幽☆遊☆白書〜2ND STAGE〜

□大会編04
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――魔界統一トーナメントDブロックの三回戦・第ニ試合



仙道(せんどう)
×
黄泉(よみ)



――Dブロック



審判「始め!!」



審判の試合開始の合図が闘場に響き渡る。



黄泉(奴がタダモノではない事が分かっているのだ。だったら小細工は無用)



グッ



両手の拳を強く握り締める。



そして



黄泉「ハァァァァ!!!!!!!」



ブォォォォォ!!!!



仙道(ピクッ)



黄泉はいきなり戦闘モード全開で妖気を放出した。



ゴゴゴゴゴゴ……



黄泉の巨大な妖気によって、闘場が大きく揺れる。



――メイン会場



「おいおいマジかよ!黄泉の奴、いきなり全開モードだぜ」



「あの仙道って奴の力は、黄泉にとって赤子のようなもんだぜ。あいつ今回は
何でか知らねーが容赦しねえな」



一般的に見ても、
仙道から感じ取れる妖気はA級妖怪程度の力。



そんな相手に黄泉がいきなり本気に近い力を出してきたので殆どの観客達は驚いていた。



むしろ弱者に対して容赦しない者という悪い印象を与えてしまっていた。



だが、そんな観客達の黄泉に対する悪印象は直ぐに払拭される事となるのであった。



それは優勝候補の一人にもあげられている黄泉を相手に最強クラスの実力を仙道が発揮するからであった。



――Dブロック



仙道(梟との対峙で俺の力を黄泉はある程度把握しているからな。流石だよ黄泉。いきなりそうきたか)



仙道は不敵な笑みを浮かべる。



仙道にとって目の前にいる黄泉は旧友、そして最強クラスの相手。



仙道の胸の鼓動が高まる。


忘れかけていた自分の中に流れる
戦士としての熱い血が騒ぐのを感じた。



仙道(真っ向から勝負させてもらうぜ黄泉)



ブォォォォォ!!!!



仙道は瞬間的にしか出さない力を包み隠さずに一気に放出した。



――選手達の休憩所



試合を終えて休憩所に戻って来た修羅はスクリーンに映る父の戦いを見ていた。


修羅「えっ!?」



仙道の放出した予想外の巨大な妖気を感じ取った修羅の顔色が一気に変わる。



修羅「あ、あいつ…、パパと同じぐらいの妖気だ」



――メイン会場



小兎「こ、これは本当に驚きです。せ、仙道選手の妖気が信じられないほど
変化致しました!!私は解説の仕事を今まで沢山やって来ましたが、ここまで力が変化する妖怪は初めて見ました」



「ま、ま、マジかよ……!!?」



「………………」



仙道の放出した妖気、
それは黄泉に勝るとも劣らない程のものであった。



予想外の仙道の巨大な妖気は観客達に大きなインパクトを与えた。



そして観客達はこれから
さらに信じられないものを目撃する事になる。



そう、それは仙道の最初の攻撃から始まる。



――Dブロック



黄泉・仙道(…………)



どちらがまずは先手を
仕掛けるのか、お互いに
タイミングをっていた。



(ニッ)
仙道「行くぜ黄泉!!」



どうやら仙道から先手を仕掛けるつもりのようだ。



黄泉「来い」



こちらはそれを迎え撃つ準備を整える。



そして仙道が動き出す。



仙道(キッ)



ズキューーーン!!!!!!!!!!!!!!!!!!!



その動きはまさに神速ともいえる速度であった。



黄泉(速い!?)



一瞬で黄泉に接近。



黄泉「くっ!!!」



仙道「ハァァァァ!!!!!!!」



ビューーン!!!



左右両方の拳を連続で交互に繰り出す。



黄泉「チッ!」



スッ



最初の仙道のファーストアタックを黄泉は辛うじてかわす。



黄泉の顔色が一気に変わる。



仙道「今のをかわすとは流石だぜ」



黄泉「こいつの速さ、
あの孤光に匹敵するぞ…」



仙道、ニコリ。



――メイン会場



「何だ今の動きは…」



「全く見えねー」



メイン会場の方では早くも仙道のあまりの速さにどよめきが起きていた。



――選手達の休憩所



スクリーンに映し出されている試合の様子を鴉は見ている。



鴉(黒鵺め、変身能力を使っているとはいえ、
この短期間の間にあんな驚異的なスピードを身につけているとはな。驚かしてくれる)



だが、鴉は黒鵺の成長に対して焦った様子はなかった。



むしろより強くなった自分の命を狙ってくる挑戦者の成長に喜びに似た感情を抱いていた。



鴉「クックック、
黄泉に黒鵺、どちらが勝ち上がってきても楽しめそうだな」



――Dブロック



仙道の激しい攻撃は続く。


黒鵺の仙道としての姿は
黒鵺ではない姿でもそれに近い戦闘が出来るように、雷蛾の姿とは別に新たに黒鵺が創造したものだった。



そのスピードを重視した彼の新しい戦闘スタイルは全ては鴉打倒の為だったのだ。



黄泉「ぬっ!!」



その攻撃の速さは、
黄泉がほんの僅かな時間で張る事が可能な、物理的攻撃を全て防ぐ魔古忌流煉破防御壁を張る事も出来ないほどだった。



そして黄泉はいつの間にか、ひたすら防戦する一方となっていた。



仙道の拳は次々と黄泉の身体にヒットしている。



だが、決定的なダメージは黄泉に与える事は出来ていなかった。



黄泉は攻撃は受けているものの、急所への攻撃を仙道に入れさせていなかった。


その辺りは流石は百戦錬磨の黄泉といったところだろう。



黄泉(…………)




そして黄泉はただ防戦に甘んじているわけではなかった。



計算高く着実に反撃する機会を狙っていた。



ガシッ



仙道(!!)



タイミングを見計らったように仙道の右の拳を左手で受け止める。



ギュッと仙道の拳を握り締める。



黄泉「確かに速いが孤光に比べると攻撃のバリエーションが少ない。徐々に身体がなれてきた。まだまだだな」



ボォォォォォ!!!



黄泉の右手が炎に包まれる。



黄泉「そして捕まえたぞ。逃がさん」



仙道(これは!?)



黄泉「魔古忌流炎裂撃」



それは黄泉の最強の技であった。



ビューーン!!!



必殺の一撃炸裂。



だが




仙道「やらせるか!!!」


ビューーーン!!!!!!!!!!!!!!



仙道の攻撃はその神速によって、先に放った黄泉の炎裂撃より速く動いていた。


バキッ!!!



強烈なストレートが黄泉の顔面に入る。



強い衝撃を受けた為か、
黄泉の炎裂撃の軌道が僅かにずれた。



ガッ!!!



黄泉の拳は仙道の腹部をかすめただけだった。



仙道「痛っ!!?」



バッ!!



咄嗟にバックジャンプで黄泉と距離を取る。



黄泉「いい一撃だ。効いたぞ」



黄泉は口もとの血を手で拭う。



仙道(…………)



炎裂撃がかすった腹部を仙道は触る。



仙道、ニヤリ。



仙道「フッ、かすっただけでこの威力か…。まともに受けたら一発で終わっていたぜ」




黄泉と黒鵺、
壮絶な激戦となるこの二人の戦いは、
いきなり本気モードからのスタートとなった。



続く
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