最低で最悪で最愛
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3、最悪なほど…
夏…
夏といえば…?
《プール》だ!!
晃人はプールに飛び込み、バシャンと水飛沫が派手に飛び散る。水面に顔を勢いよく顔を出すと、水の冷たさが暑い日の体にしみた。
気持良さと嬉しさでそのまま24mを泳ぎきり、再度水から顔を出して立つ。
「ぷはぁ…!気持ちいい!!」
そんな様子をプール脇から制服姿のままの久信と尊が話かけてきた。
「本当プール好きだなぁ晃人は。一番最初に入るために掃除手伝うとか普通やんねーだろ」
尊が呆れた顔を浮かべている
「えー?でも気持ちーぞ。お前らも入れば?」
久信がしゃがみこむ
「授業来週からだから俺ら持ってきてない。…というかそんな好きなら水泳部入ればいいのに」
「オレは夏限定なの」
晃人は腰に手を当てる。
「なにしてるの?」
そんな様子の三人にプールの入口から、最近よく顔を知る人物が声をかけた。
「ゲッ…!」と今にも声に出しそうな嫌な顔を晃人は浮かべる。
そう、柔らかく笑って現れたのは匡也だ
「あー…。オレもう一泳ぎしてくる」
そう言って晃人は避けるように水面に潜ると反対方向に泳いでいった。
久信と尊の二人がいる付近に近づく
「水泳の授業って来週からじゃなかったっけ?」
尊は苦笑して
「アイツ待ちきれなくて、掃除手伝う代わりに使わして貰ってるんですよ」
呆れ気味に言うと、そうなんだと匡也は言葉を返しながら泳いでいく晃人に視線で追っていく。
何かに関心したように微笑む。
「ちっさいのに水泳も速いんだね」
「「…あ」」
久信と尊は声をダブらせて匡也の言葉に反応した。匡也は二人を見て首を傾げる。
「なに?」
久信と尊は何も言わず匡也から距離を取るように後ろへ下がっていくと、バシャバシャと激しい水掻きの音が晃人の泳いでる側から聞こえ振り返った。
「だー・れー・がー」
器用に息つきの時に叫びながら晃人が猛速度で泳いで匡也の所まで辿り着く。
「ちっさいだってえぇぇえええ!!?」
水面から顔を出すなり、勢いよく匡也に水をぶっかけた。
バシャッ!!
「わっ…!」
いきなりで避けれなかった匡也は、そのまま水飛沫にぶっかかる。
晃人は匡也に勢いよく指を差した。
「スポーツは身長じゃねーんだよ…!!」
いきなりの事に匡也は目を丸くして驚いた。それを横へ見てたり二人が「…やっぱり」とボソリと呟く。
匡也は吹き出すのを抑えてフッと笑った。
「あーあ。制服びしょ濡れになってしまったじゃないか」
それに晃人はハッと鼻で笑う。
「いつもの仕返しだよ!」
匡也はクスッと笑うと濡れた前髪をかき分けた。
それに、晃人は不覚にもドキッとした。
イケメンな顔立ちに濡れた髪、そんでもって制服は夏服のシャツだけ濡れ、薄地だけに肌色が浮かびその人物の服の下のシルエットが浮き彫りになる。そんな状態で笑を浮かべながら髪をかきあげる姿何かを目の前にしたら…
(な…なんだよ。この無駄なフェロモン過多!!)
匡也が首を傾げる。
「どーしたの?…顔赤いよ?」
カッと頭に熱が上がって晃人は焦り
「バ…バッカじゃねーの!?」
と叫ぶなり逃げるように泳ぎ出した。
くそ…なんなんだよ…
何で男に一瞬でもドキッとすんだぁあ!!
心の中で叫びながら晃人は誤魔化すように泳ぎ続けた。
※
「あー泳いだ〜」
満足して泳ぎきった晃人は大きく伸びをして、帰りを歩いていた。
そんな姿に尊がため息をつく。
「そのやる気だけは褒めてやるよ」
「やる気だけかよ!」
いつもの3人で…
3人で帰っている…はずなんですが。
「いつもこんな事してんの?」
晃人の隣を自然にいつもどうりみたいにスタスタと歩く匡也がいた。
濡れたので今は学校のジャージを来ている。ジャージなのに無駄にカッコイイのはイケメンパワーなんだろうかと思うくらい不思議だ。
尊が半笑いする
「いつもこんなんですよー」
そうなんだとクスッと笑い普通に馴染みきってる匡也に晃人は話題を切るように横やりをいれた。
「ってか何でいるんだよ!?」
いい運動して清々しい気分なのにそれで、晃人の気持ちに水をさした。
不愉快そうな顔を浮かべてる晃人に対して、匡也は柔らかく微笑む。
「それは晃人くんに構いにきてるからだよ」
「オレは構われたくないんだよ…」
キラキラと今にも匡也に花でも咲きそうな程の笑顔を浮かべられて、余計にゲンナリする。
その無駄な笑顔を男に向けてどーすんだよと思いながら、横目でみた。
「えー?酷いなぁ〜。」
「全然酷いと思ってないだろ!」