最低で最悪で最愛

□1
1ページ/5ページ

1、最悪な出会い



最悪だ…。


加賀晃人(かがあきと)高1は放課後の教室で金髪に輝く髪と大きくつり目でどこかまだベビーフェイスなその顔を机の上にだらりとして深くため息をついた。

「一段と干からびたなぁ」

友達1のノッポで常に眠たそうな顔をした中江久信(なかえひさのぶ)は肩にカバンを下げて席に近づくなり、重くため息をついた晃人を見た感想を言った。そこに、優等生っぽく見える浜坂尊(はまざかみこと)友達2がため息を軽くついて近づく

「だからあの人にはあまり近づかない方がいいって言ったんだよ」

尊の言葉が晃人と突き刺さった。ぐっとなって後悔してる原因となった人物というのは…。
その時ガラッと教室の扉が開いて、皆がそっちに注目した。

「ゲッ…!」

そう、中に入ってきたヤツこそ今晃人が大変に会いたくなかったヤツ。
サラサラの黒い髪に細く強くクッキリとした黒い瞳で女子の目を惹き付けそうなイケメンのその男は、晃人の隣まで来て笑みを浮かべて声をかけきた。

「やぁ、晃人くん。」

晃人は心底嫌な顔を浮かべた。

「何かようですか?匡也さん」

「いやだなぁ〜。約束したじゃないか。忘れてたなんて酷いなぁ」

そんな反応をしたのにも関わらず、笑みは浮かべたまま晃人の腕を掴んで机にかかった晃人のカバンを持つとそのまま強引に教室の外へと引っ張って行く。

「いやいや、何も約束なんかしてないから…!てか離せよ!ヒサ〜!ミコト〜!助けてくれー!!」

後ろ二人に助けを求め叫びながらズルズルと連れて行かれる晃人を見て、久信と尊は哀れみの眼差しで「いってらっしゃーい」と言うかのように手を振った。

「お前ら少しは助けろよー!!」

涙目で仕方なくひこづられていく。
この小野匡也(おのまさや)高2のイケメン男は外見は別に危険そうな感じでも、悪そうなヤツにも見えない、じゃぁ何が最悪かっていうと…


「君を泣かすにはどうしたらいいと思う?」

近くのファーストフード店に連れられ、席について頬杖をし意味ありげに微笑んだ後の第一声がこれだった。
そう、この性格。
この性格が一番の問題だ。
軽く変人て言ってもいいんじゃないだろうか。

「オレにそれを聞いてどーすんの?…」

晃人はヒクヒクと顔がつりそうになった。
あははと軽く匡也は笑うと口元に手を添えるなら目を細めた。

「やだなぁー。本気で言ってる訳ないじゃないか、俺は君のその今の顔が見たかっただけだよ」


ゲンナリした。
晃人はもう怒鳴って怒る気力をもその言葉で奪われた気がした。

(オレなんでこんなのと知り合ってしまったんだろ…)

数日前の出会いを晃人は呪いたい気持ちになっていた。
別に何も最初ッから匡也はこんな『あからさま』に変人ぷりのセリフを吐いていた訳じゃない。
今思うとむき出しの牙を巧みに隠していたような気がした…。

それは数日前の事―…

「うわぁああ〜!」

晃人は目の前の何枚かの紙を見て心底自分の一週間の堕落を後悔した。
机に突っ伏した晃人を見て久信と尊が寄ってきて紙を横から覗いた。

「これはまた凄い点だな」

「これは確実に補修の上に追試だねー」

テストの点を見た二人の感想が晃人の頭の上で述べられた。
晃人はムクッと起き上がると尊に向かって泣きついた。

「ミコト〜教えてくれ〜!」

そんな晃人の頼みを押しきるかのように強引に離すと、尊は首を横にふった。

「スマンが数日用事があってな。無理だ。」

ガンと晃人は頭に衝撃が走る。数秒沈黙して久信に視線を向けた。

「オレもムリ。」

久信も横に首を振りズガンと衝撃が走ると机に項垂れた。

「何だよお前ら〜冷たいぞー!」

「まぁまぁ今度ん時は見てやるから、じゃあな」

そう言って尊と久信は教室をでて帰っていく。
非常にヤバイ状況に追いやられて項垂れると、とりあえず教室から出て帰るために階段を降りていた。

「うー…どうしよ…」

肩を落として階段を降りていく。

「「…あ…!」」

ふと頭上の方へ声がして何となく見上げたら視界の前には、自動販売機で買う飲み物の紙カップがあった。

「へ…?」

余りにも唐突過ぎて驚く前に紙コップは頭に見事ひっくり返って中に入っていた液体が頭の上から一気に晃人にかかる。紙コップは衝撃で頭から跳ねて床にコロコロと落ちた。
暫く何が起こったのか理解できづにそのまま突っ立ったままコロコロ転がる紙コップを眺める。

「君、大丈夫…!?」

それを落としたであろう人物が慌て階段を降りてきて晃人に声をけられて振り返るとその人物に晃人は会った。

それが小野匡也との初めての出会いだった。


次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ