短編集

□ラブアトミック*トランスファー
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 ねえ!ちょっと、あんた!そっ、あんたよ、あ・ん・た!
 あー!今絶対目ぇ合ったのに、思いっ切り逸らしたっしょ!?
 はあ……そこのね、お世辞にも素敵とは言い難い仮面被った、いかにも怪し〜雰囲気漂うあんたに言ってんのよ!だっから、あんただってばー!
 「黒装束か!」ってツッコミたいけど、袖はフリフリレースだし……しかもピンクってどうなのよ。そんなファンシーな要素いるかしら?
 ……いやいやいや!ここまでピッタリ該当しておいて、あんた以外に誰がいるわけ?!ちょ、ねえってば!
 あたしの声が聞こえてるんなら、ちゃーんとこっちを見て返事くらいしてくれてもいいんじゃない?「ふん、」って……何、それでまさか返事したつもりとか言うんじゃないでしょうね!まーったく……
 ね、ちょっと聞いてもいい……って聞くと断られそうだから、やっぱりそのまま質問することにするわ!
 あっ、ほらそれ!あんたって、すぐにぷいっと顔を背けるけど、それってもしかしてあたしの事嫌いだから?ちょっと、なんとか言いなさいよ!何よそれ、無言という名の肯定!?
 あんたっていつもそうよね。んー……本当の自分、ってやつ?あたしの前だと見せてくれないじゃない。なんか、つまんないわ。
 だって、「欲しい?」って聞けば「いらない」って言うしー、「教えて?」って聞けば「知らない」って言うでしょ?ほら、それ!そんなこと“ある”でしょ。
 まあそれでも、ずっと一緒にいたら少しぐらい理解できるんじゃない?……って思うけどね、あたしは。少なくとも、あたしはあんたのこと嫌いじゃないし。
 ん?何よ、その顔。言っとくけど、嘘じゃないからね。あら、当然でしょ。嘘なんか吐いたってしょうがないじゃない。それでなんかあたしに得することがあるわけ?あ、じゃあこの前発明した嘘発券機、試してみる?ふっふーん、大天才のハロ姉さんと協同開発したのよ?そりゃもう完璧な数値を叩き出してくれるわ!ちょうど誰か実験体になって欲しかったのよねー!まさかあんたが自ら名乗り出てくれるなんて!……え、何よ嫌なの?ケチんぼー!
 まあ、あんたにでもわかるように言ってあげると、素直なあんたが見てみたいってこと。あら、照れた?
 ……そうね、時間が掛かっても別にいいわ。このあたしの貴重な研究時間を、惜しみ無く差し出してあげてもいいくらい、すっごく興味があるのよ!楽しみだわ!
 はあ……わっかんないわねぇ。あたしの新しい研究テーマにしてあげるって言ってるのよ。
 じゃあ、例えば、よ?全ての原子が引き合うように、あたしの心もあんたに近づく、ってのはどう?どこにいても、いつの間にかすぐそばに移動してるわけ。面白いでしょ?確かにあたしにしては非科学的なこと言ったわね。だけど、そうゆうの嫌いじゃないわ。
 じゃあここで問題でーす!あたしとあんたの間に働く不思議な力があるとします。それに名前をつけるなら、なんて言うでしょー?
 まーた、そんな顔するんだから……ま、最初からあんたが素直に答えてくれるとは思ってないわ。んー、なんでもかんでも言葉で表しちゃう、ってのもつまんなそうね。でも、あえて言うならそれは……
 なあーんてねっ、やっぱ言うのやーめた。あんたが聞いてくるまで教えてあげな……あー、ちょっと!ねぇ、もうちょっと興味持ってくれたっていいんじゃない?だぁかぁらぁっ、聞いてくれたら、それなりにちゃんと教えてあげるわよ。例えそれが、あたしにとって辛くて苦しくて泣きそうでも、なんなのかあたしの口から教えてあげる。
 もし、どうしたら良いかわかんなかったら、そんなのなんもかも壊して捨てちゃえばいいのよ。え?無茶苦茶?何よそれ、今更じゃない?それであたしとあんたが向き合えるっていうなら、あたしはそれでも構わないわ。
 なーんか不思議よね。あたしにとっては、“好きか嫌いか”、“面白いか面白くないか”。全ての判断基準は、ただそれだけって思ってたはずなのに。……気になって仕方ないのよね、あんた。




(例えば、それは全ての原子が引き合うように)

(あたしにとっては、“好きか嫌いか”、“面白いか面白くないか”)
(やっぱり、ただそれだけで十分だけど、ひとつだけ例外があったみたいね)
(あら?ジューダス、これあんたのことよ)


ラブアトミック・トランスファーのピアノが神様すぎる件。
ハロルドの妹設定。
口調同じにしたら、ジュハロ(ハロジュ?)に見えて仕方ない罠。


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