黒猫
□黒猫
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今の格好は黒猫だ…
このままじゃ八百屋には帰れない
そう頭の隅で思いながら歩いていると
突然手を掴まれ路地裏に引き込まれる
「久しぶりだなァ、鈴」
『しっ…晋助…!』
目の前の人物に目を見開いた
「俺が付けた痕、まだ消えてねェのな」
『晋助が付けたのはコッチでしょ…』
そう言って左の首を指差す
「…彼氏かよ?」
『晋助には…関係ない…』
二人の間に沈黙が流れる
『そんな事より…こんな所に居ていいの?』
言葉の意味を察したのか妖しく笑う
「それはお前も同じだろ、黒猫ちゃんよォ…」
『わ…私は晋助と違って危険人物じゃないもんっ』
そう言えば可笑しそうに笑った
「なァ…お互いお尋ね者同士、手を組まないか?」
『え?どういう――』
「俺と来ないか?鈴」
瞬きさえ忘れて晋助を見つめた
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