目覚めた時、僕はひとりだった。 黒く塗り潰された部屋。言うなれば闇。何も見えず、何も聞こえず、ああ。ひとり僕は闇と無に震えた。 闇の中、天を仰げば奈落が口を開けたような大きな穴。よく見ればそこには巨大な撥条。それが何を意味するのか知る由もない。 その先から突如響く、得体の知れぬ不気味な声。その声は、僕にこう語りかける。 「罪深き少年よ、お前はこの先永遠にこの部屋からは出られぬ」 重く伸し掛かる声。――瞬間、思い出した全ての記憶。 思い出したんだ。 自らが重ねた罪の数々を、ここにいる理由と結末を、 わかったんだ。 もうあの頃には戻れないのだと、終末の時計は狂うことなく進んだのだと。 動けない。 気付けば、両腕に嵌められた赤い手錠。ああ、それはきっと誰かの流した血の色。 両の足首には、青い色の鎖。ああ、それはきっと誰かの涙の色。 僕を縛る赤と青。それは、『この先永遠に』――? 幻聴だろうか。だが、無の中出会えたそれは確かに僕の鼓膜を震わせた。 るりら、るりら、 瞳を閉じれば、頬に伝ったのは冷たくて温かい何か。 ああ、この歌は誰が歌っているのだろうか。誰の子守唄だろうか。 どれほどの時が流れただろう。僕は尋ねた。返ってくるはずもないその答えを、動かぬ撥条に。 どこからともなく聞こえてくる歌声だけが、僕を癒してくれた。 そうか――ある日、僕は気付いたんだ。その歌の真実の意味を。僕は子守唄に新しい言葉を付け足した。 “もし、生まれ変われるなら――“ 撥条の隙間から落ちてきたのは小さな光。初めて、闇だけの世界に光が生まれた瞬間だった。温かくて、綺麗で、眩しくて、 ああ、それはきっと君がくれた言伝。 “その時は――“ 動き出した世界。廻り始めた撥条。それは、静かに語る。 「罪が決して許されることはない」 だけど、 水という言葉 悪という言葉 僕は――僕らは、それらを唄へと変えよう。 赤い手錠が外れ、僕に語りかける。 「これからあなたは生まれ変わるのよ」 青い足枷が外れ、僕に話しかける。 「今日が君の新しい誕生日」 全てが廻り、 そして、 白く染まる。 R e _ b i r t h d a y (もうすぐ、君に会いに行くよ) ボカロ曲は涙腺崩壊します。解釈は私だけできればいい!な、完全自己満作品。しかし、これだとD2に繋がらない件。← |