声に出して言える内容ではないのだが、朝は決して得意な方ではない。 だがそれは、ある日突然のこと。やかましく時間を知らせるそれが、鳴り響く前に目を覚ました。 カーテンを開け放つと、空には青い絵の具を零したような憎らしい程に広がる青空と、さんさんと輝きを放つ眩しい太陽。今日は快晴だ。 僕が目覚めたのは、窓辺から差し込む朝日の眩しさでもなければ、カーテンを静かに揺らすそよ風でもない。窓辺から顔を覗かせる小鳥の囀りでもなければ、眠りを妨げる音でも声でもなかった。かと言って悪夢に魘れた訳でもない。 理由があるとすれば、それはきっと、この胸の内にある感情の所為だろう。らしくもない。こんなくだらない感情に酷く頭を抱えるなんて。時折、この胸を締め付けては悩ませている。 哀しいくらいに、君は年上の女性だった。 どんなに見つめてもまだ届かないんだ。背の高さと、その心まで僕という人間は。優しく柔らかく、そして眩しい程に輝くその笑顔は、見上げるだけの太陽のようで、さながら高嶺の花だ。 だからこそ望んだ。君と対等でありたいと。 君と対等になれたのなら、この思いを打ち明けたいんだ。 いつまでも、自分に足りないものばかりが目に映る。だけど、弱気に負けていたら僕の欲しいものは掴めないだろう。 近くにいるだけで、こんなにも心臓がうるさい。だけど、裏腹に態度は素っ気なくなるばかりだ。それでも、君は本当の僕を見ていてくれると、僕はどこか無意識に甘えていたんだろう。 僕を僕として見て貰えるように、認めて貰えるように、誓いを立てて生きていく。 全ては、君と対等になる為に。 花 風 微 薄 (待っていてくれ) (必ずこの僕が、君を振り向かせるその時まで) 桃色マントの少年の、桃色の片思い。 |