短編集

□陽だまりを求めた君の手をひいたのはだあれ?
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 掛け違えたボタンだけ外したって、きっと俺たちはなんにも変わらないだろう。

 どうして俺は生まれてきたんだろう?なんの為に生きているんだろう?

 その意味すら見出だせずにいる俺は、答えを求めるかのように、ただただ陽だまりを求めて手を伸ばした。
 例えばそれは、ずっとここで“ここにいるよ”とただ叫んで、この手をそっと優しく取ってくれる誰かがいるかのようで。
 だけど、そんな都合の良い夢だけを見て、何もしないほど馬鹿じゃない。いつだって存在理由を探してる。いつだって居場所を求めてる。やっと見つけたそれを、奪われないように守るのに必死なんだ。

 俺が今まで無くした物と、これからお前が見るもの全て取り替えたならば、俺は変われるのかな。変われるかな。


「なあ、アッシュ」


 今までお前が泣いたこと、笑ったこと、怒ったこと……全部お前の言葉で話してくれよ。そしたら、真っ黒な心の闇を拭い去れるような気がするんだ。いつかの俺を捨てられる気がするんだ。


 鳥籠の中で夢だけ見ていても、世界なんてもんはきっと見えなくて、信じる心なんて知るよしもない。そうだろう?
 でも、自分を認めて欲しくて、わかって欲しくて、知ってほしくて、必要とされたいなんて思う。人間の汚さなんて見抜けない。酷く残酷で優しい嘘にしがみついて溺れる。
 だけど、ずっとここで涙を流して自分を責める程弱くはない。

 今までお前が聞いた、そうだ、彼女がよく歌ってた思い出のあの歌なんかを、朝まで歌えたなら、全てを受け入れて許せるのかな。許せるかな。


「なあ、ルーク」


 今から俺は歌うから、かじかんだ心を溶かしてくれよ。そしたら、きっと真っ黒な震える夜はもうない。俺たちの夜は汚れたら、誰の事も信じられない。

 今まで俺が泣いたこと、笑ったこと、怒ったこと……全部ぜんぶ話すから聞いてほしい。真っ黒な心の闇を、白に染めてさ。
 いつかは死ぬと決まっていても、いつかは消えるとわかっていても、俺はお前のこと忘れない。忘れられない。


        
   


 
     

(傷ついたガラス玉だって、)
(ひび割れそうなそれだって、)
(陽だまりの下ではみんな光るんだ)
(ひとつとして同じ輝きはない)


赤毛が三人いたら萌えると思って出来た妄想の産物。レプリカだけど、“自分”をしっかり持ってる子です。
初の男夢主……!


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