最低で最悪で最愛

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そんなやり取りが何回か続くと、交差点につくと尊と久信が一度立ち止まった。

「オレら用事あるから此方だわ」

「ならオレもついていくよ」

帰りと逆方向の道を尊が親指で指す。晃人はそれについて行こうとすると、久信が手を横に軽く振った。

「いや、邪魔だろし…」

と言って久信の視線が反れてそれを追うと匡也に辿り着いた。
晃人は勢いよく振り返る

「はぁ!?っていうか寧ろお前ら居ろよ…!!何の遠慮だよ!?」

晃人が騒ぎたてると、二人は軽く手を上げて

「うん。まぁ…頑張れ。」

と大して心もこもってないように言っては前へ向いて歩いて行く。
チラッと横目で匡也を見るとニコッと笑う。それを見て無性に二人でいたくないと思いが込み上げてきた。

「待てってオレも…!」

二人の後を追おうとして駆け出して行こうとすると、匡也に腕を捕まれる。

「ダメだよ…折角気を使ってくれたんだから」

「オレは何も言ってねー!!」

ニッと笑う匡也に言い返した物の晃人はそれから尊と久信を追わなかった。
はぁ〜っと大きなため息をついて肩を大きく落とした。
そんな晃人に匡也の微笑みがどこかニヤニヤとした感じに浮かべ、晃人は横目でみた。

「なに?」

「いや、行こっか?」

仕方なしに帰路を歩いていった。



「で。何処までついてくるんですか?」

学校の最寄り駅の前に着いて、晃人は後ろにいる匡也に振り返った。

「そうだねー。どこまでかな?」

はぶらかしたように言う匡也に晃人は固まった表情にピクピクと眉が動いた。

《絶対家までついてくるつもりだ…!!》

晃人はそう心の中で叫んだ。
そもそも匡也の家はとっくに通りすぎている。学校から然程遠く離れていない場所に住んでる。つまり電車なんか乗る必要がない。
何処かに行く予定もなければつまり晃人の家まで来る事になる。

「匡也さんほら…あれ、あれです…ジャージに着替えたとはいえ、身体冷えるし帰った方が…」

やんわり帰ってくれと遠回しに断りを晃人はいれてみる。
匡也はニコニコして背景にキラキラ何か光らせるような勢いで言葉にした

「はは、君のせいだよね。これ?」

「…ははは」

「……」

暫く沈黙して


『帰れ…!!!』


晃人は叫んだ。
匡也はニコニコ微笑む。

「勝手についていくから気にしなくていいよ」

「ついてくんな!!」

晃人は改札口まで早歩きで歩いていく。
それに習うように匡也が横についてきた

「だから、ついてくんなよ!」
「うん、だから気にしないで電車に乗ればいいよ」

段々と歩く速度が速くなっていきながら、ついてくる相手に怒鳴った。

「気にするわ!!」

「じゃあ諦めて一緒に行くしかないね〜」

「お前が諦めろよ…!!」

「えー?俺が諦めるの?何で?」

匡也が意外そうに反応して、その清々しいまでの演技に晃人は更にイライラしてきた。

「何でって、そしたら片付くからだよ!!」


改札口間近に来て立ち止まると匡也が肩を一度あげて軽くため息をついた。
晃人もつられてたちどまった。
匡也がフッと穏やかに笑う

「しょーがないなぁ…。そこまで言うなら今回は諦めるよ」

晃人は目を丸くして驚く。
先に匡也から折れるのは珍しい。でも、このままついて来られるよりは良くてホッと安心した。
そこで匡也がニッと微笑んだ。

「…その代わり」

晃人はギョッとしてにこやかだけど、何か企んだ笑みに身構えようとする。が、前に腕を捕まえられ引っ張られてトイレに連れ込まれた。

「な…なに…」

戸惑っている間に押し込まれ、鍵がかかる。
壁に押し付けられると鼻先が当たるくらい間近に顔が近づいて

「ちゃんと水ぶっかけたお詫びしてよ」


「は!?…なんっ…ん!!」


ニヤッといつもと違う匡也の本性の笑みをちらつかせる。
晃人はそれに反抗の言葉を口にする途中で、口を塞がれた。

「ん…んんっ…!?」

驚いて数秒口を塞がれたままになって、眼前に匡也の顔があるのに漸く事態を把握するとジタバタと抵抗する。
しかし、体格差の力で押し付けられてビクともせずに、相手は構いなしに深く口づける。湿った舌が口をわり、中へと入って絡めとられた。

「っ…ん…っは…んん〜……っは…!」

苦しいか苦しくない絶妙なタイミングで息をする為に離してまた口づけられると今度は、息が続く限り限界まで口を塞がれ、苦しくなって相手をボカボカ叩いてやっと口が離れた。
苦しかったせいでか、生理的に目に涙が溢れてきそうになった。

「なっ…なにすんだよ…!!」

一気に顔が紅潮して匡也の胸ぐらを掴もうと思った瞬間、顎を捕まれた。
匡也は背中が悪寒でゾクッとするような薄ら笑いを浮かべて微笑んだ

「ああ…やっぱり君はその顔が良いな」

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