幽☆遊☆白書〜2ND STAGE〜

□大会編04
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――魔界統一トーナメントBブロックの四回戦・第一試合



棗(なつめ)
×
飛影(ひえい)



――Bブロック



飛影、ニヤリ。



「覚悟するんだな」



魔封紋を見た棗の目が険しくなる。



棗(いよいよ飛影の本領発揮ってとこね。黒龍波、悪いけど使わせないよ)



――選手達の休憩所



鉄山「九浄、お前はこの試合をどう見る?」



九浄「周と飛影の試合を見た限り、実力は飛影の方が恐らく棗より上だ。僅か三年の間にここまで強くなるとは大した奴だ。だが…」



鉄山「だが?」



九浄「実戦経験では圧倒的に棗の方が上だ。この喧嘩、どっちが勝つかまだ分からないぜ」



――Bブロック



棗(周を敗った邪王炎殺双龍波。あれは私でも防げない。あれを使われる前に飛影を倒してしまわないと)



飛影「第二ラウンドだ」



ブォォォォォォ!!!



飛影の身体からは攻撃的な妖気が放出されている。



棗、ニコリ。



棗「なるほど。肉弾戦を希望しているって事か」

(どうやら黒龍波を身体に取り込むみたいね)



シュルシュルシュル



飛影は右腕に巻いている包帯をほどいた。



棗は飛影が黒龍波を使おうとしているのに何故か動こうとはせずに黙って様子を見ている。



飛影「行くぞ」



バッ



飛影は右手を上に向かって高く挙げた。



飛影「ハッ!!」



ピカーー



飛影の右胸に現れた魔封紋が光る。



ドゥォォォォォォ!!!!


そして飛影は上空に向かって黒龍波を放つ。



上空に放たれた黒龍は術者である飛影に向かって来る。



そして。



カーー!!!!!



ズンン



飛影は体内に黒龍を取り込んだ。



黒龍を取り込み事によって攻撃力、防御力、妖力を爆発的に上昇させた。



棗(肉弾戦か。悪いけど貴方の要望には応えてあげないわよ)



棗は両手を素早く後ろに引く。



そして。



棗「ハッ!!」



ブォォォォォォ!!!



棗の身体からも巨大な妖気が放出された。



――メイン会場



小兎「あーーっとBブロックでは飛影選手と棗選手の妖気が一気に上昇しました!!!」



――Bブロック



棗(まだこれだけじゃあないわよ)



棗の妖気はどんどん大きくなっていく。



飛影(ピクッ)



大きくなる棗の妖気に反応を示す飛影。



ドーーーーーーン!!!



棗の放出した妖気で魔界の空に巨大な妖気の柱が現れた



――選手達の休憩所



九浄「棗の奴、全力だ」



鉄山「あいつ一気に勝負に出るつもりだ!」



――Bブロック



棗「ハァァァァーーー!!!!」



ドゴォォォォォ!!!



棗は地面を拳で叩く。



グラグラっと地面に大きな揺れが生じる。



飛影「チッ!」



予想外の攻撃だったのか、この揺れで一瞬、飛影の態勢が崩れる。



その瞬間に棗は両手の拳を強く握り締めて構えた。



そして気を練る。



カーーー!!!!!



両手の拳が虹色に光輝く。


棗「飛影、行くわよ」



ドォォォォォ!!!!!



棗の背中から妖気が噴出されていく。



噴出される妖気の形はまるで美しい虹色に輝く翼のような形をしていた。



そして。



ドーーーーーン!!!!!


妖気を噴出した勢いで棗は飛影に向かって行った。



棗「私の封神拳で勝負をつける」



――選手達の休憩所



鉄山「は、速い!」

(オレの作り出した結界の20倍の重力でも相当の速さだった。あの時とは比べものにならない速さだ。これが本当の棗の技の姿か!?)



九浄「チャンスだ。あのタイミングなら飛影は絶対にかわせない」



――Bブロック



一瞬で飛影に接近する棗。


棗「封神拳・壱式……」



飛影の胸部に虹色に光輝く両手で触れた。



棗「鷹襲波ァァァァ!!!!



棗は気合いの入った声が闘場に響き渡った。



ドォォォォォ!!!!!!


その声と同時に一気に両手から妖気が噴出された。



噴出された妖気は飛影の身体を吹き飛ばさずにその身体に流れ込んでいく。



そして飛影の身体に流れ込んだ妖気はその身体から虹色の光を放ち始めた。



飛影「ぐわァァァァァァァ!!!!」



声を上げて苦しむ飛影。



棗「飛影、私が貴方が黒龍波を取り込むのを何で黙って見ていたか分かる?私の鷹襲波の前にはどんなに高い防御力であっても無意味だからよ。貴方は黒龍波を取り込む事によって攻撃力と防御力を飛躍的に上げた。でも身体の内部の防御力までは上げる事は出来ない」



飛影「くっ……」



ドサッと飛影の身体は崩れ落ちるように地面に倒れたのだった。



棗は飛影が倒れたのを目で確認するとニコリと笑う。


棗「雪菜ちゃん、勝ったわよ」



――救護室



蔵馬「飛影…」

(飛影が倒れた。だが、オレには今の飛影があれで負けてしまうとは思えない)


コンコン



蔵馬のいる救護室のドアを誰かがノックしている。



「ここに蔵馬がいると聞いてきたんだが」



救護室の外から聞こえてきたのは男の声。



蔵馬(この声は……)



蔵馬にとっては聞き覚えのある声



蔵馬「はい、どうぞ」



「入るぞ、蔵馬」



ガチャッ



救護室のドアが開いた。



蔵馬は入ってきた男の顔を見る。



蔵馬「どうしてここに?」


「お前達に伝える事があってここまでやってきた」



蔵馬、ニコリ。



蔵馬「本当に貴方がここに来るなんて思いもしませんでしたよ、コエンマ」



そして蔵馬はチラッとコエンマの後ろの方に視線を移した。



コエンマの後ろには三人の特防隊のメンバー、そして女性が一人いた。



女性が救護室に入って来る。



女性の顔を見て直ぐに声をかける蔵馬。



「フフッ、久しぶりですね。ぼたん」



ぼたん「本当に久しぶりだね〜蔵馬」



霊界を旅立ったコエンマ達一向がついに目的地に到着したのだった。



続く
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