黒猫

□黒猫
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敵なのに…敵に見えない





そう思ってしまうほど彼女は無邪気で







それが作戦なのかもしれないけど




俺に向けられる笑顔は作り物には見えなくて





泥棒にも見えなくて




どうして泥棒なんてやってるんだろうかとか




そんな事ばかりが頭に浮かぶ




「鈴…ちゃんか…」






そう呟いた俺の声は心なしか弾んで聞こえた





「あれ?仲良くなってない?俺…ヤバくね?」










黄色の着物をなびかせて鈴は八百屋に向かって歩いていた




その足取りはとても軽く今にもスキップをしてしまいそうなくらい




『そう言えば……』




呟いて鈴は足を止めた




退の前では昼間の私でも普通に接してた




と言うより退を見ると苛めたくなるっていうか





『敵に見えないなぁ』





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