幽☆遊☆白書〜2ND STAGE〜
□大会編０４
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――魔界統一トーナメントBブロックの四回戦･第一試合
棗(なつめ)
×
飛影(ひえい)
――メイン会場
雪菜「和真さん、あなたは本当に凄かったです」
雪菜は観客席を立ち上がり桑原が運び込まれる治療室に向かおうとしたその時だった。
「おおお！！！！スゲーーー！！」
観客達から大きな歓声が上がる。
雪菜は足を止めてスクリーンに目を移す。
そこには飛影と棗の試合が映し出されていた。
雪菜「飛影さん、棗さん…」
雪菜の目に映った光景、
それは飛影と棗の激しい妖気と妖気のぶつかり合いであった。
――Bブロック
飛影「ハァァァーーーーーー！」
棗「ヤァーーーー！！」
ズガーーーン！！！
二人の拳と拳がぶつかり合う。
ぶつかった衝撃で闘場が激しく揺れる。
ズガーーーーン！！！
ドガッ！！！
飛影「ぐっ！」
ズズズ…
棗のパワーにおされて後ずさる飛影。
飛影「ナメるな！」
ビューーーン！！
鋭いパンチを放つ飛影。
バキッ！！
棗の顔面にヒット。
二人は激しい肉弾戦を繰り広げていた。
二人の身体には無数の傷が出来ていた。それは戦いの激しさをものがっていた。
だが、この肉弾戦は現時点では誰の目から見ても棗の方が優勢だった。
飛影(この女、一体…)
飛影は困惑していた。
棗「倒す…」
そう棗の急激な変化に。
――メイン会場
小兎「あ〜〜っと！！Bブロックでは飛影選手と棗選手が激しい肉弾戦を繰り広げていますが、さっきまでとは打って変わって棗選手が優勢になっています」
「なんだあの棗って女…」
「さっきまでと動きが違うぜ」
「動きだけじゃない。顔つきも恐くなってるぜ」
「恐い顔ってお前がいうなよ！」
スクリーンに映し出される棗は目は虚ろで、まるで催眠状態にかかっているようであった。
雪菜「棗さん…一体何があったの…」
「フッ、面白い事になっているようだな」
雪菜(！)
雪菜の横から誰かが声をかけた。
雪菜「む、躯さん！」
雪菜の前に姿を現したのは先ほど、痩傑を倒して試合を終えて戻ってきた躯であった。
スクリーンに視線を移す躯。
躯「棗のあの妖気は鉄山戦の最後で見せたのと同じだ。桁違いに妖気が高くなっている」
――選手達の休憩所
双子の妹の変化に兄の九浄は呟く。
九浄「棗の力が目覚めた…」
――時は試合開始前に遡る。
――Bブロック
審判が上空から二人の様子を見つめる。
そして。
審判「始め！！」
審判の試合開始の合図の声が闘場に響き渡る。
棗「ようやく貴方と戦う時がきたわね。この試合、
雪菜ちゃんの為にも勝たせてもらうわよ」
飛影「オレは雪菜に兄と名乗るつもりはない。倒させてもらう」
棗「飛影、貴方は何でそんなに雪菜ちゃんに兄と名乗るのを拒むの？」
飛影「お前に話す理由がない」
棗「あっ、そう。まっ、別にいいけど」
棗は構えて戦闘態勢に入る。
棗「行くわよ飛影」
飛影(…………)
飛影は無言で剣に手をかけて構える。
棗(先ずは飛影がどう動いてくるのか確かめる必要があるわね)
ズキューーン！！！！
棗が飛影に向かって攻撃を仕掛けた。
飛影に接近する棗。
「ハッ！！」
ズン！！！
体重を前に掛けて踏み込む。
ビューーン！！！！
いきなり棗は必殺の一撃を放つ。
ガッ！！
飛影は素早く両腕をクロスさせて棗の一撃を受け止める。
ズズズ…
棗の一撃の威力に押されて後ずさる飛影。
飛影「なかなかの威力だ。だが！」
ビューーー！！！
飛影は瞬間的に鞘から剣を抜いて棗を斬りつける。
棗(！)
フッ
棗は咄嗟に身体を後ろに引いて飛影の剣をかわした。
バッ
バックジャンプで後ろに下がって飛影と距離を取る棗。
棗「やるわね。私の一撃を簡単に防ぐとは驚いた」
飛影は構える。
飛影「…行くぞ」
バッ
棗に向かって飛びかかる。
飛影「ハッ！！」
ビューーー！！！
棗を斬りつける。
フッ
飛影の攻撃を簡単によける。
飛影は棗を追いかけながら連続で棗を斬りつける。
しかし棗は飛影の攻撃をことごとくかわす。
飛影(この女、スピードは周より速い)
ビューーー！！！
棗の肩筋を狙って斬りつける。
棗(甘いわよ飛影)
パシッ
飛影(！)
飛影の剣を白羽取りで受け止める棗。
棗「ハァーーーー！！！！！！」
ブォォォォォォォ！！！
棗の妖気が急上昇。
ピシッ
飛影の剣にヒビが入る。
棗、ニコリ。
そして両手に妖気を込める。
パキーーン
飛影「チッ！」
棗(飛影の剣を破壊した。もらったわよ)
ズン！！！
体重を前に掛けて踏み込む。
ビューーーン！！！
飛影の剣を折ると直ぐに必殺の一撃を放った。
棗（完璧なタイミング)
棗の拳が飛影にヒット。
だが。
棗(！？)
棗は直ぐに異変に気付いた。
飛影の身体が透けて拳が通り抜けたのだ。
棗(これは…)
飛影「残像だ」
棗の背後から飛影の声が聞こえてくる。
棗(後ろを取られた)
ボォォォォォ！！！！
飛影の両手の拳に炎が燃え盛る。
飛影「邪王炎殺煉獄礁」
高速の連打。
ズドドドド！！！！
棗「やらせないよ！！」
棗は直ぐに飛影の煉獄礁に対応。
両腕をクロスさせて鉄壁の防御で攻撃を防いだ。
飛影「なるほど。流石だ」
煉獄礁を止めてバックジャンプで距離を取る飛影。
パサッ
棗(！)
飛影は見に纏っているマントを脱ぎ捨てた。
そして額に手をかけるとヘアバンドを外した。
――選手達の休憩所
周「へっ、でるぜ、邪眼が」
――Bブロック
パチッ
第三の目である飛影の邪眼が開く。
ブォォォォォ！！！！！！
飛影はこれまで抑えていた巨大な妖気を解き放った。
それと同時に飛影の右胸には大きな紋章が浮き出た。
禁呪法・魔封紋である。
飛影、ニヤリ。
「覚悟するんだな」
魔封紋を見た棗の目が険しくなる。
棗(いよいよ飛影の本領発揮ってとこね。黒龍波、悪いけど使わせないよ)
棗はここで一気に勝負に出るのであった。
続く