特別じゃなくていい。ただ“普通“でよかった。ただ“普通“でいたかった。 賑やかなお喋りに、楽しいショッピング。友達と遊んだり、喧嘩をしたり。本でしか読んだことがない、私の知らない外の世界。 そんなキラキラしたものがいつも頭から離れなかった。 この狭い鳥籠から抜け出して、時間を忘れて自由に飛び回れたら。憧れた。夢だった。希望でいっぱいだった。 こんなにも近くに青空が広がっているのに、飛び立てない。翼はあるのに、羽ばたけずにいた。 そんな昔話はいつの日か私の中で薄れていく。 「ユーリ、」 「ん、どうした?」 笑顔、優しさ、温かさ。そんな嘘みたいに素敵なもの。 「ありがとう」 そんなものに確かに私は救われた。 「おいおい、なんだよ急に」 「お礼が言いたい気分だったの。だから言ったまでよ?」 世界は広いことも、こんなにも美しいことも、 お買い物も、楽しいお喋りも、お料理も、 仲間も、沢山の人との出会いも、 冒険も、戦いも、 嬉しさも、悲しさも、寂しさも、沢山の感情も、 いろいろな外の世界を、いろいろな初めてを、あなたは教えてくれたから。 きらきら (世界中の何よりも一番あなたが輝いて見える) (この気持ちを何と呼ぶのか、私はまだ知らない) ユーリに救われたもう一人のお姫様。 |