幽☆遊☆白書〜2ND STAGE〜

□大会編04
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――魔界統一トーナメントDブロックの三回戦・第一試合



蔵馬(くらま)
×
梟(ふくろう)



――Dブロック



蔵馬が自らの命を妖気に変えて吸血植物を召喚したのだった。



鴉「妖狐ではない人間の姿のお前の攻撃など、私には通用しない」



放たれる二つの爆弾。



蔵馬「ウォォォォォ!!!!!!!」



ドガァァァァァン!!!!!!



鴉の放った二つの爆弾が吸血植物に直撃した。



爆発で辺り一面が煙りに包まれる。



鴉「かっては私の命を奪った吸血植物。だが今は私の敵ではない」



今の爆撃で吸血植物を粉々にしたと確信した鴉。



それが鴉の油断を誘ったのだった。



ドスッ



鴉(!?)



吸血植物が鴉の心臓を貫いた。



鴉「何だと!?もう一体いたのか!!」



煙りの中から蔵馬が姿を現した。



蔵馬「最初の一体はお前にやられると分かっていた。爆発と同時にもう一体召喚した。俺を甘く見ていたな鴉」

(強い上に戸愚呂(兄)のように再生出来る身体を持つお前を倒すには心臓を貫くしか倒す手立てはないからな)



勝利を確信した蔵馬。
だが、鴉は蔵馬の想像を遥かに超えた男だった。



鴉「確かに油断したよ蔵馬。私の身体に戸愚呂(兄)の細胞がなければ今ので死んでいた」



蔵馬「何!?」



鴉「私が同じ失敗をすると思っていたのか?私は戸愚呂(兄)のように心臓の位置を自由に変えられるのだ」


鴉はそう言うと身体に刺さっている吸血植物の触手に触れた。



ボン!!!!!



吸血植物は断末魔の叫び声をあげる間もなく身体が爆発していく。



蔵馬(クソッ……)



粉々になっていく吸血植物を見ながら蔵馬は自分の意識がだんだん遠くなっていくのを感じた。



それは死を意味していた。



命を賭けた最後の攻撃も鴉には通用しなかった。



蔵馬の身体は崩れ落ちるようにその場に倒れた。



蔵馬(……これまでのようだな…)



審判(蔵馬選手が倒れた。戦闘不能と見て間違いないわね)



Dブロックの審判は蔵馬の状態から完全に勝負はついたと判断した。



鴉「エンドレス・ボムはもう必要ないな」



蔵馬を爆撃していたエンドレス・ボムが鴉によって解除された。



鴉「ほっておいても死ぬだろうが、敬意を評して最後は私の最強の技である肢体爆弾で粉々にしてやる」



鴉が妖気を高めようとしたその時だった。



審判「試合はそれまでです」



審判はここで試合を止めたのだった。



鴉「チッ、審判か」



審判「Dブロック三回戦の第一試合は鴉選手の…」



ドガァァァァン!!!!!!



審判「キャッ!!?」



鴉は上空のいる審判に向かって威嚇の為、爆弾を投げて爆発させた。



(ニヤリ)
鴉「蔵馬の最期という最高のフィナーレをこれから飾ろうというのにルールなんかに邪魔されてたまるか」



それは鴉の中に宿る戸愚呂(兄)の細胞のせいなのか?それは分からない。
激しく鴉の中で残虐性が高まっていたのだった。



――メイン会場



小兎「こ、これは一体どういう事でしょうか!!!梟選手が勝利を告げようとした審判に威嚇ともとれる攻撃!!試合を終わらせないという梟選手の意思表示なのでしょうか!?」



「おいおい、あの梟って野郎、蔵馬を殺すつもりだぜ」



「勝負はついたはずなのになんて残酷な野郎だ」



「蔵馬はキザでいけ好かねー野郎だからそのまま殺しちまえ梟!!」



観客の間では鴉の行為を非難するものと賞賛するものの二つに分かれた。



雪菜「く、蔵馬さんが殺されてしまう」



雪菜は席から立ち上がる。


雪菜(お願いします。誰か蔵馬さんを助けて下さい………)



雪菜はうずくまり、目をつぶって祈りを天に捧げた。



――選手達の休憩所



幽助「あの野郎!!許せねーぜ。もう我慢できねー!今から俺がぶちのめしてやる」



飛影「フッ、奴はミスを犯したな。俺達の逆鱗に触れた」



鴉に対して怒りが頂点に達した二人は蔵馬の救出に向かって動き出そうとしていた。



大切な仲間の為に。



幽助「よし、行くぜ」



「ちょっと待って!」



階段を上りかけた幽助達を背後から呼び止める声が聞こえてきた。



幽助・飛影(!?)



二人が振り向くとそこには修羅が立っていた。



幽助「修羅!何で止めるんだ?」



修羅「もうパパが蔵馬を助けに向かった。ここはパパに任せてよ」



幽助「黄泉が!?」



飛影「チッ、あの野郎に先を越されたか」



修羅(あの梟って奴はパパより実力が上だ。心配だけど僕はパパを信じる)



幽助はDブロックに繋がる階段を見つめる。



幽助(黄泉、蔵馬を頼んだぜ)



――Dブロック



バチバチバチ



肢体爆弾の準備は整った。


鴉「何度も言うが頭だけは綺麗に残してやる」



鴉は蔵馬に肢体爆弾でトドメを刺そうとしていた。



その時だった。



ゴォォォォォ!!!!



鴉(!!)



巨大な妖気の弾が鴉に飛んできた。



鴉「何者だ!!」



ドガァァァァァン!!!!!!



妖気の弾を追跡爆弾で一瞬で迎撃する鴉。



爆発で生じた煙りの中から鴉に対して凄まじい殺気を放った一人の妖怪がその姿を現す。



鴉「あいつは!!」




黄泉「そこまでだ。戦いは終わったのだ。それでもまだ蔵馬を攻撃するというなら容赦しない」



――メイン会場



スクリーンにDブロックの闘場に姿を現した黄泉の姿がアップで映し出されていた。



「お、おい!あれは黄泉じゃあねーのか!!」



「何であそこに黄泉がいるんだ?」



小兎「これは!?
皆さん!Dブロックで大変なハプニングが起きております。突如、闘場に黄泉選手が姿を現しました!!」


メイン会場は鴉の暴走、そして黄泉の登場というハプニングに騒然となっていた。



雪菜「あれは黄泉さん…!」
(神様に私の願いが通じた!!)



――Dブロック



ブォォォォォ!!!



黄泉は内に秘める巨大な妖気を一気に解き放った。



鴉「イチガキに教えられた情報だと奴は確か蔵馬と旧知の仲。大会のルールを無視してまで蔵馬を助けに来たといったところか」



鴉は蔵馬だけでなく黄泉にも攻撃的な妖気を放出。



黄泉「*#/>∠煤v&」



黄泉はここで桑原と雪菜を比羅の魔の手から逃がす為に使ったあの空間転移の術の詠唱を始めた。



直ぐに黒い円状のブラックホールのような玉が作り出される。



黄泉(あの男が蔵馬の近くにいる。近付いて蔵馬は助け出すのは容易ではない。だったらこれがベストだ)


――選手達の休憩所



飛影「何だあれは!?」



修羅「あれは空間転移の術。パパは蔵馬を別の場所へ飛ばす気だ」



幽助「するとあれが桑原達を魔界に飛ばしたっていう術か!!」



――Dブロック



鴉は本能的に身体が動いた。



蔵馬を奪われるような、
そんな予感がしたのだ。



鴉(邪魔はさせんぞ)



ガシッ



黄泉「何だ!?」



黄泉は足に捕まれたような何か違和感を感じる。



黄泉「こいつは!?」



鴉「地下爆弾」



地下爆弾「捕まえた!」



黄泉「チッ!!」



ドガァァァァァン!!!!!!



地下爆弾の爆発によって、黄泉が立っていた場所が大爆発。



鴉「この程度でお前を倒せるとは思っていない。
暫くは大人しくしていてもらおう」



ダン!!



鴉は肢体爆弾で蔵馬にトドメを刺す為に襲いかかる。



バッ!!



爆発の中から黄泉が飛び出してくる。



黄泉は魔古忌流煉破反障壁を張り巡らして地下爆弾の爆発からその身を守っていた。



鴉「クックック!!ハッハッハッハッハ!!!」



鴉の高笑いが闘場に響き渡る。



黄泉「クソッ!やられた」
(俺としたことが、
奴の戦闘パターンは把握していた筈なのに!)



黄泉の中で絶望感が漂う。


そして。



ドガァァァァァン!!!!!!!!



闘場内が肢体爆弾によって大爆発が起きた。



――メイン会場



雪菜「蔵馬さん!!!!」


――選手達の休憩所



幽助・飛影「蔵馬!!?」


――Dブロック



鴉の肢体爆弾が蔵馬に炸裂したと誰もが思ったその時だった。



サァァァァァァ!!!!



何処からか分からないが、突如、黒い煙りが出て来て闘場をあっという間に覆いつくした。



黄泉「これは一体!?」



突然の異変に黄泉も戸惑いを隠せなかった。



――メイン会場



「何だ!見えねーぞ!!」


「どうなってんだDブロックは!」



小兎「これは一体!?先程からハプニングの連続で私はもう一体何が起きているのか分からなくなりました」



――Dブロック



黄泉(!?)



何かを察知したのか、驚く黄泉。



黄泉「これは…蔵馬の妖気。蔵馬はまだ生きている!」



鴉の肢体爆弾でトドメを刺されたかに見えた蔵馬の妖気を黄泉は感じ取ったのだ。



鴉「クッ!!何者だ貴様は!」



蔵馬を抱き抱えた男が鴉の前に立っていた。



意識が朦朧として、目が見えない蔵馬は自分を抱きかかえている男の妖気を肌で強く感じ取る。



蔵馬(何だこの妖気は…。どこか懐かしい。そして心地よい)



ここで蔵馬の意識は途絶えた。



男は蔵馬に治癒の術をかけてゆっくりと地面に寝かす。



そして鴉に不敵な笑みを浮かべて答える。



「俺か?俺の名は仙道」



仙道が鴉に名前を名乗ると同時に黒い煙りは結界へと変化を遂げたのだった。



続く
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