最低で最悪で最愛
□7*匡也視点
1ページ/3ページ
7、最低な事をしたい
最初は…
ただの興味本位だった。
俺…小野匡也は、自分ですら認識する程度には、少し変わっている。
人に好意を抱けば、苛めたくなるという、微弱なものならありふれた感情の一部が他人より増していた。
小学生が好きな子を苛めて気を引きたい行動の延長線と言えばそうかもしれない。
ただ、付き合った人の大抵は最後にはこう言った。
『本当に私が好きなのか分からない』
そう思わせるほど、俺の行動と発言は酷いんだろう。
でも、好きになれば好きになるほど、壊して泣かしたくなるから、
俺は、本気になる事をやめた。
それが板について、暫く恋愛すらしなくなった頃に『彼』に出会った。
たまたま、階段の上から落とした飲み物が下級生にかかっただけの偶然な出会いで、こんなにも誰か一人に興味を抱くのも、久しぶりだった。
第一印象は
『人懐っこい子』。
多分、皆そう思うだろう。
話せば表情がくるくる変わって、ハッキリしてる性格なのも直ぐに分かった。
家に入れた時は、大した興味もなかった。汚したものを綺麗にして何度かやり取りしたら、ちょっと顔をしてる後輩程度で終わらせるつ
もりだった。
そう思ってた矢先に、勉強を見てあげる事になって、過剰な迄に喜ぶ彼に、俺は思わず驚いて笑ってしまった。
次に会う度に、なついてくる彼に気がつけば好感を抱いていて…
そして、くるくる変わる表情に
ただの【興味本位】で
そう…ただちょっとからかうだけのつもりだった。
奢ると言うので、ファミレスに行き、メニューを見た瞬間思い付いたちょっとした嫌がらせ。
幸い客入りはよく、周りの席に人もいてうってつけだった。
『彼』ならどんな反応をするんだろうと
ただそれだけ。
多分直ぐに顔に出るだろうなと思いつつ、俺は店員を呼びメニューからそのメニュー名を口にした。店員の顔がピシッ固まる。
そして、チラリと視線を彼に向けると、予想通り驚いて固まっていた。
「晃人くんは?」
そう聞くと、ハッとしたように彼は我にかえり、慌てメニューをみてはソフトドリンクを頼んだ。
その姿が何だか可愛くて、ニコニコと作り笑いしてる顔が素で少し緩みそうになった。
そんな自分に少し驚く。作り笑いの顔なんて作り慣れていて、相当気が緩まない限り崩れる事なんてない。
驚くと同時に途端に衝動にかられた
。
それはとても久々の感情
頼んだ注文がくると、顔がひきつってる彼に俺は狙いを定めるように黒い感情とともに微笑んだ。
彼はビクッと驚いて、目を日見開いては一瞬固まり、その後視線を他所に向けた。
本当はそのまま食べて帰るつもりだった。
けど、考えるために視線外すその行動が、逆に追い詰めたくなってくる。
ふと、周りの視線に気づいた彼が表情を変えた。表情が強張り、口を結んで視線を俯きかげんにして戸惑いを見せた。
これで、もっと追い込んだら
彼はどんな顔をするんだろう…
「はい、あーん」
どうするか考えるより先に行動出ていた。
具をのせたスプーンを彼に向ける。
彼は気づくなり、かなり驚いたのか「…へぇ?」と気が抜けた声をだすと、目の前のスプーンを見ては固まるり、ブワッと顔が赤くなった。驚くほど戸惑ってる彼を見て、自分でやっておいて内心で一瞬固まった。
じわじわと奥で満たされてくる感覚に、また直ぐに空っぽになって満たしたくなる感覚
躊躇してた彼は、パクリと食べてモグモグとしては、黙り込み身長の差もあってか、自然に上目遣い気味で羞恥で戸惑い見てくる瞳は、そこら辺の女の子がやる
より、その時は遥かに破壊力があった。
「美味しい?」
ニッコリ笑顔でそう聞きながら、内心は焦っていた。
彼は「え…あ…美味しい?…かも」戸惑いながら歯切れ悪く答えた。
「なにそれ」
フッと思わず地で笑い、食べてしまいファミレスを出た。
帰り道も彼は、微妙な顔をしていた。さっきの事に頭が持っていかれてる用で笑っても笑いきれてなく、顔が戸惑ってる。そんな態度が、可愛くみえた。
そのまま別れ道の交差点に行くと一度立ち止まり「今日はありがとう」と言って別れた。
暫く歩いて俺は立ち止まった。
ただの気まぐれだったのに
「クセになりそうだ」
自分の悪いクセを引っ張り出されたそんな気分だった。