幽☆遊☆白書〜2ND STAGE〜
□大会編04
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――魔界統一トーナメントDブロックの三回戦・第ニ試合
仙道(せんどう)
×
黄泉(よみ)
――Dブロック
黄泉「黒鵺!!俺はお前が奴らの仲間というならかっての友といえども容赦はしない。全力を持って倒してくれるわ!」
黒鵺(ニッ)
黒鵺も両手に持つ鎌を強く握り締めて戦闘態勢の構え。
黒鵺「黄泉、俺にもこの大会に参加した目的はある。全てを捨ててな。その目的の為に俺はお前を倒す」
お互いに目の前の相手がかっての友だという事を忘れて、勝負に集中する。
今の二人にとってはただ目の前の相手を倒すという事、それだけだった。
黄泉「しかしお前も愚かだな。倒さねばならない相手に自分の能力をわざわざ紹介するとは、余裕のあらわれか黒鵺?」
黒鵺「余裕か、確かにそうかもな。この姿になったからにはもはや変身能力はあまり必要ない。使わずともお前を倒せるだろうからな」
黄泉「何だと」
黒鵺「黄泉よ、
お前は両目を失ってそれだけの力を身につけているという事は、想像を絶するような地獄を見てきたのだろうな」
黄泉「何が言いたいんだ黒鵺?」
黒鵺「恐らく、お前の見てきた地獄と俺の見てきた地獄では格が違う。それは戦いにもあらわれてくるだろう」
黄泉「そうだと言うなら…」
ズキューーーン!!
黄泉「それを証明してみるがいい黒鵺!!」
黒鵺「証明してやるぜ。
勝負だ!黄泉!!」
ズキューーン!!!
黒鵺も真っ向から黄泉を迎え撃つ為に飛び出した。
黄泉「遅い。俺の呪術の効果が効いているようだな」
黄泉は身体を回転させて鋭い回し蹴りを放つ。
黄泉「トァァァ!!!!!!!」
黒鵺(……………)
フッ
黒鵺の身体が消える。
黄泉「上か!!」
(なるほど、俺が思っていたより動けるようだな)
黄泉が空を見上げると黒鵺がその姿を現す。
黒鵺「正解だ!」
ビューーーー!!!
鎌を振り下ろして黄泉を攻撃。
ガッ
黒鵺の攻撃は黄泉の防御壁によって防がれる。
黒鵺「チッ、全く堅い壁だぜ!!」
黄泉「今のお前のスピードでは俺が防御壁を張るより先に攻撃をあてる事など出来はしない」
黄泉から少し離れた場所に着地する黒鵺。
黄泉は防御壁を張ると同時に右手には妖気弾を作り出していた。
黄泉「吹き飛ばしてくれるわ!!」
ドーーーーン!!!!
着地したばかりの黒鵺に向かって巨大な妖気弾を放つ。
黒鵺「甘いぜ黄泉!!」
両手に持つ鎌を胸で交差させて構える。
シュパン!!
仙道の姿の時には苦戦した妖気弾を黒鵺はなんと鎌で真っ二つに切り裂いた。
黄泉「何だと!!」
切り裂かれた妖気弾は消え去った。
黒鵺「スピードはお前の呪術で奪われはしたが、今の俺の攻撃力は仙道の時より数倍は上なんだぜ」
黄泉「そうか、ならばこれならどうする?」
スッ
黒鵺(!?)
ドーーーーン!!!!
ドーーーーン!!!!
ドーーーーン!!!!
三発の妖気弾を連射で放つ。
黒鵺(野郎!連射できやがったか!)
黄泉「いかにお前といえども全部の妖気弾を切り裂く事は出来ん」
黒鵺「確かに。フッ、だが甘いぜ黄泉!!」
バッ!
黒鵺は両手両足を横に伸ばした。
黄泉(何をするつもりだ)
黒鵺「封霞円舞陣」
漆黒のバリアが黒鵺の全身を包み込む。
シュゥゥゥゥゥ………
黄泉の放った三発の妖気弾は黒鵺のバリアに打ち消された。
黄泉「ぬっ!!」
黒鵺(黒鵺の姿でしか使えない俺の秘密兵器。梟と戦う為に身につけたんだが、まさか梟以外の相手にこれを使う事になるとはな)
黄泉(あれは俺の反障壁と同一タイプと見える。妖気を使った遠隔攻撃は黒鵺には通用しないということか)
ボォォォォォ!!!
黄泉の右手に炎が燃える。
ズキューーン!!!
バリアを張った状態でまだ態勢を整えていない黒鵺に攻撃を仕掛ける。
黄泉「お前が防御系の技が使える事とは驚いたが、流石に俺のような防御壁はあるまい」
黒鵺(黄泉め、次から次へと仕掛けてくるな。あれだけはくらうとまずいぜ)
黄泉「魔古忌流炎裂撃」
ビューーーン!!!!
黄泉の最強の必殺の一撃。
黒鵺「くらってたまるかよ!!」
黒鵺は鎌を咄嗟に交差させる。
黄泉「無駄だ!俺の炎裂撃はこの程度では防げん!」
黒鵺「ハァァァァァ!!!!!!!」
黒鵺は両腕に妖気ではなく魔光気を集中。
そして
黄泉「もらったァァァァ!!!!」
ズガァァァァァン!!!!!!
――選手達の休憩所
修羅「あの結界の中で一体何が起きているんだ…。
パパは大丈夫かな」
黒鵺の張った結界は外部には気の類いを一切もらさない為、気の動きから戦いの様子を探る事が誰も出来ずにいた。
鴉(結界を張ったという事は恐らく黒鵺の姿に戻っている。あの姿では黄泉にはかなわないと判断したのだろう)
鴉はスクリーンに映し出されている結界を見る。
鴉(王を殺した私への復讐というだけなら桑原を手に入れる為に魔界に来ている仲間と接触すればいいものを。黒鵺は何故か正体がばれるのを恐れている)
鴉が黒鵺について考えていた、その時だった。
《梟!!》
《梟!!》
鴉の脳に念信で何者かが呼びかける
鴉はその声の主が誰か直ぐに分かった。
鴉《一体何の用だ。私はもうお前達に従うつもりはないのだぞ》
鴉は目を閉じると不敵な笑みを浮かべて念信を送ってきた者の名を呼ぶ。
鴉《闇撫の樹よ》
鴉としての記憶を戻り、
それまで主であった
イチガキに対して反意を見せた鴉。その鴉に念信を送ってきた人物、それは闇撫の樹であった。
樹《フッ、梟よ
お前に話しがある》
この樹による鴉への接触は後に“ある男達”を窮地に追い込む事になるのである。
続く