幽☆遊☆白書〜2ND STAGE〜

□大会編04
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――魔界統一トーナメントAブロックの四回戦・第一試合



桑原(くわばら)
×
修羅(しゅら)



――Aブロック



修羅「ちょっと危なかったよ。でもどうやら力尽きたみたいだね」



桑原(クソッ……)



優勢的な試合状況から一転。絶望的な状況に追い詰められた桑原。



修羅「時間の流れを変化させる事が出来なくなったら桑原に勝ち目はないよ。さっさと降参した方がいいよ」



修羅は既に勝ち誇った顔をしていた。



――選手達の休憩所



牛頭「あいつやばいぞ…」


時雨「桑原……」

(まずい…。あの様子だともう殆ど桑原には霊気が残されていない)



――Aブロック



桑原「誰が負けを認めるかよ!オレはまだ動けるんだぜ」



ピキーーン



桑原は残り少ない霊気を振り絞って右手に霊剣を作り出した。



桑原「根性だぜぃ!」



修羅「馬鹿だなこいつ」



桑原「このガキ!」



桑原は修羅のあまりにも余裕綽々の態度に腹を立てる。



桑原「でゃぁぁぁぁぁ!!!!」



霊剣を振りかざして修羅に斬りかかる。




ビューーー!!!



修羅(ニッ)



フッ



簡単に桑原の攻撃をかわす。



桑原「この!!」



ビューー!!



攻撃を避けた修羅を追いかけて再び斬りつける。



だが。



パシッ



桑原(!?)



修羅は右手で桑原の霊剣を受け止める。



修羅「今のお前はもうボクの相手じゃないよーだ」



舌を出して桑原をおちょくる。



桑原「チクショーー!!」


グググ……



桑原は霊剣に力を込めて押そうとするが修羅に受け止められている剣はびくともしない。



桑原「動かねー……!!」



修羅「よいしょっと」



グィッ



桑原「なぬっ!?」



修羅は霊剣を受け止めている右手に力を込めると桑原の身体を軽々と持ちあげたのだった。



桑原「ま、マジかよ!」



修羅「よっと!!」



ビューーン!!!!!



修羅は桑原の身体を思いっきり投げ飛ばした。



ドガァァァァァン!!!!!!!!



岩壁に桑原の身体は叩きつけられた。



ガラガラガラ



崩れた岩の中から桑原が出てくる。



桑原(ハァハァハァ…、
クソッ…)



修羅「もうボロボロだね」



フッ



修羅の姿が消える。



桑原「消えた!?」



桑原は必死に修羅の姿を探す。



桑原「わからねー。どこだ…、どこから現れやがる」


フッ



修羅「ここだよー!」



桑原の目の前に姿を現す修羅。



桑原「いつの間にここまで…!」



修羅「さっさと負けを認めていたら痛い目にあわなくてすんだのに」



バキッ!!



桑原の顔面を思いっきり殴りつける。



桑原「おわッ!?」



ズシャァァァァ



桑原の身体は地面に叩きつけられる。



桑原「うっ………」



この時桑原の身体は、修羅の圧倒的ともいえる攻撃力の前に戦闘不能に近い状態に陥っていた。



修羅「へへっ。今のはボクの本気のパンチだ。桑原がいくら頑丈だからって流石にこれをくらったからにはもう動けないよ」



修羅、勝利のVサイン。



桑原(クソッ……)



――メイン会場



「とうとう動かなくなっちまったぜ。もう立ち上がれないかもな。立ち上がったとしても、勝ち目はないぜ」



「ああ。でもあの人間、
あの修羅を相手によくやった方だぜ」



桑原の現在の状況から桑原の敗北を観客の誰もが思った。



――Aブロック



桑原「ま、負けねーぞ…」


グググ……



桑原、最後の力を振り絞って立ち上がろうとする。



だが、身体が動かない。



桑原(動け!動け!オレの身体ァァァァァ!!)



――メイン会場



倒れている桑原の姿がスクリーンに映し出されている。それを心配そうに雪菜は見つめていた。



雪菜「和真さん…」



そして雪菜は静かに目を閉じると桑原に念信を送り始めた。



――Aブロック



上空から審判が桑原の様子を見ている。



もはや桑原の敗北が告げられるのは時間の問題だ。



その時だった。



《和真さん、和真さん》



桑原(!)



《和真さん、和真さん》



桑原(この声は雪菜さん…)


雪菜《和真さん、もう充分です。お願いですから無理はされないでください》



桑原《雪菜さん、
すんません、無様な姿を見せちまってますね》



雪菜《和真さんそんな事ないです。和真さんは頑張っています》



桑原《へへっ。有難うっす。雪菜さんの声が聴けて良かった。おかげでちょっと力が湧いてきたっすよ》



雪菜《でも和真さん…、
その状態では…》



桑原《この試合、もう修羅には勝てないかもしれないっす。でも雪菜さん最後までオレの試合を見ていてくださいね。オレは…》



ここで桑原は強制的に雪菜との念信を切った。



――メイン会場



雪菜「か、和真さん…」



――Aブロック



桑原「ウォリャァァァァ!!!」



桑原、根性で立ち上がる。


修羅(!?)



桑原(雪菜さん…。相手が自分より強くて勝ち目がない戦いでも最後まで勝負を諦めるわけにはいかないんっすよ)



桑原は鋭い目で修羅を見つめる。



桑原(そう、オレがこれから先どんなに凄い奴らが現れても雪菜さんを守っていく為にも)



――メイン会場



小兎「あ〜〜っと桑原選手がなんと立ち上がりました!!これは驚きです」



――選手達の休憩所



幽助「桑原!!」



黄泉「あの状態で立ち上がるとは…」



――Aブロック



修羅「桑原…お前本当にタフだな」



ちょっと呆れ顔の修羅。



桑原「へっ!」



桑原は右手の拳に霊気ではなく力を込める。



もはや霊剣を作り出す力すら桑原には残されていなかった。



右の拳に力を込めるのが精一杯だった。



修羅「お前もう霊剣も出せないじゃないか。もうただの人間と一緒だよ」



桑原「へっ、霊剣が出せなくてもオレにはまだこの拳が残ってる。生意気なおめーの面を一発ぶん殴ってやる事ぐらいは出来るぜ」



桑原の言葉を聞いた修羅はニコリ。



修羅「へへーんだ。それは絶対に無理だよー。ボクが殴らせないもん」



桑原「見てろよ。人間の火事場のクソ力って奴を見せてやるぜ」



修羅「桑原、降参した方がいいよ。死んじゃってもボク知らないよ」



桑原「言ってろよクソガキ。行くぜ!!!!」



桑原は修羅に向かって駆け出した。



桑原「ウォォォォォォォ!!!!!」



修羅(ニッ)



桑原は必死に修羅にパンチを放った。



修羅はその場から一歩も動かずに桑原のパンチをかわし続ける。



修羅「とどめだよ桑原」



ドゴッ!!



桑原「うぐッ」



修羅のパンチが桑原の腹部に入る。



だが桑原は倒れない。



桑原はなおも修羅の顔面を狙ってパンチを放ち続ける。



修羅「まだ倒れない」



バキッ!!



桑原の顔面に修羅のパンチが炸裂。



桑原「まだだ!!オレはまだやれるぞ!!」



修羅(なんで倒れないんだこいつ…。信じられないよ……)



――メイン会場



「すげーよあいつ…。本当に人間か…」



「頑張れ桑原!!オレはお前を応援するぜ!」



「修羅をやつけちまえーー!!」



なんと観客達は妖怪である修羅ではなく人間である桑原を応援し始めた。



それはこれまで人間である桑原が武威、時雨という自分より格上の強豪選手を次々と敗り、さらに最強クラスの修羅を相手に善戦し、ボロボロになりながらも
なおも不屈の闘士で戦う桑原の姿に心を打たれたからであった。



雪菜「凄い…こんな事ってあるんですね」



――Aブロック



バゴォォ!!!



バキッ!!!



ズガッ!!!



桑原への修羅の攻撃は続く。



桑原「まだ、まだだぜ…修…羅…」



修羅「有り得ないよ。こんなタフな奴初めてだ。何であんな状態なのに倒れないんだよ…」



何度も攻撃を加えても倒れない桑原に修羅は恐怖を感じてきた。



修羅(桑原は妖怪じゃなくて人間なのに…)



ここで修羅に一瞬のスキが生じた。



桑原「ウォラァァァァァ!!!!!」



修羅(!)



バキッ!!!



修羅の顔面に桑原のパンチが入った。



修羅にダメージはないが呆然としていた。



桑原、ニヤリ。



桑原「へへっ、ざまあみやがれってんだ…」



ズルズルズル



ドサッ



桑原の身体は崩れ落ちるように地面に倒れた。



修羅「桑原……」



暫くすると審判が倒れた桑原の状態を確認し始めた。。



審判「桑原選手、失神しています。四回戦のAブロック・第一試合は修羅選手の勝利です!!」



審判が修羅の勝利を高らかに宣言した。



――メイン会場



「よく頑張ったぜ桑原ァァァァ!!」



「試合は負けたけど精神的な強さはお前の方が上だぜ!!」



敗れた桑原に観客達からの歓声が多く上がる。



――選手達の休憩所



幽助「桑原、よくやったぜ」



黄泉(フッ、修羅にとってあの人間との戦いは色々な面で大きな経験になっただろうな)



――Aブロック



修羅「チェッ、勝ったのボクなのに、なんか悪者になった気分だよ」



――メイン会場



雪菜「和真さん、あなたは本当に凄かったです」



雪菜は観客席を立ち上がり桑原が運び込まれる治療室に向かおうとしたその時だった。



「おおお!!!!スゲーーー!!」



観客達から大きな歓声が上がる。



雪菜は足を止めてスクリーンに目を移す。



そこには飛影と棗の試合が映し出されていた。



雪菜「飛影さん、棗さん…」



雪菜の目に映った光景、
それは飛影と棗の激しい妖気と妖気のぶつかり合いであった。



続く
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