最低で最悪で最愛

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「さっきはゴメンね。制服はキレイにして返すよ」

サラサラで黒い髪をしたイケメンの先輩は少し申し訳なさそうに晃人の様子をうかがった。
そんな様子に晃人は焦るように首を横にふった。

「いえいえ、むしろシャワーと服まで借りてありががたいというか…」

そう晃人は今、このイケメン男の家に上がり、シャワーを借りてシャツまで借りていた。
身長の違いでか若干服がブカブカになってるのに、多少なりとも男として悲しく思いながらも洗濯してる制服を着るにもいかず着ていた。
ぶっかかった飲み物の液体は不幸にもコーヒーだったので真上からかかった制服のシャツは半分はまっ黒になっていた。そんな状況に声をかけられてやっと気づいた晃人は驚いてテンパっているのに、この男は家が近くだからシャワーと洗濯をしてくれるとの事でお宅にお邪魔した。マンションでこの男の部屋は一人暮らしいが学生が住むにしては少し広い。綺麗な部屋はこの男の見た目に期待を裏切らずあっていた。

「あ、そういえば名前…」

「ああ、そうか。俺は小野匡也。2年だよ」

にこやかに愛想よく返事したその顔は軽く女子が喜びそうだった。

「オレは加賀晃人。1年です。」

晃人は笑顔でかえすとそこでふと今日の最大重要な事柄を思い出してハッとした。
追試の事をすっかりさっぱり忘れていた。因みに追試は明日だった

「って、ああぁぁぁ!どうしよう忘れてた…!!」

晃人の唐突の叫びに匡也は吃驚して目をしばたたくと首を傾げた。

「どーしたんだい?」

「明日から追試なの忘れてて…ってああ勉強どうしよう」

晃人は自分の髪をぐしゃぐしゃとかいてそれから肩を落として項垂れる。そんな様子にクスッと匡也は笑うと苦笑しながら

「よかったら俺が教えようか?」

と声をかけると、項垂れた晃人は直ぐに反応して匡也に天の助けが舞い降りたかの様にキラキラした目を向けた。

「い、いいの…!?」

「うん。まぁ今日コーヒーかけちゃったお詫びにって事でね」

そんな晃人をクスッと笑い答えると晃人は匡也の両方の手を掴みキラキラ目を輝かせながら感謝を表した。

「ありがとうございマス!匡也さん…!!」

やっぱりここでもクスッと笑い穏やかに匡也は微笑んだ。
その裏に別の顔があるのを知らずに晃人はこの時、全力で匡也に有り難く思っていた。
実際に匡也に教えてもらった勉強は先生の教え方より数倍分かりやすくかった。それから3日間放課後に匡也に晃人は教えてもらい、そして追試の結果が出た。

「どうだ二人とも…!!」

二人の前に追試を受けた全教科の答案を公然と見せつけた。
二人の顔は目をパチクリさせている。

「ありえん…」
「…お前もやればできたんだな」

尊と久信の第一感想。
多少ムッとするがその感想は今までの晃人からすると当たり前のものだった。それくらい晃人は『バカ』である。だからこそ、答案用紙に連ねる90点以上しかないのを見てこの二人信じられないと見ていた。

「って言ってみたけど、実は教えてもらったんだけどな」

晃人は頭をポリポリとかくと二人は「ああ、なるけど」と納得したように頷く。

「でもお前がこの点取るなんて相手がよっぽど教え方が上手かったんだな」

尊がそう関心したように言うのに「それはどーゆー意味だよ」とムッしてかえしてから、晃人は連日お世話になった人を思い出した。

「それがさ〜、出会いは災難だったんだけど、カッコイイ先輩でさ。教え方はうまいし優しいしオレちょっとあんな人間が実際にいるんだと感心しちゃったよ…!匡也さんて言うんだけど」

キラキラ目を輝かせながら離す晃人に二人は乾いた苦笑する。晃人はだいたいその恩を受けた人物に対して凄く信頼と感激をオーバーにするのをよく二人は知っていた。
半笑いしてた尊が何かに気づいたらしく怪訝な顔を浮かべる

「ちょっとまて、匡也って2年の小野匡也の事か?」

「ん?…そうだけど何有名人なのか?」

尊は真顔な顔をして、手を口にそえて思慮するような素振りをして再び晃人に目線を戻す。

「いや、有名人ていうか…。あの顔もあるんだろうが、あまり良い噂聞かなくてな。」

晃人は首を傾げる。

「なんだそれ、めっちゃいい人だったんだけど。ただの噂なんじゃねー?」

「うーん。でも三年まで怯えてるからなぁあんまり深く関わるのは…」

とそこで邪魔でも入るかのように教室の入口付近から女子の声がかかった。

「加賀〜!!呼んでるけどー」
教室に声が響いて晃人以外にも注目がいく。その時廊下の立ってる人物を見て女子らがザワザワとし出した。
黒髪とその容姿を見て晃人は嬉しい気分になり陽気に駆け寄った。

「匡也さん!!」

「あ、まてってまだ話が…」

尊の言葉はもう耳にも入いらず一直線に駆け寄った


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