黒猫
□黒猫
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突然出した大きな声に四人は驚いた顔をした
だけど一番驚いているのは当の本人だ
『あ…ごめんなさい…両親は死んだの。七年くらい前に…』
「う…グスッ…それは辛い思いを…したんだね…ヒック…」
涙と鼻水でグシャグシャの顔の近藤
『別に…平気』
「――お前が泥棒なんてやってんのと何か関係あんのか?」
土方が口を開く
『私は自分の夢を叶える為にしてるの。それに…悪い連中からお金取ったって良いじゃない』
鈴は悪びれた様子もなく土方に視線を向け答える
「やめねぇって言うなら、俺達はお前を捕まえなきゃならねぇ」
『正体もバレちゃったし、この傷じゃまともに動けないから暫くは大人しくしてる。それに…もうすぐ大金が手に入るの。そしたら終わり』
土方の低い声とは裏腹に鈴の声は明るい
「大金だと?」
『何もしないから安心してよ』
眉間にシワを寄せる土方に笑みを浮かべる
「じゃあどういう事でィ」
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