幽☆遊☆白書〜2ND STAGE〜

□大会編04
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――魔界統一トーナメントDブロックの三回戦・第一試合



蔵馬(くらま)
×
梟(ふくろう)



――Dブロック



黒鵺が語った自分が生きていた真相、そして戸愚呂(兄)の死。



鴉は真相を知って納得したようだった。



鴉「あの戸愚呂(兄)が死ぬとはな。殺しても死なないイメージがあるから驚きだ」



黒鵺「戸愚呂(兄)を始末した俺はその後、王を助けに向かった。だが、俺がついた時には既に王の姿はなかった」



鴉「フッ、私が王を始末したのだからな。いなくて当然だ」



鴉の言葉に黒鵺が鴉に放つ殺気がより強いものになっていく。



黒鵺「王がどうなってしまったのかを知る為に俺は戸愚呂(兄)の姿に変身してお前達の所に行き、そして王の死を知った」



鴉「フッ、しかし上手く化けていたものだ。誰もお前が戸愚呂(兄)になっているとは思わっていなかった」


黒鵺「暫くは戸愚呂(兄)としてお前達に従い、神夢界に残って王に化けていた。それもこれも全てはお前を討つ為だ」



鴉「ここで今からあの時の再戦と行くか?蔵馬から受けたダメージは残っているが、お前を倒す力は残っている」



黒鵺「ようやくこうしてお前と対峙したのだ。直ぐにでも殺してやりたい。
だが、今は場が悪い」

(そろそろ潮時だ。俺の乱入は黄泉以外には結界の為に気付かれていないだろうが、大きなハプニングがあったのだ。大会側が何か動いてきたら面倒になる…)



鴉が行った勝利宣言をしようとした審判への妨害、そして黄泉の乱入というハプニングがあった為、ここで鴉と戦えば、遅かれ早かれ大会側からなんらかの妨害がある事は間違いなかった。



そうなれば黒鵺の正体がバレる危険性が高まるのだ。


黒鵺は何か考えがあるのか、結界を張ってまで正体が外部に漏れる事を恐れていた。



魔界に来ている比羅達、そして同じく選手として参加している楽越にも黒鵺は接触して樹の野望、そして王の死を話していなかった。



鴉「どうした?怖じ気づいたか?」



黒鵺「場を改めるだけだ。お前は大会の四回戦できっちりと倒してやるよ梟」



鴉は少し考えるような素振りを見せた。



そして答える。



鴉「いいだろう」



黒鵺「俺は次は試合だ。直ぐにここに戻る事になるが、一時的に姿を消させてもらう」



ズズズ…



黒鵺は仙道の姿に変身した。



※仙道の姿の時は黒鵺は仙道の表記となります。



仙道「梟、王の事以外にお前を許さない理由が出来た。蔵馬を酷い目に合わせた事…。必ずお前は俺が倒す」



フッ



それだけを鴉に言い残すと仙道は姿を消したのだった。



それと同時に仙道が張った結界が消え去る。



鴉の姿だけが闘場に姿を現す。



――メイン会場



小兎「あ〜っと!黄泉選手と蔵馬選手が結界から飛び出て来たかと思えばほどなくして今度は梟選手です。しかも結界も消えてしまっています」



「一体あの煙から出来た結界は何だったんだ」



「さっぱり分かんねーな」


Dブロックの第一試合は観客の間で謎が多い試合として後々まで語り継がれることになる。



――Dブロック



黄泉(あの仙道がいない…。梟とかいう男だけだ。あいつは一体…)



黄泉の研ぎ澄まれた聴覚を持ってしても黒鵺の張った結界に遮られて二人の会話を聞き取る事は出来なかった。



蔵馬は黄泉の肩に担がれていた。



鴉はゆっくりと黄泉と蔵馬のところにやって来る。



黄泉(…………)



黄泉は近付いてくる鴉に警戒を強める。



だが、鴉はそのまま無言で黄泉と蔵馬の横を通り過ぎたのだった。



黄泉「待て!!」



立ち去ろうとする鴉を呼び止める。



黄泉「お前が何者かは知らないが、蔵馬をこんな状態にしたお前を俺は許さん。四回戦で倒してくれるわ」


鴉「いいだろう。だが、お前に私が倒せるとは思えないがな」



黄泉「何だと!」



鴉は黄泉の肩に担がれている蔵馬を見る。



鴉「今回は命拾いしたな蔵馬。運のいい奴だ。だが、お前は私の者だ。必ず私の手で殺してやるよ」



鴉はそれだけ言うと闘場を後にした。



蔵馬の無事と鴉の去った姿を見て再確認した審判は改めて宣言した。



「Dブロックの三回戦・第一試合は梟選手の勝利です」



試合は鴉の勝利が確定した。蔵馬、前大回に引き続いて三回戦で敗退。



――選手達の休憩所



意識を失っているだけでなく、危険な状態である蔵馬は黄泉に抱きかかえられながら休憩所に戻った。



「蔵馬ァァァァァ!!!!!!」



幽助と飛影、そして試合を終えて戻って来た桑原が二人に近付く。



桑原「蔵馬、ひでえ傷だ…。大丈夫かよ」



「どいてください!!」



数名の看護師が担架を持って現れる。そして蔵馬を担架に乗せると急いで救護室に連れて行く。



桑原「蔵馬、大丈夫かよ…」



幽助「蔵馬…」



担架で運ばれる蔵馬を心配そうに見送る幽助と桑原。


飛影「安心しろ。蔵馬はあれぐらいでくたばったりはしない」



幽助「…飛影」



Dブロックの三回戦の第二試合を開始するというアナウンスが会場から流れてくる。



黄泉「出番か」



幽助「黄泉」



黄泉「うん?」



幽助「蔵馬を助けてくれてサンキューな」



黄泉「ああ。蔵馬をこんな戦いで死なすわけにはいかないからな。それより修羅の姿が見えないがどうした?」



幽助「あいつはここにいる桑原と入れ替わりで今は試合だ。でも勝負はもうついたみてーだぜ」



スクリーンには修羅が対戦相手を下した姿が映し出されていた。



そして修羅の勝利を宣言するアナウンスが流れる。



黄泉(修羅は勝ったか)



黄泉は息子の勝利を聞くと満足そうに微笑む。



黄泉「さあ、行くか」



そう言うと黄泉は闘場に繋がる階段を上っていったのだった。



黄泉の姿が見えなくなると幽助は桑原に話しかける。


幽助「桑原、おめーの相手は決まったな。修羅だ」



桑原「あ、あいつかよ……」



少し顔が青ざめる。



桑原「あのガキが人間界で間近で戦うところを見たが、とんでもねーぞ。妖気は武威よりでかいし…」



人間界で比羅と戦う修羅の姿を目の前で見ていた桑原は、修羅の持つ巨大な妖気、そして強さを知っていた。



幽助は桑原の肩をポンと叩く。



幽助「何をビビってんだ。あいつを見た時のおめーは人間界にいた時だろ!今のおめーの強さはその時とは次元が違うんだぜ。思いっきりぶつかって行けよ桑原!」



桑原「浦飯…。おうよ!やってやるぜ」」



幽助の言葉に気を取り直した桑原は拳を強く握り締めたのだった。



――Dブロック



黄泉が闘場に到着すると既に仙道の姿になった黒鵺は到着していた。



黄泉は仙道の前に立つ。



黄泉(仙道か。あの時感じた妖気はかなりの実力者だ。かなり大変な戦いになるのは間違い。だが、奴が何者なのか化けの皮を剥いでやる)



仙道(黄泉…、まさかお前とこうして戦う時が来るとは夢にも思わなかったぜ)


審判が上空から二人を見守る。



二人の試合開始は近い。



黄泉・仙道(勝つのは俺だ!!)



――選手達の休憩所



鴉(いよいよ始まるか。クックック、どちらが勝ち残ろうと今の私の敵ではない)



黄泉と黒鵺。



鴉は蔵馬と深い関わりを持つこの二人の男から強い敵対心を持たれていた。



だが、実際にはその二人のうちどちらかしかこの鴉の待つ四回戦へと進む事が出来ない。



何故なら



その二人のうちどちらかはここで消える事になるのだから。



仙道(せんどう)
×
黄泉(よみ)



審判「始め!!」



続く
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