BL小説
□無表情な彼の法則
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俺、どこにでもいる1男子高校生の小島徹(こじまとおる)は、1週間前に友達だった成山涼太(なりやまりょうた)と恋人になった。
そんな付き合ってまだ浅い状態は、俺には行動する度にドキドキと心臓が高鳴る。
付き合えてる事が嬉しすぎて、相手の小さい反応にも微動だにしてしまうそんなぎこちなさが残って旗からみたら初々しいさが見られる
『初々しさが見られる』
はずだと思ってたんだが…。
学校の帰りの途中、並んで歩いていて辺りに人気がない事に気づいて、俺は少しだけ恋人らしい事がしたくなって隣にいる涼太に声をかけた。
「なぁ、涼太」
それに、涼太は俺の方を向いた。
黒い髪に大きめの瞳がこちらを向く。無表情で冷たくも感じる表情なのに透き通っても見える綺麗な顔だちをしている。
「手繋いでもいい?」
少し沈黙してから、無表情のまま涼太は頷いた。
「…うん」
…あれ?
普通…
ちょっと照れるのかとか期待したのに…。
手を繋ぐと、無表情のまま涼太は自分の前髪を触った。
そのまま他に微動せずに、歩いていった。
(なんか逆に俺が恥ずかしくなってきた…)
そう、涼太はかなり無愛想だ
いや…無表情だ。
表情が硬いってよりは、ないみたいな感じで、小さく顔を変えるくらいだ。
そんな事は、よく知ってるんだけど…
それにしても、もう少しなんかあっていい気がする。
これじゃあ、何だか俺だけ浮かれているみたいで。
何だか不安になってくる。
「な、俺んち来ねー?」
「…行く」
今度は微かに涼太が笑って、それで少しホッとした。
ごくたまにしか見せない涼太の凄い綺麗な笑みに俺は惚れ、友達じゃなくなるかもしれない決死の覚悟で俺から告白した…。
その時の涼太が驚いた顔は今でも忘れられない。滅多にそんな顔しないから。
それで、引かれる!嫌われる!避けられる!とか色々と凄い心の準備をしていたのに、あろうことか「いいよ」と無表情で前髪を触りながら簡単に承諾したのである。
あんまりにも普通に受け入れられて、勘違いしてるのかと、確かめても、「分かってる」と頷いても、無表情のまますぎて少し不安だったのに、その時は、受け入れてもらえた事に嬉しくて舞い上がった。
けど、今よく考えたら…
どう思ってるのかハッキリ聞いてない。
そんな訳で、付き合ってまもないはずのに凄い不安にかられていた…。
帰りに俺の部屋に涼太を招いた。
別に今まで招いた事がない訳じゃないけど、それでも、恋人同士になってから入れるっていうのは何だか妙に緊張する。
「お茶入れてくる」
涼太は頷いて、部屋のどっかに視線を移した。
一階に降りて、台所で冷たいお茶を入れる。幸い今は家族はだれも家にいなくて助かるような…逆に緊張するような。
お茶を入れたおぼんを片手に部屋に戻って扉を上げた。
「っ…!!!」
部屋の中で涼太の周りに『エロ本』が何冊か散乱していて、しかも一冊無表情のまま見ていた。
俺はビックリすると同時に、顔が熱くなった。
「なっ…なに人のエロ本読んでんだよ!!」
机にお茶を置いて、涼太からエロ本を取り上げた。
自分の部屋に置いてるエロ本を見られるって事は、自分の趣味がもろにバレると同義語だ。
普通の男友達に見せるならまだしも、恋人に見られるとか!
恥ずいものがある。
「…寝転がってたら発見して…つい。…ゴメン。」
「……」
お決まりのベッドの下に置いておいた俺も悪いけど。
「…使ってる?」
無表情のまま涼太が聞いてきた。
俺は更に顔が熱くなる。
使ってる…って言うと一人でデトックスする事以外他にない。
「…少し前から使ってない…つか俺には涼太がいるし」
言ってる言葉がはずくて目を反らした。
男同士ならこの言葉の意味がなんなのか理解できると思うと、これも結構恥ずい。
手に変な汗をかきながら、チラリと涼太を見た。
とんでもなく無表情で、涼太は前髪を触ってこっちすら見てなかった。
俺はヤバッと血の気が引いた。
「ゴメン、嫌だった…?」
「…え」
「キモいよな…」
自分をネタに妄想してたとか…嫌だよな普通に考えて。
やっぱり涼太分かってねーんじゃないのか?
付き合うって意味…
「思ってないよ」
「じゃあ何でそんな無表情な顔すんだよ。」
涼太はやっと表情を変えた。
目を少しばかり見開いてる。
「オレ…今そんな顔してたんだ」
(無自覚なのかよ…)
それに、俺の方が驚いた。
「…お前本当は嫌なんだろ!?悪かったよ変な事言って」
「ち…違う!嫌とかじゃなくて…」
珍しく涼太が少し慌て、俺から視線を外すと、前髪を触りながら、
「…照れた」
え…?