黒猫

□黒猫
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お店の裏口の戸を静かに開け夜のかぶき町を飛び回る



昼間とは打って変わってかぶき町の街はネオンが光り輝き賑わう声が聞こえる




そんな声を耳にしながら



街のネオンから遠ざかっていく




辿り着いたのは港の倉庫




その中の一つに壤夷志士の活動拠点となっている倉庫がある




建物の内部からは物音一つしない


きっと出払っているのだろう…



こんな絶好調のチャンス逃すはずがない



鈴は軽やかに倉庫の屋根に飛び乗ると小さな窓から中に侵入した




『うぇ…埃っぽい』



鼻唄を歌いながら物色を始める



それも静かに行なうのではなく、子供がオモチャ箱をひっくり返すように物を散乱させながらだ



鼻唄を歌っている時点で静かではないのだが…



“盗みに入られた部屋は猫が暴れ回ったよう”



そんな噂が流れている





『…だから黒猫か。ま、猫は好きだけど』




人間に服従する犬と違って猫は自由気ままだ――




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