黒猫

□黒猫
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『………何もない、ムカツク。』



――ガンッ



怒りに任せ近くに置いてあった木箱を蹴り飛ばした




「――ふぁあ、よく寝た」



『ッ!?』



「ん?……何じゃこりゃぁあああ!?」




『人居たの…』





「てか誰もいねェェェエ!!」



『置いてかれちゃったんだね…かわいそ』



「可哀想って言うな、余計哀しくなるから…




って、誰だおめぇはぁぁああ!?」



『いちいち煩いね…こんばんわ。お兄さん?』



満面の笑みで挨拶をする



「こんばん…わ…」



そして地面に座る男に近付くと鈴は耳元に唇を寄せた




「お前何者――『気持ちいい事、したい?』



「えっ…」



男は驚いて女の顔を見る




少し幼さが残る顔だが



その唇には淡いピンク色の紅が塗られており




誘うように見つめる目からは妖艶さが漂っている






男は思わず息を呑んだ




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