能力になるかもな。もはや今のオレの腕では“風を支配する能力”は使えない。だがこいつは腕を使う必要がなくてな」



グググ…



痩傑は砕けた右手をどうにか動かして被っていた帽子を取った。



帽子の下に隠されていた痩傑の頭には小型の角が二本生えていた。



躯、この痩傑の頭の角に反応を示す。



躯「…その角は」



痩傑、ニヤリ。



そしてピカッと痩傑の身体から白い光が放出された。


躯「チッ…」



激しい光で躯の目が霞む。


そして白い光が消えると同時に痩傑の身体が変化していく。



ズズズ…



痩傑を邪悪な容貌の妖龍の姿へと。



変化した痩傑の姿は、
左半身が赤い色、そして右半身が白い色の龍の姿となり、全身が鱗に覆われていた。



つまり左半身が炎龍、右半身が氷龍なのだ。



――メイン会場



小兎「あーーーっと痩傑選手の姿が妖龍へと変化しました!!これは初めてみます。痩傑選手の新しい能力かーーー!?」



――選手達の休憩所



小兎の実況を聞いた九浄がニヤリ。



九浄「新しい能力じゃねえよ。あれは痩傑が生まれた時から持っている能力さ」


――Dブロック



妖龍に変化した痩傑は口を大きく開ける。



ピカーーーーーー!!!



痩傑の顔の左半分が光る。



躯「むっ!!」



躯の目つきが険しくなる。



痩傑「お前の全てを焼き尽くしてやる。“灼熱地獄”だ!!!」



ボォォォォォォォ!!!!!!!!



痩傑の口から魔界の炎が躯に向かって放たれた。



躯の身体はあっという間に炎に包まれたのだった。



ゴォォォォォォ!!!!!!!!



炎の勢いはどんどん増していく。



――選手達の休憩所



周「躯の奴、まともに受けたぜ」



九浄「魔界でも希少な最強の炎の力を持つ妖龍族。痩傑はその中でもエリートだ。あいつの炎に焼かれたら躯もただではすまないぜ」


――メイン会場



「おおーーー!!!」



「ス、スゲー炎だ!!」



小兎「あーーーっと躯選手が痩傑選手の吐き出した炎に包まれたーーー!!!!!!身体が激しく燃えています。躯選手は大丈夫か!?」



――Dブロック



ゴォォォォォ!!!



躯の立っていた周辺が激しく燃えている。



痩傑(オレの炎による攻撃が予想外だったのか、躯はオレの炎をまともに受けた。躯は大火傷を負っている筈だ)



シャキーン



閃光が走る。



痩傑(!?)



ブワァァァァァ



あれだけ激しく燃えていた魔界の炎が一瞬で消え去る。



痩傑「馬鹿な!?」



躯が姿を現す。



あれだけ激しく魔界の炎に包まれていたのにもかかわらず、躯は服が僅かに黒くなっているだけで火傷は全く負っていなかった。



痩傑「……躯、あいつは化け物か…」



躯(…………)



躯は右手を上に掲げる。



シュッ



躯は上に掲げた右手を素早く斜めに下ろした。



ズバァァァァ!!!!



痩傑「ガハッ!!!」



痩傑の身体が斜めに斬り裂かれた。



――選手達の休憩所



鉄山・周「痩傑!!」



電鳳「信じられん。痩傑の炎が全く通用していないとは…」



九浄「…マジで強いぜ躯。あいつの強さは想像以上だ。残念だが、痩傑はもう立ち上がれないないだろう…」



――Dブロック



痩傑(…………)



ドサッと崩れ落ちるように痩傑は地面に倒れた。



そして倒れたのと同時に痩傑の身体は妖龍の姿から元の姿に戻った。



虚ろな目で躯を見る痩傑。


痩傑「何だ今のは…まるで空間ごとオレの身体を斬ったかのように見えた…」



躯「さっきの炎は惜しかったな。後数秒早く炎を吐いていたらオレは大火傷を負っていた」



痩傑「…悔しいがオレの負けだ躯。だが忘れるな。次に喧嘩をするときは必ずお前をぶっ倒してやるぜ」



ガク



そう言うと痩傑は意識を失った。



気絶した痩傑を見ながらニヤリ。



躯「フッ、いつでも相手してやるさ。オレは強い男は好きだ」



躯はそう言うと闘場の出口に向かってゆっくりと歩き始めた。



上空から審判が痩傑の状態を確認。



審判「Dブロックの四回戦・第二試合は躯選手の勝利です!」



躯、圧倒的な強さで痩傑を敗って準々決勝に進出。



――選手達の休憩所



躯が勝利した事を伝えるアナウンスが流れる。



黄泉は不敵な笑みを浮かべてこのアナウンスを聴いている。



梟の棄権によって黄泉は既に不戦勝で準々決勝に進出を決めていた。



次の準々決勝で黄泉は躯と戦う事になる。



黄泉(躯、これでお前との決着がつけられる)



黄泉は右手の拳を強く握り締め、闘志を燃やしていた。



続く
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ