幽☆遊☆白書〜2ND STAGE〜

□大会編04
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――魔界統一トーナメントDブロックの三回戦・第一試合



蔵馬(くらま)
×
梟(ふくろう)



――Dブロック



鴉の肢体爆弾から蔵馬の命を救ったのは黄泉ではなく謎の男・仙道であった。



仙道・鴉(………)



お互いの目を見る二人。



鴉(なんだこの男から感じる妖気は…)



仙道から感じる取れる妖気は霊界でいえばA級妖怪クラス。今の鴉から見れば雑魚とも言える力。



しかしA級クラス程度では肢体爆弾から蔵馬を救出する事は不可能。



鴉は蔵馬を救出した仙道に不気味さ感じていた。



黄泉(あいつは確か仙道。三回戦の俺の対戦相手だった筈。何故、あいつが蔵馬を助けたのだ……)



黄泉もまた仙道の乱入という予想外の出来事に驚きを隠せなかった。



鴉は闘場を見渡す。



闘場は広範囲に渡って結界が張り巡らされていた。



鴉「この結界は貴様の仕業か。一体何の為だ?」



仙道「この結界は外部に霊気や妖気といった気の類を漏らさない効果がある」



――選手達の休憩所



幽助「あの結界は一体なんなんだーー!。蔵馬は大丈夫なのかよ!?」



飛影「あれは黄泉が結界を張ったものか、それとも鴉が張ったものか。それは分かないが、恐らくあの結界は妖気や霊気を外部に漏らさない効果のある結界だ。何の為に張ったかはまだ分からんがな」



修羅はスクリーンに映る結界を神妙な顔で見ていた。


修羅(あの結界はパパじゃない。一体誰が……)



――会場を一望出来る崖の上



駁「なんか知らないが、
Dブロックが大変な事になっているな。黄泉が蔵馬を助けに乱入してきたかと思えば今度は結界か。中が全然見えやしねえ」



辣姫「蔵馬って男はどうなったのかしら。あの男はモロに私のタイプだから死んで欲しくないわね」



駁(ケッ、全く女ってやつは顔で男を選びやがる!)


烙鵬「蔵馬が死んでしまったら今はここにいない夢苦に恨まれてしまうな」



駁「そうだな。あいつは黎明を殺した蔵馬を相当恨んでいやがるからな」



比羅「黄泉か…」



比羅の脳裏に人間界での黄泉との戦いが頭を過ぎる。


比羅(私のフィールドを破壊した男、黄泉。奴とはいずれ雌雄を決する時が来る。そしてその時に勝つのはこの私だ)



――Dブロック



鴉「フッ」



鴉は両手で大量の追跡爆弾を作り出した。



鴉「貴様の化けの皮を剥いでやる」



そう言うと追跡爆弾を仙道に向かって放った。



仙道は向かってくる追跡爆弾に全く動じていない。



仙道「その技は俺には“もう通用しない”」



鴉(“もう”だと!?)



仙道「俺も見せてやるか」


スッ



仙道を右手の手の平に妖気を集中。



すると妖気で作られた
丸い鋼鉄のボールがその姿を現した。



仙道「ハッ!!」



ゴォォォォォォ!!!



仙道は向かってくる追跡爆弾にボールを投げつけた。


ドガァァァァァン!!!!!!!



仙道の放ったボールは独特の軌道で動き、
次々と追跡爆弾を破壊していく。



ゴォォォォォォ!!!!



追跡爆弾を破壊し尽くしたボールは鴉に迫る。



鴉「…仙道か。やはりタダモノではないな」



ドガァァァァァン!!!!!!!



仙道の作り出したボールを爆撃して粉々にする鴉。



仙道「流石に今の攻撃は通用しないか」



鴉「お前は隠しているようだが、その実力はそこにいる黄泉と同等クラスと見た」



黄泉(確かにあの男の言う通りだ。瞬間的に上がった仙道の妖気が俺と同等クラスだった)



仙道「さてな。お前に蔵馬の命をやるわけにはいかねえ。諦める事だ」



鴉「そうはいかない。せっかく蔵馬をこの手で殺せるチャンス、無駄には出来ない」



仙道「やるなら相手になるぜ」



黄泉が仙道の隣にやって来る。



黄泉「俺もいる事を忘れるな。蔵馬の命を貴様にくれてやるにはもったいないわ」



仙道(……黄泉)



黄泉は仙道の隣に来た事で、仙道からどこか懐かしい雰囲気を感じた



黄泉「仙道…お前は一体……」



仙道「フッ」



仙道は笑みを浮かべただけで何も黄泉には答えなかった。



そして。



仙道「ハァァ!!!」



仙道は突然、黄泉と気を失っている蔵馬に向かって衝撃波を放った。



黄泉(!!?)



突然不意をつかれた黄泉は仙道の衝撃波をまともに受けてしまう。



二人は結界の外に弾き飛ばされたのだった。



鴉「一体何の真似だ。蔵馬と黄泉を結界の外に弾き飛ばすとは」



仙道は不敵な笑みを鴉に見せる。



仙道「黄泉や蔵馬に俺の正体がばれるとまずいのでな」



鴉「なるほど。貴様の今の姿は仮の姿で本当の正体を隠しているといったところか」



仙道「まぁ、そういうことだ。流石に察しがいい。だが、これまでは分からなかっただろうな」



鴉(ぬっ!!?)



仙道は鴉に向けて背筋が凍る程の凄まじい殺気を向ける。



仙道「お前に対する殺気を抑えるのに苦労したぜ。俺がこの大会に参加した最大の目的は貴様を殺す為なのだからな」



鴉「何だと!?」



仙道「俺はお前を殺す事だけを考えて全てを捨てた。国も世界も」



鴉「そういえばお前はさっき、私の追跡爆弾を“もう通用しない”と言ったな。以前、私とお前は戦った事があるのか?」



仙道「ああ一度だけな。
その時はお前に敗れてしまったがな」



鴉「仙道、お前は一体…!?」



――丁度その頃、神夢界ではある国が騒然となっていた。



「いたか!!」



「いません。城の中にはいないようです!!」



「一体どうなっているのだ。王は何処に行ってしまわれたのだ」



「王の護衛を務めておられる雷蛾様もおられん」



「まずいぞ!比羅様ら12人の将軍様達もいないいま、他国に王がいないことが分かると攻め込まれてしまう」



「そうなれば我々は一体どうすれば…」



星の宝玉を狙った闇撫の樹とその仲間達に討たれた王と雷蛾。



樹は王の死を隠す為に変身能力を持つ雷蛾を“美食家”の能力を持つ戸愚呂(兄)に食べさせ、戸愚呂(兄)を身代わりに王を演じさせていた。



王の死を隠す…
それは神夢界を意のままに操る為だった。



だが、完璧と思われた樹の策はもろくも崩れようとしていた。



王に化けた戸愚呂(兄)の突然の失踪の為に。



それは何故か?



その答えはDブロックにある。



――Dブロック



仙道「俺のこの声に聞き覚えはないか?」



仙道の声が今まで話していた声と全く別の声に変化した。



その声を聞いた鴉の表情が一瞬で変わった。



鴉「お、お前はまさか……」



仙道「覚えていてくれて光栄だぜ梟」



ズズズ……



そう言うと仙道の姿が別の姿に変化していく。



その容姿は美しく、長い黒髪に黒い服。



透き通るような白い肌が黒をより引き立たす。



そして何より印象的なのは、被っている帽子には頭の天辺がないこと。



仙道の両手には彼の武器ともいうべき鎌が握られていた。



鴉は仙道のその姿を見て呟く。



鴉「生きていたのか黒鵺…」



続く
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