ああ、彼はもう決めてしまったんだ。 礼拝堂へ居並ぶ世界の覇者たち。彼らを前にしても、ルークの心が揺らぐことはなかった。 「決心は変わらぬのか?」 「……はい」 インゴベルト王の問いに、肯定の意味を持つ言葉を聞きたくなかった。 やめて、やめてよ。 「生き残る可能性はあるんだろう?」 ピオニー陛下の言葉に、首を横に振る彼を見たくなかった。 ねえ、生きて。どうか生きていてよ。 耳を塞いでしまいたかった。目を背けてしまいたかった。 誰の声も届かない場所に、誰の目にもとまらない場所に行きたかった。 逃れたい。消えてしまいたい。こんな現実から、こんなにもリアルな世界から。 レムの塔へ向かう彼を――死への道を歩み始めてしまった彼を止めることもできずに、ただただ見ているしかできないなんて。 まだほんの七歳の子供だというのに。なのに、いつの間に君はそんなに物分かりのいい大人になってしまったの。 死へ恐怖を感じない人なんているはずない。こんなにも重くて大きなものを背負わなければならないなんて。あまりにも残酷すぎる。 行かないで、 消えないで、 死なないで、 ねえ、願うことさえも許されない世界なのかな。 世界の未来か、己の明日か。 私には計り知れないその二つの重さに天秤は、今傾いてしまった。 「さようなら。」選ぶしかない。そんな残酷なゲームなんて、いらないのに。 「さよなら。」ゲーム (リセットはできなかった) (君が消えて、世界が救われてもゲームオーバー) 拝礼堂云々とレムの塔は、涙で画面が見えません。 |