黒猫
□黒猫
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「お前いつから深夜のファミレスで働いてんだ?」
『……家に行ったの?』
楽しそうに笑っていた鈴は一気に不機嫌な顔で銀時を見る
「お前の靴返しに行ってやったんだろーが」
「定春に鈴の靴の匂い嗅がせたネ!」
『何か私が臭いみたいじゃん…』
嬉しそうにシッポを振る定春を見ながら溜め息混じりにそう言った
『おじぃ達に夜は泥棒してますなんて言えるわけないでしょ』
「親の借金返す為か?」
もうみんなバレてるんだ
なら隠しても無駄かな…
『意地でも返してやろう、その為に生きてやろうって思ったの』
あの時の私はそうする事でしか生きていく理由を見出せなかった
『私、両親は死んだ事にしたの。じゃないとやってられなかった』
重たい空気になりたくなくて明るい声で話す
『だけど心の中で殺しても、たまに蘇ってくるんだよね』
今もどこかで楽しく人生を送っている
そう思うと憎しみが身体中を支配する
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