短編集

□Re_birthday
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 目覚めた時、僕はひとりだった。
 黒く塗り潰された部屋。言うなれば闇。何も見えず、何も聞こえず、ああ。ひとり僕は闇と無に震えた。

 闇の中、天を仰げば奈落が口を開けたような大きな穴。よく見ればそこには巨大な撥条。それが何を意味するのか知る由もない。
 その先から突如響く、得体の知れぬ不気味な声。その声は、僕にこう語りかける。


「罪深き少年よ、お前はこの先永遠にこの部屋からは出られぬ」


 重く伸し掛かる声。――瞬間、思い出した全ての記憶。

 思い出したんだ。
 自らが重ねた罪の数々を、ここにいる理由と結末を、

 わかったんだ。
 もうあの頃には戻れないのだと、終末の時計は狂うことなく進んだのだと。


 動けない。

 気付けば、両腕に嵌められた赤い手錠。ああ、それはきっと誰かの流した血の色。
 両の足首には、青い色の鎖。ああ、それはきっと誰かの涙の色。

 僕を縛る赤と青。それは、『この先永遠に』――?


 幻聴だろうか。だが、無の中出会えたそれは確かに僕の鼓膜を震わせた。


 るりら、るりら、


 瞳を閉じれば、頬に伝ったのは冷たくて温かい何か。
 ああ、この歌は誰が歌っているのだろうか。誰の子守唄だろうか。





 どれほどの時が流れただろう。僕は尋ねた。返ってくるはずもないその答えを、動かぬ撥条に。
 どこからともなく聞こえてくる歌声だけが、僕を癒してくれた。


 そうか――ある日、僕は気付いたんだ。その歌の真実の意味を。僕は子守唄に新しい言葉を付け足した。


 “もし、生まれ変われるなら――“


 撥条の隙間から落ちてきたのは小さな光。初めて、闇だけの世界に光が生まれた瞬間だった。温かくて、綺麗で、眩しくて、

 ああ、それはきっと君がくれた言伝。


 “その時は――“



 動き出した世界。廻り始めた撥条。それは、静かに語る。


「罪が決して許されることはない」


 だけど、

 水という言葉
 悪という言葉

 僕は――僕らは、それらを唄へと変えよう。


 赤い手錠が外れ、僕に語りかける。


「これからあなたは生まれ変わるのよ」


 青い足枷が外れ、僕に話しかける。


「今日が君の新しい誕生日」


 全てが廻り、

 そして、

 白く染まる。





R e _ b i r t h d a y
(もうすぐ、君に会いに行くよ)


ボカロ曲は涙腺崩壊します。解釈は私だけできればいい!な、完全自己満作品。しかし、これだとD2に繋がらない件。←


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