幽☆遊☆白書〜2ND STAGE〜

□大会編05
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――魔界統一トーナメントCブロックの四回戦・第一試合



酎(ちゅう)
×
楽越(らくえつ)



――Cブロック



楽越「見せてやるぜ、
最強の戦士の力をな」



バチバチバチ



楽越の身体から、
凄まじいまでのエナジーが放出されだした。



酎(…こいつ、マジで強いぜ…。どうやら、
とんでもねー戦いになりそうだ」



楽越「まずは、予選でも
披露した、オレの第一の
能力を見せてやるぜ」



両手を同時に後ろに引く。



楽越「ウォォォォォォ!!!!!!!」



グググ



ピキピキピキ



ボンッ!!



細かった楽越の身体が、
たちまち分厚い筋肉質の
身体に変化した。



酎(!?)



――メイン会場



小兎「あーーーーっと、
あんなに細くて華奢な、
楽越選手の身体が筋肉質の身体に変化!!これは
驚きです」



鈴駒「あの身体、まるで
戸愚呂(弟)のようだ」



――Cブロック



酎(こいつは驚いたぜ)



楽越「何を驚いている。
筋肉操作は、そんなに珍しい技でもないだろう?」



酎「お前さんのその容姿と体型からしたら、予想外の技だったんでな、驚いちまっただけだ」

(まあ、それだけでもないけどよー)



楽越、ニヤリ。



「それはよく言われるぜ。まあ、顔は生まれつきなんでな。オレにはどうしょうも出来ないぜ。オレからしたら、むさ苦しいお前の顔の方が羨ましいぜ」



酎「ほっとけー!!
誰がむさ苦しい顔だ」



バチバチバチ



楽越の身体からは、とてつもない、エナジーが未だに放出され続けている。




楽越「準備完了だ。予選で披露したのは20%ぐらいだったが、お前は60%で相手をしてやるぜ」



酎「へっ、100%じゃなくていいのかよ」



楽越「多分、60%の力でお前を倒せるはずだ」



酎「そうかい。ナメられたもんだ。だったら倒してみなよ」



ズキューーン!!



酎が楽越に攻撃を仕掛ける。



一気に楽越に接近。



酎「お前さんの力が、
その能力でどれだけ
変わったのか、見せて
もらうぜ」




激しいラッシュを仕掛ける。



楽越は、迫りくる酎の攻撃を、全く防御をせずに、
ただ見ているだけであった。



酎(こいつ、何で防御を
しねーんだ……)



ズガガガガガ!!!!



酎の攻撃が、楽越の身体にヒット。



酎「何だとーー!?」



驚く酎。



何故なら、酎の攻撃が、
分厚い筋肉によって全て
弾かれたからだ。



楽越、ニヤリ。



「今の攻撃ではっきりしたぜ。やっぱてめーは、
60%で十分だ」



酎(!)



楽越の言葉にカチンとくる。



「ナメるなー!」



楽越「ナメていない。オレが能力を使わなければ、
肉弾戦はほぼ互角だったが、能力を使えば、ここまで歴然とした力の差があらわれるとはな。お前の力を
期待し過ぎて、
少々拍子抜けしたぜ」



ガシッ



パンチを繰り出してきた、酎の右手の拳を掴む楽越。



酎「ぬぬぬ……!」



楽越「フッ」



グシャッ



酎(!!!!)



楽越が力を込めると、
酎の右腕の拳が簡単に
砕かれたのだった。



酎「ぐわァァァァ!!」



拳をおさえてうずくまる。


――メイン会場



流石「キャッ」



思わず顔を背ける流石。



「酎ちゃんの拳が完全に
砕かれた…。あの人、強い。酎ちゃんが負けちゃうよ…」



スクリーンに映し出されている酎を、
不安げに見つめる流石とは対照的に、鈴駒は顔色ひとつ変えていない。



鈴駒の様子に気付く流石。



流石「鈴駒ちゃんは、
何で平気そうな顔をしているの?友達の酎ちゃんのピンチだよ」



鈴駒「大丈夫だよ、
流石ちゃん。
酎はあれぐらいでは
負けない。酎の本当の
恐ろしさを味わうのは
あいつの方だ」



流石「えっ!?」



――Cブロック



うずくまった態勢から、
楽越を見上げる、酎。



楽越「今のでお前も分かったただろ?オレには勝てないって事をな」



酎「ハッハッハッハ」



急に大声で笑い出す酎。



楽越「フッ、急に笑い出すとは…。オレの強さに
驚いて気でも触れたか?」



酎「オレは正気だ。
お前さん…、
勝った気でいるのは、
ちょっと気が早いんじゃねーのかい」



楽越「そうでもないさ。
お前がまだ力を
抑えているのは分かるが、前の試合を見た限り、
抑えている分の力を加えたとしても、お前は今の状態のオレには到底及ばないぜ」



酎「そうかい、そうかい。だったら、見せてやるぜ。今の全力のオレの力をな」



ブォォォォォォォ!!!



酎「ハァァァァァァ!!!!!!!」



酎の妖気が急上昇。



楽越(!!)



――選手達の休憩所



九浄「あいつ!」



棗と飛影の試合をずっと見ていた九浄が、酎の妖気に驚いて、酎と楽越の試合の方に思わず目を向けた。



九浄「こいつはびっくりだ。あの野郎、オレと喧嘩(試合)をした時よりも、
おそらく数倍は妖気が出かくなっていやがる」



――Cブロック



楽越「何だと!?」



酎の妖気の急上昇に驚く楽越。



酎「これが、今のオレの全力だ。前の試合だけで
オレを判断すると痛い目を見る事になるぜ」



フッ



酎の姿が楽越の視界から消える。



楽越(速い……!)



ドゴォォォォォォ!!



酎の左の拳が楽越の腹部にめり込む。



楽越「ガッ…」



ドガッ!!



一瞬、ぐらついた楽越の
後頭部をたたく。



そしてさらに酎の攻撃は続く。楽越は酎の攻撃を防ぐ事は出来ずに、
一方的に殴られ続ける。



酎「ウラァァァァァ!!!!!」



――メイン会場



小兎「あーーーっと!!
これは凄い!!!酎選手のラッシュ。楽越選手、なすすべもなく、撃たれまくりです」



流石「酎ちゃん、
スゴーーーい!!!」



鈴駒、ニコリ。



「だから言ったろ、流石ちゃん。酎の恐ろしさを味わうのはあいつだって」



――Cブロック



形勢は逆転した。



だが。



酎(おかしい…。これだけ、攻撃をしているのに、
こいつを倒せる感じがしないのは何でなんだ…)



その時、楽越の目と酎の目が合う。



酎(ゾクッ)



バッ



酎は急に攻撃の手を止めて、楽越から離れた。



――メイン会場



鈴駒「酎、何で離れちまうんだ??そのまま倒してしまえば良かったのに」



――Cブロック



酎の額から冷や汗が滴り落ちる。



酎(何だ、今の感覚は…。とんでもねー、殺気だったぜ…。離れねーと殺されてしまう。そんな感覚だ…)


酎の攻撃が止まると、
楽越はゆっくりと立ち上がる。



あれだけの攻撃を受けたのにもかかわらず、まだまだ余裕な顔をしている楽越。



楽越「オレはどうやら、
お前を相当甘く見ていたようだ」



酎(あれだけ、パンチを撃ち込んだのに、こいつ、
とんでもねータフさだ)



楽越「第一の能力を使って、全力で戦える相手は久しぶりだ」



楽越は目を閉じる。



そして、小声で呟く。



楽越「100%」



酎(!!)



ゴゴゴゴゴゴ



闘場が激しく揺れる。



楽越、ニヤリ。



「酎、いい試合が出来るといいな。オレを失望させるなよ」



そして楽越は姿を変えたのだった。



続く
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